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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり
第135話 いい感じに揚げちゃう、ぽっちゃり
しおりを挟むサラの便利スキルのおかげで約百個のジャガイモを半円形に切り終わり、水につけてデンプン抜きも完了した。
ここからは、いよいよポテトを揚げていく段階に突入する。
わたしは三度サラに協力を仰いだ。
「サラ、アイアンゴーレムの素材を使って少し大きめの鍋を作れるかな?」
「ぷるん!」
サラは元気に返事をすると、テーブルの上に鍋を吐き出した。
それと同時に、わたしはログハウスの中でドルートさんに貰った炎の魔道具をアイテムボックスから取り出す。
これはいわゆるガスコンロみたいな物で、魔力を通すことで発火させることができるのだ。
「火の魔道具を鍋の下にセットして、油をいれていこう!」
わたしはそのコンロの上に鍋を置き、アイテムボックスからベルオウンの市場で買っておいた油を投入する。
ドボドボと油を注いでいき、全体の半分くらいまで鍋を油で満たすとそこでアイテムボックスを閉じた。
「油の量はこんなもんでいいかな~。それじゃ後は、この中にジャガイモを入れないとだね。サラ、鍋の中に半円形に切ったジャガイモを入れてくれる?」
「ぷるん!」
サラはテーブルの上に置いた鍋の横まで移動すると、ぐにゅう~、とスライムボディから腕を伸ばして、鍋の中に入れた。
そしてその腕の中から切ったジャガイモをゴロゴロと放出していく。
大体三十個分くらいの半円形のジャガイモを投入し終えると、そこで一旦待ったをかける。
一度にあんまり多くのジャガイモを揚げようとすると上手くいかない場合があるからね。
大体ジャガイモ全体が油の中に沈むくらいの量がいいだろう。
「それじゃあ、いよいよ火をかけていくけど……この魔道具どうやって使うんだろ? ドルートさんは普通に魔力を流すだけで動くとは言ってたけど……」
わたしは恐る恐るコンロ型の魔道具に魔力を流すと、ボッと火が現れた。
使うのは初めてだったけど、どうやら上手くいったようだ。
「あとは、油が温まるまでしばらく待って、と。あ、そうだサラ。今の内に菜箸を作ってくれる? ちょっと長めのお箸みたいなやつ」
「ぷる? ぷるーん!」
サラは一瞬不思議そうにしたけど、すぐにわたしの意図を察したのか長めのお箸を出してくれた。
もしかすると、菜箸っていうのがちょっと伝わりにくかったのかもしれないね。
だけど、サラはわたしがイメージする通りの菜箸を生み出してくれたので、本当に感謝しかない。
「菜箸の先っちょを油の表面につけて……お、ちょっとブクブクしてきてる。いい感じに油の温度が上がってきてるね」
菜箸を使ってジャガイモをゆっくりかき混ぜて揚がり具合を確認する。
今まで淡く黄色っぽかった生のジャガイモが、だんだんと茶色っぽくなって揚がってきていた。
うんうん、いい感じに出来てきてるね!
本当は小麦粉とかがあった方がいいっぽいんだけど、今は持ってないから今回はシンプルな素揚げだ。
だけど、今のところ見た目は美味しそうなポテトに仕上がりつつある。
ポテトの出来上がりが近づいていることに喜んでいると、真横でその様子を眺めていたサラが何かの物体を生み出した。
「ぷるん!」
「ん、どうしたのサラ……って、これは――!」
サラが出してくれたのは、二つの調理器具。
一つは細かく無数の穴が空いたお玉杓子、そしてもう一つはアイアンゴーレムを素材に作成したっぽいダークグレーのトレイだった。
「これは揚げ物を取り出す用のお玉杓子に、取り出した揚げ物を置いておくトレイじゃん! ありがとうサラ!」
たしかにどちらも揚げ物をする時にはあったら便利なものだ。
わたしはこれを作ってほしいってお願いしてないのに、ちょうど欲しい物を作ってくれるなんて気が利きすぎるでしょ!
さすがはサラだね!
わたしは菜箸を置いて、サラが作ってくれたお玉杓子で油の中にあるジャガイモをゆっくり混ぜる。
揚がり具合もいい感じで、そろそろ一回出そうか。
わたしは軽く油を落として、トレイに移していく。
う~ん!
調度よく揚がったポテトのいい香りがする!
全てのポテトをトレイに移し終わると、サラがテンション高めに跳ね上がった。
「ぷるーん!」
「ふふふ、まだ完成じゃないよ。後はこのポテトに塩をまぶして……」
わたしはアイテムボックスから塩を取り出し、ひとつまみしてパラパラとポテトの上から振りかける。
ポテト全体に均等に塩が行き渡ったところで、わたしは高らかに叫びをあげた。
「よし! これでポテトの完成だー!!」
「ぷるるーん!!」
ポテト完成宣言と同時に、わたしとサラは手を取り合って万歳した。
辺りにはポテトの香ばしい匂いが充満している。
そんじゃあ、早速食べてみよう!
ポテト作りは初めてだったから少し不安だけど、果たして美味しくできているか……実食だ!!
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