ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

文字の大きさ
上 下
141 / 265
交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第135話  いい感じに揚げちゃう、ぽっちゃり

しおりを挟む

 サラの便利スキルのおかげで約百個のジャガイモを半円形に切り終わり、水につけてデンプン抜きも完了した。
 ここからは、いよいよポテトを揚げていく段階に突入する。

 わたしは三度みたびサラに協力を仰いだ。

「サラ、アイアンゴーレムの素材を使って少し大きめの鍋を作れるかな?」
「ぷるん!」

 サラは元気に返事をすると、テーブルの上に鍋を吐き出した。
 それと同時に、わたしはログハウスの中でドルートさんに貰った炎の魔道具をアイテムボックスから取り出す。
 これはいわゆるガスコンロみたいな物で、魔力を通すことで発火させることができるのだ。

「火の魔道具を鍋の下にセットして、油をいれていこう!」

 わたしはそのコンロの上に鍋を置き、アイテムボックスからベルオウンの市場で買っておいた油を投入する。
 ドボドボと油を注いでいき、全体の半分くらいまで鍋を油で満たすとそこでアイテムボックスを閉じた。

「油の量はこんなもんでいいかな~。それじゃ後は、この中にジャガイモを入れないとだね。サラ、鍋の中に半円形に切ったジャガイモを入れてくれる?」
「ぷるん!」

 サラはテーブルの上に置いた鍋の横まで移動すると、ぐにゅう~、とスライムボディから腕を伸ばして、鍋の中に入れた。
 そしてその腕の中から切ったジャガイモをゴロゴロと放出していく。
 大体三十個分くらいの半円形のジャガイモを投入し終えると、そこで一旦待ったをかける。
 一度にあんまり多くのジャガイモを揚げようとすると上手くいかない場合があるからね。
 大体ジャガイモ全体が油の中に沈むくらいの量がいいだろう。

「それじゃあ、いよいよ火をかけていくけど……この魔道具どうやって使うんだろ? ドルートさんは普通に魔力を流すだけで動くとは言ってたけど……」

 わたしは恐る恐るコンロ型の魔道具に魔力を流すと、ボッと火が現れた。
 使うのは初めてだったけど、どうやら上手くいったようだ。

「あとは、油が温まるまでしばらく待って、と。あ、そうだサラ。今の内に菜箸を作ってくれる? ちょっと長めのお箸みたいなやつ」
「ぷる? ぷるーん!」

 サラは一瞬不思議そうにしたけど、すぐにわたしの意図を察したのか長めのお箸を出してくれた。
 もしかすると、菜箸っていうのがちょっと伝わりにくかったのかもしれないね。
 だけど、サラはわたしがイメージする通りの菜箸を生み出してくれたので、本当に感謝しかない。

「菜箸の先っちょを油の表面につけて……お、ちょっとブクブクしてきてる。いい感じに油の温度が上がってきてるね」

 菜箸を使ってジャガイモをゆっくりかき混ぜて揚がり具合を確認する。
 今まで淡く黄色っぽかった生のジャガイモが、だんだんと茶色っぽくなって揚がってきていた。
 うんうん、いい感じに出来てきてるね! 
 本当は小麦粉とかがあった方がいいっぽいんだけど、今は持ってないから今回はシンプルな素揚げだ。
 だけど、今のところ見た目は美味しそうなポテトに仕上がりつつある。

 ポテトの出来上がりが近づいていることに喜んでいると、真横でその様子を眺めていたサラが何かの物体を生み出した。

「ぷるん!」
「ん、どうしたのサラ……って、これは――!」

 サラが出してくれたのは、二つの調理器具。
 一つは細かく無数の穴が空いたお玉杓子、そしてもう一つはアイアンゴーレムを素材に作成したっぽいダークグレーのトレイだった。

「これは揚げ物を取り出す用のお玉杓子に、取り出した揚げ物を置いておくトレイじゃん! ありがとうサラ!」
 
 たしかにどちらも揚げ物をする時にはあったら便利なものだ。
 わたしはこれを作ってほしいってお願いしてないのに、ちょうど欲しい物を作ってくれるなんて気が利きすぎるでしょ!
 さすがはサラだね!

 わたしは菜箸を置いて、サラが作ってくれたお玉杓子で油の中にあるジャガイモをゆっくり混ぜる。
 揚がり具合もいい感じで、そろそろ一回出そうか。
 わたしは軽く油を落として、トレイに移していく。
 う~ん!
 調度よく揚がったポテトのいい香りがする!
 全てのポテトをトレイに移し終わると、サラがテンション高めに跳ね上がった。

「ぷるーん!」
「ふふふ、まだ完成じゃないよ。後はこのポテトに塩をまぶして……」

 わたしはアイテムボックスから塩を取り出し、ひとつまみしてパラパラとポテトの上から振りかける。
 ポテト全体に均等に塩が行き渡ったところで、わたしは高らかに叫びをあげた。

「よし! これでポテトの完成だー!!」
「ぷるるーん!!」

 ポテト完成宣言と同時に、わたしとサラは手を取り合って万歳した。
 辺りにはポテトの香ばしい匂いが充満している。
 そんじゃあ、早速食べてみよう!

 ポテト作りは初めてだったから少し不安だけど、果たして美味しくできているか……実食だ!!



しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった

今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。 しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。 それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。 一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。 しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。 加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。 レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

処理中です...