ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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交易都市ラグリージュへ赴いちゃう、ぽっちゃり

第112話  イメチェンしちゃう、ぽっちゃり

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 皆でラグリージュ行きを決定し、朝ごはんを食べ終えたわたしたちは、各々準備のために自室へ戻っていた。 
 わたしも愛しの従魔たちと一緒に、自分の部屋にいる。
 
「なんやご主人の部屋来んのも久しぶりやな~」
「ぷる~ん」

 サラとわいちゃんはわたしの足元で仲良く会話している。
 そう言えば、わたしが魔力切れで痩せていた間は従魔組はナターリャちゃんの部屋で寝ていたのだ。
 何でも、まだ魔力が完全に戻りきっていないわたしに少しでも負担をかけないためだそうだけど……多分ナターリャちゃんが一緒に寝たかっただけだよね?
 まあナターリャちゃんが楽しそうだったから良かったけどさ。

「さて、と」

 わたしは今朝自分のぽっちゃりボディを確認した姿見の前に立っていた。

 自室に戻ってきたわたしだけど、持ち物は基本的に全部アイテムボックスに入れているので、荷物をまとめたりする必要はない。
 準備することがあるとすれば精々ちょっとした身だしなみを整えるくらいだけど、必要最低限のレベルが保たれていれば良い派のわたしはさほどオシャレをすることもない。
 では、なぜわざわざ自室へと戻ってきたのか?
 それは――

「ふっふっふ、これはちょうどいい機会だ。ここで新たに獲得したスキルを試してみようじゃない」

 先日の狂乱化騒動の一件。
 その際にゴブリンロードを倒したことで、わたしのステータスはそこそこ向上していた。
 それと同時に、二つの新スキルも獲得していたのだ。

「ご主人、新しいスキルって何をするつもりなんや?」
「ぷるん?」

 わたしについてきたわいちゃんとサラが足元で不思議そうに首をかしげている。
 実はわたしの新スキルについてはまだ誰にも話していなかったから知らないのも無理はない。
 てか、昨日の夜にふと今のステータスとかどうなってるんだろうと思って確かめてみたら偶然見つけただけなんだけどね。

「まあ、ちょっと見ててよ」

 昨日の夜、自室で一度このスキルを試している。
 だからどんな変化が起こるのかはわかっているけど、わたしは少し間を溜めてから、姿見に向かって右手を突き出した。

「スキル――クローゼット!」

 その瞬間、わたしの体が淡い光に包まれる。
 正確に言うなら、わたしが着ているジャージが、かな?

「な、なんや!? ご主人の服がピカピカ光りよったで!?」
「ぷるん!」

 ふふふ、サラとわいちゃんも驚いているみたいだね。
 わたしの予想通りだ。
 数秒ほどジャージが謎の光に包まれると、やがてその光が収まっていく。

 そしてジャージの代わりとして現れたのは、赤を基調としただった。

「ご主人の服が変わったで!? ど、どないなっとんのや!?」
「ぷるーん!」

 突如変身したわたしの姿に、サラとわいちゃんがにわかに騒ぐ。
 従魔たちの反応にわたしは得意気に笑った。

 姿見に写し出されたわたしの格好を見てみると、かなり動きやすそうな服装に変わっていた。
 赤を基調としているのはそのままで、サッパリとした上着に身軽な服。
 下もジャージと同じくズボンタイプだけど、デザインが結構オシャレになっている。
 ただ全身をよく見ると、所々ジャージの面影を匂わせるデザインとなっているね。
 赤ジャージが超進化したみたいな冒険者コーデだ。

「ふふふ、驚いた? これがわたしが新しく獲得したスキル、『クローゼット』だよ。わたしが愛用しているジャージを、好きなタイプの服に変形することができるんだ!」

 これなら、万が一魔力切れが起こっても服がはだけてしまうことはない。
 狂乱化現象の時はゴブリンロードとの戦闘も大変だったけど、倒した後わたしが激痩せしたことでサイズが合わなくなったジャージを頑張って身にまとい続けるのも辛かった。
 あの時は何とか出涸らしの魔力でジャージを固定してずり落ちるのを防いだけど、あんなヒヤヒヤする思いはもう二度としたくない。

 その点、この新スキル『クローゼット』は便利だ。
 赤ジャージを元に変形するとはいえ、わたしがイメージものに近い服装に自動的に変わってくれるし、サイズ調整なんかも自由自在。
 この先わたしが食べまくってさらに体が大きくなったとしても、服がはち切れたりすることはない。
 何気に今までのジャージも、わたしが戦闘中に激しく動いても破れたりしなかったから、結構頑丈だったのかもしれないね。

「い、いきなり着てる服が変わったもんやから驚いたけど、その服もえらい似合ってまっせ!」
「ぶるるーん!」
「ほんと? ありがとう!」

 サラとわいちゃんがわたしのイメチェンしたコーデを褒めてくれる。
 個人的には中々イケてる格好なんじゃないかと思ってたけど、やっぱり誰かから褒められると嬉しくなるね!

 姿見の前でくるくる体を回して色んな角度から冒険者コーデを確認していると、わたしの部屋の扉がノックされた。

「コロネお姉ちゃーん! ナターリャ準備できたよー! 入ってもいいー?」
「ナターリャちゃん! いいよ、入ってきて!」

 入室の許可をすると、ナターリャちゃんが部屋へ入ってきた。
 そして、イメチェンしたわたしの姿を見て仰天する。

「コ、コロネお姉ちゃん!? その格好はなに!?」
「ふっふっふ、これはねぇ――――」

 新スキル『クローゼット』の説明をナターリャちゃんにもしてあげる。
 ナターリャちゃんは『クローゼット』の効果に驚いた後、冒険者コーデを絶賛してくれた。
 わたしは嬉しくてにんまりしながら、ありがとう~!! と、ナターリャちゃんを抱き締めた。


 

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