ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

文字の大きさ
上 下
65 / 265
異世界ライフを満喫しちゃう、ぽっちゃり

第64話  メイドさんに仕えられちゃう、ぽっちゃり

しおりを挟む

 エミリーという美少女メイドが、巨乳属性も併せ持っていたという衝撃に打ちのめされてしまったわたし。
 美少女×メイド×巨乳だなんて、なんとけしからん属性を掛け合わせているんだこの子は……!
 全く、わたしが女性だったから良かったものの、もし男だったら軽く卒倒していてもおかしくないくらいの破壊力をエミリーは持っているよ……!

「えーと、あなたはオリビアお嬢様のお付きの方々でしょうか?」

 わたしにエミリーが問いかけてくる。
 そう言えばまだわたしの自己紹介が済んでいなかったね。

「ああ、わたしはコロネだよ。一応、冒険者だね。オリビアのお付きってわけじゃないけど、まあ友達、かな?」
「コロネさんは私のお友達です!」

 オリビアがほっぺを膨らませながら訂正する。
 友達と公言しても良いのか微妙だったから少し曖昧な表現を使ったんだけど、オリビアはご立腹みたいだ。
 まあ、オリビアがわたしのことを友達と思ってくれているのは素直に嬉しいね。

「それで、この子たちはパーティメンバーなんだ。ナターリャちゃんと、わたしの従魔のサラとわいちゃんだよ」
「ナターリャだよ!」
「ぷるん!」
「わいちゃんや! よろしゅうなエミリーはん!」

 ナターリャちゃんを皮切りに、足元にいるサラとわいちゃんも挨拶をする。

 これでわたしたちの自己紹介は済んだかな、なんて思っていると、エミリーがわなわなと震えだした。
 え、急にどうしたんだろう。
 なにかおかしなところはあったかな?

 わたしがエミリーの反応に戸惑っていると、エミリーはバババ! と素早い動作でわたしの手を取り、胸の前で包み込むように握った。

「コ、コロネ様!? あなたがコロネ様なのですか!?」
「そうだけど、わたしのこと知ってるの?」
「はい! というのも私、本日付でウォルトカノン家での給仕の職を解かれた身でして……。代わりに、今日からこちらのお屋敷でコロネ様という方のお世話をするようアルバート様から言い伝えられました!」

 え、なにそれ。
 聞いてないんだけど。

 エミリーはオリビアのお屋敷でメイドとして働いていたみたいだけど、今日からこのお屋敷でメイド業務をするようアルバートさんに異動を命じられたってこと?
 そんなことアルバートさん一言も言ってなかったよね。
 さっきわたしの宿にまで押し掛けてきたんだから、一言教えてくれても良かったのに。
 ああ、でもそれじゃあオリビアのお礼の品がこのお屋敷だってことがわたしにバレてしまってその場で断られる可能性があったから黙っていたのかな。
 ……なんか、是が非でもこのお屋敷にわたしを住まわせたいっていうアルバートさんとオリビアの確固たる意志が垣間見得てくるようだね……。

 いや、待てよ?
 この際アルバートさんがエミリーのことを秘密にしていたってのはもういいけど、わたしの持ち家となったこのお屋敷でエミリーが働くということは――

「つ、つまり、わたしにメイドさんがつくってこと!?」

 この美少女巨乳メイドの主人がわたし!?
 エミリーの口ぶりからすると、わたしのお世話をするよう命じられてこのお屋敷に異動になったって言ってたから、そういうことだよね!?

 わたしが確認すると、エミリーはやる気に満ちた瞳でわたしの手を強く握る。

「はいっ! 私はまだまだ未熟なメイドですが、コロネ様が快適にこのお屋敷で過ごせるよう、精一杯働かせていただきます!」
「う、うん。よろしくね!」

 エミリーは目に炎を灯し、なぜかとてもやる気を出している。
 さっきオリビアのお屋敷の職を解かれた話をしていた時は少し悲しそうだったけど、こっちのお屋敷でメイド職ができるから頑張ろうとしてくれてるのかな。
 メイド側から見たら、正真正銘の貴族に仕える方が格上みたいな風潮があるのかもしれない。
 わたしはただのぽっちゃりの冒険者だからね。

 それでもエミリーはメイドとしてやる気を出してくれているし、わたしもエミリーにお世話されるのは嫌じゃない。
 だけど、ここでエミリーが働くとなると、一つ確かめておかないといけないことがある。

「あのさ、わたしのお屋敷で働いてくれるのは嬉しいんだけど、エミリーのお給料とかってわたしが出すの?」
「いえ、全てお父様が支払ってくれております。あくまでもエミリーはこちらのお屋敷で業務を行うだけであって、ウォルトカノン家との雇用契約が切られた訳ではありませんから」
「なるほど。それじゃあ単純にアルバートさんが雇っているメイドさんの一人をわたしのお屋敷に派遣してくれているって感じなんだね」
「はい。そのような認識で問題ありません」

 オリビアの説明を聞いて納得がいく。
 別にわたしがエミリーのお給料を払うのは全然問題ないんだけど、こういうお金のことはきっちり確かめておいた方がいいからね。
 後から変に揉めてもいやだし。

「エミリーお姉ちゃん、これからこのお屋敷で働くの?」

 ナターリャちゃんが、エミリーのメイド服の裾をくいくいしながら聞いてくる。
 エミリーはわたしから離れると、背が低いナターリャちゃんに合わせて屈んで応える。

「はい! コロネ様だけでなく、パーティメンバーであるナターリャ様や従魔様にも精一杯お仕えさせていただきます!」
「やったー! それじゃあ、エミリーお姉ちゃんと毎日このお屋敷で会えるの!?」
「いや、ナターリャちゃん。さすがに毎日は――」

 毎日エミリーと会えると期待しているナターリャちゃんに、わたしが否定しようとすると、エミリーが力強く答えた。

「いえ! 私は毎日こちらのお屋敷で働かせていただきたいと思っております! 一応、アルバート様はコロネ様の許可をいただけるなら住み込みで働いても構わないと仰られておりましたので! も、もちろん、このお屋敷で私が生活することをコロネ様がお許しいただけるならですが……」
「ん~、まあ空き部屋は大量にあるし、エミリーの部屋を用意するのは簡単だから全然いいんだけど……」
「わあああ! 本当ですかコロネ様! ありがとうございます!!」
「でも、エミリーはそれで大丈夫なの? 住み込みで働くからって、さすがに毎日メイド業をこなすのは大変だよ」
「問題ございません! 私のような者にお仕事を下さっているアルバート様とコロネ様の期待を裏切るわけにはいきませんから!!」

 いや、だからその謎のやる気は一体どこから来てるの!?
 だけど、エミリーが住み込みで働けるようになってナターリャちゃんはとても喜んでいる。

「エミリーお姉ちゃんもこのお屋敷に住むの? それって、ナターリャたちと一緒に暮らすってことだよね!?」
「はい! 不束者ではございますが、皆様と生活を共にさせていただきます!」
「わーい! これからエミリーお姉ちゃんともずっと一緒にいられるんだ~!」
「そ、そんなに私を求めていただけるなんて……ありがとうございます! サラ様とわいちゃん様もよろしくお願いいたします!」
「ぷるーん!」
「こちらこそよろしゅうやで、エミリーはん!」

 こうして、わたしのお屋敷に一緒に暮らすメンバーが一人増えた。
 しかもその子は美少女メイドさん。

 いきなりのことで驚いたけど……これはこれで賑やかになって楽しそうだからいっか!
 だけど、エミリーは働きすぎには注意してね。
 間違っても過労で倒れたりとかしないでよ。

 やる気あふれるエミリーの体を心配しつつも、これから訪れるであろう楽しい生活を思い描き、皆と一緒にエミリーの住み込みを歓迎した。


しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

処理中です...