ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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異世界ライフを満喫しちゃう、ぽっちゃり

第62話  屋敷の中を探検しちゃう、ぽっちゃり

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 探検を開始して数十分。
 予想通りと言うべきか、屋敷の中にある物は間取りも家具も全てが規格外だった。

 それは例えば、お風呂。

「うわぁ! めっちゃお風呂広いじゃん!?」
「はい! 四人パーティくらいでしたら、余裕で一緒にお風呂に入れちゃいます!」
「わーい! ナターリャ、コロネお姉ちゃんとお風呂入りたーい!」
使つこうてないわりにはタイルなんかもごっつキレイやで! こりゃあ、水浴びもはかどりまんな~!」
「ぷるーん!」


 続いて、リビング。

「リビングもすごーい! あ、素敵なテーブルもあるよ!」
「このテーブルもなんかすごい高級そうだね。大理石と似た感じがするよ」
「テーブルなどは我が家に使っていない物もありますので、必要であればお申し付けくださいね!」
「ぷるぷる~!」
「ああ、サラはんがツルツルの床で転がって遊んどる! わいもやらしてーな!」


 そして最後に、数々の個室。

「こちらの部屋は他と比べ少し小さいので、物置にでもご使用ください」
「いやいや、この部屋でも十分大きいよ。前のわたしの部屋より普通に広いから……!」
「ここは日当たりもよさそうやさかい、わいはこの部屋でも全然満足やで」
「わいちゃんは一人でこのお部屋に寝るの? それじゃあナターリャは、サラちゃんと一緒に隣のお部屋で寝ようかなぁ! ね、サラちゃん!」
「ぷるん!」



 ほどなくして最初の大広間に戻ってきたわたしたちは、皆で一息つくことにした。

「ふぅ。これで一階は大体見て回ったね!」
「とっても楽しかったね、コロネお姉ちゃん!」
「わいは、ちょっと疲れてもぉたわ……」
「一階だけとはいえ、それなりの広さがありますからね。無理もありません」

 たしかに屋敷の一階部分の探検はあらかた終わった。
 しかし、たった一階だけと侮るなかれ。
 オリビアの言うようにこの家は普通の一軒家を大きく上回る規模の広さをしているので、一階を見て回るだけでも結構な体力を使うのだ……!
 まあわたしは身体強化があるからそこまで疲労はないけど、体が小さいわいちゃんには負担が大きかったみたい。

「ちなみに二階は大体が個室となるので、ざっと見て回るだけでも十分かと思います」
「そうなんだ。それなら二階のチェックはすぐに済みそうだね」

 オリビアの言葉を聞いて安心する。
 わたしも体力的な疲労はないとはいえ、やっぱり精神的には若干の疲れがあったからね。
 二階も一階と同じくらい見所満載の間取りをしていたらくたくたになってしまっていたかもしれない。

 わたしがひと安心していると、屋敷の中からドンッ! と鈍い音が響いて――

 ゴロゴロドガドガドッシャーン!

 何かが崩れ落ちるような大きな音が屋敷に響きわたる。
 突然の異音に、みんな驚いているようだ。

「な、なに!? 今の音は!」
「け、結構ごっつい音やったで……!」
「な、なにかが倒れちゃったのかなぁ?」
「ぷるん!」

 屋敷中に響きわたる音だったけど、発生源はこの辺りではなくもっと奥の方……恐らく二階だ。
 少しばかし警戒心を持ちながら、オリビアに確認する。

「もしかして、この屋敷に他に誰かいたりする?」
「定期的に屋敷の中を掃除する者を派遣しておりますが、今日はこの屋敷に人が入るとは聞いておりません」

 どうやら、屋敷にはわたしたち以外誰もいないはず、ということらしい。
 だけど、わたしの脳裏にはある可能性が浮かび上がる。

「ナターリャちゃんの言う通り何かが倒れただけなら良いんだけど……万が一、泥棒だったらマズイよね」
「ど、泥棒なの!?」
「いや、あくまでも可能性の一つだけどね」
「ぷるぅん……」

 オリビアはあごに手をあてて、わたしの意見を考えだす。

「これだけの屋敷ですと、可能性がゼロとは言えません。私の周りで実際に被害を受けた者はおりませんが、やはり高価な物件が長期間売れ残っていると、中にある家具や調度品目的で盗みに走る者が出ることもあるそうですから」

 やっぱりそうだよね。
 発生件数自体は少ないんだろうけど、これだけ外観から立派なお屋敷だったら、空き巣犯みたいな人間にも目をつけられそうだ。
 この辺りの地区ではぶっちぎりでこの屋敷が目立ちまくってるからね。

「それじゃ確認しに行くしかないね。ちょっとさっきの音の発生源を見てくるよ」

 このような状態で話し合っていても推測の域を出ないからね。
 謎の異音の真相を突き止めるには、その発生源に突撃するのが一番手っ取り早い。

 わたしは一人でちょちょっと確認してすぐ戻ってくるつもりだったんだけど、すかさずオリビアが名乗りをあげた。

「私も一緒に行きます」
「え、オリビアも? でも本当に泥棒だったらどうするの? オリビアを危険に晒すわけにはいかないから、ここで皆と待っててくれても――」
「一応、最低限の護身ができるくらいには魔法を鍛えております。それに、今この場で一番安全なのはコロネさんの近くにいることだと思いますよ」

 ……むむむ、たしかにオリビアの言う通りかもしれない。
 わたしならオリビアを含めたパーティメンバー全員を守りながらでも、泥棒と戦うことくらいはできるだろう。
 まだ異世界生活三日目に過ぎないというのに、それなりの種類の魔物と戦ってきたわたしなら、今さら泥棒の十人や二十人相手にしたって負ける気がしない。

 この場に皆を集めてから付近に強力なバリアを張って、わたし一人で確認しに行くという手もあるけど……それじゃ皆は納得しなさそうだ。
 なんだかんだ言いながら、皆さっきの音の正体が気になっているんだろうね。

「じゃあ皆で二階の部屋を確認しにいこうか! 万が一泥棒がいても、わたしがぶん殴って大人しくさせるから、安心してね!」
「コロネお姉ちゃんがいてくれたら安心だね!」
「ふふ、頼りにしておりますねコロネさん」
「ご主人の手にかかれば泥棒ごとき一発やろからな!」
「ぷるーん!」

 何だかめちゃくちゃ頼られているね。
 まあでも、頼られるのはそんなに悪い気はしないからいっか。

 わたしたちは周囲への警戒をしつつ、二階へ続く大きな階段を上がっていった。


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