ぽっちゃり無双 ~まんまる女子、『暴食』のチートスキルで最強&飯テロ異世界生活を満喫しちゃう!~

空戯K

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異世界ライフを満喫しちゃう、ぽっちゃり

第41話  大魔法を発動しちゃう、ぽっちゃり

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 周囲の空間を覆い尽くすほどの青白いスパーク。

 それらのスパークはわたしを中心として全方位に拡散していき、バリアの周辺にいたアーミータラテクトの群れを瞬く間に呑み込んだ。
 バヂバヂバヂバヂィッ! と、凄まじい電撃と火花が弾けている。
 アーミータラテクトの様子もうかがいつつ、念入りに数秒ほどスパークリングボルトを持続させてから、魔法を止める。
 スパークリングボルトを止めたのと同時、辺りからドサドサと大量の蜘蛛が倒れ落ちていった。

「ふぅ、こんなもんかな」

 アーミータラテクトの亡骸なきがらを確認してみると、大きな身体は黒い煙をあげながら少し焦げていた。
 電気エネルギーが強力すぎて発火したようだ。
 もっと魔力を込めていたら、きっと丸焦げになっていただろうね。

 ハッハッハ、どうだ!
 これぞわたしの範囲攻撃魔法、スパークリングボルト!
 帯電し、青白い閃光を撃ち放つぽっちゃりはカッコいいだろう!!

「す、すごいよコロネお姉ちゃん! いまの魔法なに!? ナターリャ、こんなすごい魔法見たことない!!」
「サンダーボルトの応用版だよ。これなら楽にアーミータラテクトを殲滅できると思ってね」

 その分、魔力消費もそこそこあるけどね。
 あんまり無闇に乱発し過ぎると後々マズイ状況に追い込まれるかもしれないので、使いすぎには注意が必要だ。

「うーん、ただこの蜘蛛たちの死体はどうしようかな」

 バリアの周囲に沿うように円形に大量のアーミータラテクトが倒れている。
 それによってかなり視界が遮られていて、あまり付近の様子が確認できない。
 恐らく襲ってきたアーミータラテクトはいま倒した分だけではないだろうから、あと何回かスパークリングボルトを繰り返して一掃する必要があるだろう。
 だけどその前にこのアーミータラテクトの死体をどかさないと、まだ生き残っている蜘蛛への攻撃が通りにくくなる。
 あと視界に入るだけでシンプルにきもい。

 サラを呼び出して周囲のアーミータラテクトの死体を吸収していってもらうっていうのでもいいんだけど、そうなるとサラが一瞬バリアの外側にいかなくてはいけなくなる。
 つまり万全の守りが効かない場所に身を投じさせるということだから、ちょっとリスキーだね。
 万が一サラがやられてしまったりなんかしたら大変だ。

「ここはわたしのアイテムボックスに入れておくのが一番かな。……できればこんな蜘蛛の死体はアイテムボックスにも入れたくはないんだけど」

 まあ、サラを危険にさらすよりはマシだ。
 わたしはナターリャちゃんに振り向く。

「ちょっとそこらの死体をアイテムボックスで回収してくるよ。多分あと何回か今みたいにスパークリングボルトでアーミータラテクトを殲滅すると思うから、もう少し待っててね」
「わかった! ナターリャ、いくらでも待つよ!」

 ナターリャちゃんに、ありがとうと言って、わたしはバリアの端っこに向かう。
 ほんの二、三メートルくらいの距離で、数多くのアーミータラテクトの死体が折り重なるように倒れていた。
 うぅ、間近で見るとよりフォルムやお腹の質感とかが分かってぞわぞわする。
 こんなのずっと見てられないから、さっさとアイテムボックスにしまっちゃおう。

 わたしがアーミータラテクトの死体に向けて手を向け、アイテムボックスを発動しようとした瞬間――

 ――……ザァァアアン!

 わたしの目の前に倒れていたアーミータラテクトの死体が、粉々に切り刻まれる。
 その拍子に飛び散った緑色の体液がバリアにべっとりと付着する。

「うわわわわ! な、なにっ! なにが起こったの!?」

 目の前でアーミータラテクトの死体がバラバラに刻まれた瞬間、バリア全体にも衝撃が伝わっていた。
 間違いなく、本日一番の攻撃力。
 これは……普通のアーミータラテクトじゃない!?

 わたしがそう予感すると、目の前で視界を塞いでいた緑色の蜘蛛の体液が浮かした油汚れみたいにするすると下に流れていく。  
 これはわたしのバリアの効果だ。
 そして、木の上から一体の魔物が姿を現した。

「ギィ、ギギャシャァアッ……!」

 アーミータラテクトとは全く異なる、タランチュラのようなフォルム。
 その不気味な巨大蜘蛛は、一線を画す風格をまとってわたしを見下ろしていた。



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