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異世界ライフを満喫しちゃう、ぽっちゃり

第32話  再び焼き鳥を味わっちゃう、ぽっちゃり

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 一通りの注文を済ませたわたしは、ワクワク感と共に料理が運ばれてくるのを待っていた。
 サラも待ちきれないのか、ぷるぷると震えている。
 そんなサラをぽよぽよして遊びながら待っていると、猫人のウエイトレスさんがやってきた。

「お待たせしましたニャ~! こちら、焼き鳥スペシャルセットになりますニャ!」

 ウエイトレスさんはお盆に乗せた大きなお皿をドンッと置いた。
 色んな種類の焼き鳥が山積みになって乗っかっていて、豪勢な一品となっている!

「うおおおお! これが焼き鳥スペシャルセット!!」
「左側がタレ、右側が塩の焼き鳥となっておりますニャ!」

 山積みになった焼き鳥たちは、よく見るとM字型になって二つの山に分かれていた。
 なるほど。
 左の山がタレの焼き鳥で、右の山が塩の焼き鳥のようだ。
 この一皿でタレと塩の焼き鳥を両方味わうことができるだなんて、なんて贅沢なのか……!
 焼き鳥スペシャルセットは一品で金貨一枚もしてたからね。
 多分これパーティー用みたいな位置付けの料理なんだろうけど、ぽっちゃりには通常量に過ぎない。

「焼き鳥の内訳は、鶏もも、鶏皮、ねぎま、ぼんじりの四種類がございますニャ! どれも美味しいのでたくさん食べてくれると嬉しいニャ! それでは、ごゆっくりニャ~!」
「ありがとうございます!」

 それだけ言うと、ウエイトレスさんはしっぽをフリフリさせながら別のテーブルへ走っていった。
 残されたわたしは、再び焼き鳥スペシャルセットに向き合う。

「これだけあるとどれから食べるか迷うけど、まずはこのもも肉から。いただきます!」

 うひょ~、こんがり焼き色がついたもも肉!
 最初は塩をチョイスだ!

 パクっと食べ、串を引き抜く。
 すると、鶏の旨味が口いっぱいに広がった!
 いい感じに効いてる塩が肉の旨味を引き立てて美味しい!

「ああ~、焼き鳥うまぁ!」
「ぷるん!」

 サラがぽよんと跳ねる。
 焼き鳥をおねだりしているようだ。

「サラも食べていいよ! 色んな焼き鳥があるから、好きに食べて!」
「ぷるーん!」

 そう言うとサラはスライムボディから腕を伸ばして一本の焼き鳥をつかみ、食べ始めた。
 ご機嫌そうに震えているから、美味しいみたいだ。

 わたしも鶏ももの串を食べ終えたので、次の焼き鳥を選ぶ。

「お次は鶏皮でもいっちゃおっかな~! 今度はタレで!」

 鶏皮を食べた瞬間に感じる、ぐにっぐにの弾力。 
 歯ごたえがすごい!
 それに鶏皮に絡みついた甘めのタレが舌に残って美味しい!
 まるで肉汁とタレが溢れるグミを食べているみたいだ!
 ちょっとこれ止まんないわ。

 バクバクと鶏皮を五本くらい食べてから、次なる串に手を伸ばす。

「これは、ねぎまだね。はたして異世界のネギはどんな感じなのか――」

 まずは串の先端にある鶏ももを一口。
 うん、やっぱりめちゃ美味い。
 そしてすかさず、次に刺さっているネギを口にした。
 んんん!
 シャキシャキとした食感と吹き抜ける炭火の香りがエクセレント!
 噛めば噛むほどネギの甘みがにじみ出てきて美味しすぎる!
 鶏肉とネギを交互に食べてたら永遠に食べ続けられるよマジで。
 いけないいけない。
 サラが食べる分も残しておかないと。
 
「最後はこのぼんじり……いただきます!」

 ぼんじり串をまじまじと見つめた後、大胆に頬張る!

 外はカリッと、中はジューシーな鶏の脂がすごくてたまんない!
 鶏のうま味が凝縮されて舌が幸せ……。
 身も締まってて食べ応え抜群……!
 ご飯があるならぼんじり丼も作りたいくらいだよ!

「ぷるーん!」
「ふふ、サラも美味しい?」
「ぷるん! ぷるん!」

 サラもジャンプしてご満悦のようだ。
 この焼き鳥はわたしも思わず飛び上がってしまうくらいの美味しさだから、仕方ないね。

 だが、わたしが注文した料理はこれだけではない。

「おっ待たせしましたニャ~!」

 ふっ、きたか。
 猫人のウエイトレスさんが、新たな皿を持ってきた。

 そう。
 わたしが頼んでいたのはメインとなる焼き鳥だけではない。
 あのホットドッグ屋のお兄さんが、クックドゥードゥルドゥはサイドメニューも美味しいと言っていたので、一つ気になる商品を頼んでおいたのだ。
 ウエイトレスさんは、大きなお皿に乗せた料理をわたしのテーブルに置いた。

「こちら、照り焼きスペシャルバーガーになりますニャ!」

 そう!
 イッツ、ハンバーガーっ!! 
 クックドゥードゥルドゥの変わり種、大胆に鶏肉を使用した照り焼きハンバーガーだ!

「ぐへへへ、まさか異世界でバーガーが食べられるとは思わなかったよ! しかも照り焼きバーガーなんて百パー美味しいに決まってるんだよねぇ!?」

 大きなバンズに挟まる、太いテカテカの照り焼きチキン。
 その間にはこぼれんばかりのレタスやソースがはみ出ている。
 バンズも少し焼き色がついていて、カリカリふわふわだ。
 え、最高すぎん?

 具がこぼれないように大きなバーガーを手に取り、サラに見せてあげる。

「見て見てサラ! すっごく美味しそうじゃない!?」
「ぷるるーん!」
「後でサラにも食べさせてあげるからね! それではお先に……がぶっ!」

 大きな口を開けて、バーガーにかぶりついた。

 美味うまぁあああああい!!

 甘いタレをまとった照り焼きチキンと、辛めのソースが絡み合ってめちゃくちゃ美味しい!
 みずみずしいレタスもいいアクセントになっていて最高すぎる!

「はぁ、美味しい! 幸せ~……!」

 多幸感に満たされながらバーガーをバクバク食べる。
 そのままバーガーを楽しんでいると、あっという間に食べ終えてしまった。
 はぁ~、美味しかったぁ。
 もう一個頼んじゃおうかな?

 わたしが食後の余韻に浸っていると、周囲が少しざわめき始める。
 すると、ドンッ! とテーブルを叩く音が響いた。

「そ、そんなの聞いてた話と全然違うもん! これっぽっちのお金じゃ困るの!!」

 わたしの後ろのテーブルから、女の子の叫び声が響きわたった。




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