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13、準備時間
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――全員一致で脳裏に浮かんだ最大の疑問
『中学の同窓会の主催者は誰なのか』
だった。
でも、どう考えるべきなのかと、どう答えるべきなのかと誰かが話し始めるのを待つように皆はお互いの様子を伺い合う。
「俺たちに中学の同窓会への招待状を送ってくるくらいだから、当然、主催者が犯人に決まってる!!」
と沈黙を最初に破った薄井は犯人は中学の同窓会の招待状を出した人物だと決めてかかる。
「そう結論付けるのは早いと思う。」
と薄井の意見に反対する一之瀬の言葉に顔の見えない相手にたいして慎重になっている他のメンバーも「一之瀬と同じ意見」だと言って決めてかかっている薄井の意見に反対する。
「はぁ?」
全員揃って自分の意見を否定された薄井の顔に不機嫌と苛立ちと怒りが浮き上がっていって、一之瀬たち3人を睨み付ける。
一方的に睨み付けられた一之瀬たちの顔にも不機嫌と苛立ちと怒りが浮かび上がっていく。
そうして男子たちの雰囲気がさらに酷くなっていくのだった。
ーー男子たちのにらみ合いのせいで雰囲気の悪い沈黙をふたたびいくみがぶち破る。
「ねえねえ。今は犯人捜しより、ここからどうやって脱出するのか……の方が大事じゃなぁ~い?」
といくみがお菓子を頬張りながら、今にも殴り合いのケンカでも始めそうな男子たちにのほほんと指摘する。
「!?」
いくみののほほんとした声に止められて、睨み合っていた男子たちが女子たちのいる方を振り返ってから、目に入ったいくみの行動にぎょっとする。
「お、おい、いくみ、何食べてんだよ!」
と草壁が慌てて、いくみを止めようと近付いてくる。
ーーそう、さっき問題になっていた、まだ毒が入っていないかの確認もすんでいなかったのにお菓子を食べていたからだ。
草壁に注意されても、そんなのお構いなしに食べ続けながらいくみは、
「……モグモグ。へい、きだよ……モグモグ。ゴックンッ。」
と一旦飲み込んでから、
「だって、これ、密封容器だもん。」
と言ってお菓子の容器を皆に見せた。
ーー確かにそのお菓子の外側の袋は密封されていて、お菓子そのものは個包装で密封されている。
全員、ちょっと疑問に思いつつも、食べて何ともないいくみを見てほっとしながら、密封容器なら大丈夫かと思って、ここぞ待ってましたと言わんばかりに自分たちの食料や飲み物を確保しに行く。
確実に密封されてるお菓子やきちんと保管されている調理の必要ないすぐに食べられる缶詰めといった安全そうな食べ物類、キチッと未開封のペットボトルの飲み物から、とりあえず2~3日分を選んでから食べ物をリュックに詰めてから、そのままキッチンに行ってペットボトルの外側、特に未開封の蓋の部分を念入りにを台所洗剤で洗う弥生。
その行動を見ていた皆は、「その方法があったか」と言って、弥生と同じようにペットボトルの外側を台所洗剤で洗っていくのだった。
ーー皆がペットボトルを執拗に洗っている時、先に洗い終わってリュックに詰め終えた弥生は、倉庫の方とかそれ以外の物が置いてある場所をもう一度詳しく見ていく。
「(……そてと、他にも何か使えるものはないかな?)」
紙やメモ帳やペンは勿論、小さなハサミもあったので、何かに使えそうなものを次々とリュックに詰めながら、さらに何かないかとどんどん捜索。
「……何かあったか?」
いきなり後ろから声をかけられて、危うく叫びそうになったのを必死で堪える。
「……な、ないよ。今のところ……。」
と言うと、声をかけてきた一之瀬に向かってひきつったように笑う。
「……そうか。俺も探す。」
そんな弥生の様子に気付いたのか気付いていないのか、どちらともわからないまま何も言わずに並んで一緒に捜索を始める一之瀬。
ーーだから、最初の内は内心ビクビクドキドキと緊張していた弥生も、色々と使えるものはないかと物を探すうちに何とか落ち着きを取り戻してきて、彼への態度もいつの間にか自然にできるようになっていた。
ーー各自、捜索が終わってからテーブルの前に集まった。
「ーー結局、見つけたのは……」
と言いながら、弥生は皆が見ている前で一つずつテーブルに置いていく。
「人数分の万能ナイフ、ライター、マッチ、未開封の袋に入ったタオル類、袋類、ペン、ノート」
「とりあえずこれだけ人数分見つけたから、それぞれ持ってるといいよ。」
そう言うと、疑うことなく皆もそれぞれ一つずつ取ってリュックに詰めていく。
「他に何かあったか?」
一之瀬が皆にも聞くと、「これ見つけた」と言って草壁が傷薬や腹痛の薬などが入った《ミニ救急箱》を人数分見つけたとテーブルに並べる。
すぐにリュックに詰めながら、「他には?」と聞くと、「あとは特に何もなかった」と答えた。一部に不穏な空気を出していた人間もいたのに気付いたけど、そのまま特に何も聞かずに見ていなかったと言う感じでスルーしていた。
「ーーひとまずこれで何かあってもなんとかなるか。」
そう言いながら一之瀬は皆の様子を一人一人確認していく。
ーーそれでも不安がなくなった訳でも消えた訳でもないけど、とりあえずは皆も同意するように頷いたのだった。
『中学の同窓会の主催者は誰なのか』
だった。
でも、どう考えるべきなのかと、どう答えるべきなのかと誰かが話し始めるのを待つように皆はお互いの様子を伺い合う。
「俺たちに中学の同窓会への招待状を送ってくるくらいだから、当然、主催者が犯人に決まってる!!」
と沈黙を最初に破った薄井は犯人は中学の同窓会の招待状を出した人物だと決めてかかる。
「そう結論付けるのは早いと思う。」
と薄井の意見に反対する一之瀬の言葉に顔の見えない相手にたいして慎重になっている他のメンバーも「一之瀬と同じ意見」だと言って決めてかかっている薄井の意見に反対する。
「はぁ?」
全員揃って自分の意見を否定された薄井の顔に不機嫌と苛立ちと怒りが浮き上がっていって、一之瀬たち3人を睨み付ける。
一方的に睨み付けられた一之瀬たちの顔にも不機嫌と苛立ちと怒りが浮かび上がっていく。
そうして男子たちの雰囲気がさらに酷くなっていくのだった。
ーー男子たちのにらみ合いのせいで雰囲気の悪い沈黙をふたたびいくみがぶち破る。
「ねえねえ。今は犯人捜しより、ここからどうやって脱出するのか……の方が大事じゃなぁ~い?」
といくみがお菓子を頬張りながら、今にも殴り合いのケンカでも始めそうな男子たちにのほほんと指摘する。
「!?」
いくみののほほんとした声に止められて、睨み合っていた男子たちが女子たちのいる方を振り返ってから、目に入ったいくみの行動にぎょっとする。
「お、おい、いくみ、何食べてんだよ!」
と草壁が慌てて、いくみを止めようと近付いてくる。
ーーそう、さっき問題になっていた、まだ毒が入っていないかの確認もすんでいなかったのにお菓子を食べていたからだ。
草壁に注意されても、そんなのお構いなしに食べ続けながらいくみは、
「……モグモグ。へい、きだよ……モグモグ。ゴックンッ。」
と一旦飲み込んでから、
「だって、これ、密封容器だもん。」
と言ってお菓子の容器を皆に見せた。
ーー確かにそのお菓子の外側の袋は密封されていて、お菓子そのものは個包装で密封されている。
全員、ちょっと疑問に思いつつも、食べて何ともないいくみを見てほっとしながら、密封容器なら大丈夫かと思って、ここぞ待ってましたと言わんばかりに自分たちの食料や飲み物を確保しに行く。
確実に密封されてるお菓子やきちんと保管されている調理の必要ないすぐに食べられる缶詰めといった安全そうな食べ物類、キチッと未開封のペットボトルの飲み物から、とりあえず2~3日分を選んでから食べ物をリュックに詰めてから、そのままキッチンに行ってペットボトルの外側、特に未開封の蓋の部分を念入りにを台所洗剤で洗う弥生。
その行動を見ていた皆は、「その方法があったか」と言って、弥生と同じようにペットボトルの外側を台所洗剤で洗っていくのだった。
ーー皆がペットボトルを執拗に洗っている時、先に洗い終わってリュックに詰め終えた弥生は、倉庫の方とかそれ以外の物が置いてある場所をもう一度詳しく見ていく。
「(……そてと、他にも何か使えるものはないかな?)」
紙やメモ帳やペンは勿論、小さなハサミもあったので、何かに使えそうなものを次々とリュックに詰めながら、さらに何かないかとどんどん捜索。
「……何かあったか?」
いきなり後ろから声をかけられて、危うく叫びそうになったのを必死で堪える。
「……な、ないよ。今のところ……。」
と言うと、声をかけてきた一之瀬に向かってひきつったように笑う。
「……そうか。俺も探す。」
そんな弥生の様子に気付いたのか気付いていないのか、どちらともわからないまま何も言わずに並んで一緒に捜索を始める一之瀬。
ーーだから、最初の内は内心ビクビクドキドキと緊張していた弥生も、色々と使えるものはないかと物を探すうちに何とか落ち着きを取り戻してきて、彼への態度もいつの間にか自然にできるようになっていた。
ーー各自、捜索が終わってからテーブルの前に集まった。
「ーー結局、見つけたのは……」
と言いながら、弥生は皆が見ている前で一つずつテーブルに置いていく。
「人数分の万能ナイフ、ライター、マッチ、未開封の袋に入ったタオル類、袋類、ペン、ノート」
「とりあえずこれだけ人数分見つけたから、それぞれ持ってるといいよ。」
そう言うと、疑うことなく皆もそれぞれ一つずつ取ってリュックに詰めていく。
「他に何かあったか?」
一之瀬が皆にも聞くと、「これ見つけた」と言って草壁が傷薬や腹痛の薬などが入った《ミニ救急箱》を人数分見つけたとテーブルに並べる。
すぐにリュックに詰めながら、「他には?」と聞くと、「あとは特に何もなかった」と答えた。一部に不穏な空気を出していた人間もいたのに気付いたけど、そのまま特に何も聞かずに見ていなかったと言う感じでスルーしていた。
「ーーひとまずこれで何かあってもなんとかなるか。」
そう言いながら一之瀬は皆の様子を一人一人確認していく。
ーーそれでも不安がなくなった訳でも消えた訳でもないけど、とりあえずは皆も同意するように頷いたのだった。
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