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5、招待状を受け取った同級生たち④:九条真由
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――昔からあの女が大嫌いだった。
街を歩けば振り返っていくモブの男たちやどこかの店せに入ればチラチラと見てくるモブの男たち。
それを知っているのに気づいていないフリをするのも気にくわない。
――時々……そう、ほんの時々だけイケメンたちに注目されているのも気にくわない。
――今に始まったことじゃない。そう、中学の時からそうだった。
中学の時、私が好きになった男は、たいていあの女が好きだった。
1人2人だけなら、まだよかった。でも、3人目も4人目もあの女が好きだった。
それを突きつけられるのは、むしろ悪夢だったといってもいいくらいだと思う。
――だって、私が選ばれないのはおかしいのだから。
そうすべての男たちは私を選ぶべきなのだから……。
この世界一可愛い女である九条真由が、良い男やイケメンに選ばれないなんてことはないのだから。そうよ。
――男たちが私を選ばないのは、私を好きで迷惑をかけたくないと思っているから。
男たちが私を選ばないのは、私に告白して迷惑をかけたくないから。
男たちが私を選ばないのは、私に選ばれないとわかって身を引いたからなのだから。
……そう、男たちは私のために争いたくないから選ばないだけ。
――その時、中学の教室の机で本を読んでいる女が一瞬頭に浮かぶ。
――そんなのは逆恨みだと言った《中学のクラスメイトだった目立たない女》。
何それって感じ。
逆恨み? そんなわけないじゃない。
――関係ないわ。
だって、この私が言っているのだから……。
他の誰かじゃない……この私が言っているのだから。
何か言うような奴は、私に嫉妬しているだけ。
……ま、それも仕方がないわね。
だって、私は世界一可愛い女なんだから。
――私はすべての男に愛される女。
私はどんなことをしても許される。
そこまで事実を思い浮かべるだけで、落ち込んでいた心が上がってくる。
――私の前を歩く男……薄井洋平を追いかけながら見つめた。
「(本当にいい男。)」
顔と体が熱くなってくるのを感じる。
「(そうよ。結局、彼が選んだのは私なんだ。弥生でもあの女でもない。)」
段々と薄井の歩くスピードが速まっているのに、真由は自分がかなり早足になっているという事実からは目をそらして、何とか薄井に追い付こうとする。
薄井は薄井で歩くスピードが速くなっているのを自覚しながらも、歩くスピードを緩めることはなかった。
――それでも追い付こうとしていた真由の心に答えるように薄井が赤信号で立ち止まった。
それを見た瞬間、パッと明るい表情になった真由はさっきよりもスピードを上げてようやく追い付く。
信号で立ち止まっていた薄井の腕に絡み付くと、自分の胸を押し付けながら、
「……ねぇ。これからどうするぅ?」
とウルウルした目で薄井を見上げる。
ザ•上目遣い。
必殺技のようにぐいぐい胸を押し付けて攻める真由。
そんな真由を見下ろしていた薄井もさっきまでは鬱陶しいようにしていたのに、「いくぞ」といって真由を連れ込んだのは、決して高そうなホテルではないホテルだった。
――ホテルの一室。
激しくきしむ音がするベッド。
激しい息遣いに何かがぶつかる音が部屋に響き続く。
「……ああ。いいわ。洋平、サイコーよ。」
と、裸の薄井の上で上下に踊る裸の真由。激しく動く真由の肌に浮かんだ汗が飛び散り、あまり動かない薄井の肌に浮かんだ汗と絡み合う。
薄井は両手で真由の腰をつかむと、自分の都合のいいように真由を誘導させる。
――結局、薄井の望むように望む形で終わりを遂げるまで激しい時間は続くのでした。
――薄井がシャワーを浴びている間、鞄から招待状を取り出して、同封されていた手紙を取り出す。
『……私は忘れない……仮に……だったとしても』
『本当はあなたもわかってるはず』
『……は信用できない』
『中学の時……したのは……』
『そして、今もまた……』
『………証拠は………』
手紙をざっと読んでから握りつぶすと、しばらく考え込んでいた真由。
「………それでも」
シャワーが止まる音が聞こえてきて、慌てて手紙と招待状を鞄に突っ込む。
腰にバスタオルを巻いて出てきた薄井に微笑みかける真由でした。
街を歩けば振り返っていくモブの男たちやどこかの店せに入ればチラチラと見てくるモブの男たち。
それを知っているのに気づいていないフリをするのも気にくわない。
――時々……そう、ほんの時々だけイケメンたちに注目されているのも気にくわない。
――今に始まったことじゃない。そう、中学の時からそうだった。
中学の時、私が好きになった男は、たいていあの女が好きだった。
1人2人だけなら、まだよかった。でも、3人目も4人目もあの女が好きだった。
それを突きつけられるのは、むしろ悪夢だったといってもいいくらいだと思う。
――だって、私が選ばれないのはおかしいのだから。
そうすべての男たちは私を選ぶべきなのだから……。
この世界一可愛い女である九条真由が、良い男やイケメンに選ばれないなんてことはないのだから。そうよ。
――男たちが私を選ばないのは、私を好きで迷惑をかけたくないと思っているから。
男たちが私を選ばないのは、私に告白して迷惑をかけたくないから。
男たちが私を選ばないのは、私に選ばれないとわかって身を引いたからなのだから。
……そう、男たちは私のために争いたくないから選ばないだけ。
――その時、中学の教室の机で本を読んでいる女が一瞬頭に浮かぶ。
――そんなのは逆恨みだと言った《中学のクラスメイトだった目立たない女》。
何それって感じ。
逆恨み? そんなわけないじゃない。
――関係ないわ。
だって、この私が言っているのだから……。
他の誰かじゃない……この私が言っているのだから。
何か言うような奴は、私に嫉妬しているだけ。
……ま、それも仕方がないわね。
だって、私は世界一可愛い女なんだから。
――私はすべての男に愛される女。
私はどんなことをしても許される。
そこまで事実を思い浮かべるだけで、落ち込んでいた心が上がってくる。
――私の前を歩く男……薄井洋平を追いかけながら見つめた。
「(本当にいい男。)」
顔と体が熱くなってくるのを感じる。
「(そうよ。結局、彼が選んだのは私なんだ。弥生でもあの女でもない。)」
段々と薄井の歩くスピードが速まっているのに、真由は自分がかなり早足になっているという事実からは目をそらして、何とか薄井に追い付こうとする。
薄井は薄井で歩くスピードが速くなっているのを自覚しながらも、歩くスピードを緩めることはなかった。
――それでも追い付こうとしていた真由の心に答えるように薄井が赤信号で立ち止まった。
それを見た瞬間、パッと明るい表情になった真由はさっきよりもスピードを上げてようやく追い付く。
信号で立ち止まっていた薄井の腕に絡み付くと、自分の胸を押し付けながら、
「……ねぇ。これからどうするぅ?」
とウルウルした目で薄井を見上げる。
ザ•上目遣い。
必殺技のようにぐいぐい胸を押し付けて攻める真由。
そんな真由を見下ろしていた薄井もさっきまでは鬱陶しいようにしていたのに、「いくぞ」といって真由を連れ込んだのは、決して高そうなホテルではないホテルだった。
――ホテルの一室。
激しくきしむ音がするベッド。
激しい息遣いに何かがぶつかる音が部屋に響き続く。
「……ああ。いいわ。洋平、サイコーよ。」
と、裸の薄井の上で上下に踊る裸の真由。激しく動く真由の肌に浮かんだ汗が飛び散り、あまり動かない薄井の肌に浮かんだ汗と絡み合う。
薄井は両手で真由の腰をつかむと、自分の都合のいいように真由を誘導させる。
――結局、薄井の望むように望む形で終わりを遂げるまで激しい時間は続くのでした。
――薄井がシャワーを浴びている間、鞄から招待状を取り出して、同封されていた手紙を取り出す。
『……私は忘れない……仮に……だったとしても』
『本当はあなたもわかってるはず』
『……は信用できない』
『中学の時……したのは……』
『そして、今もまた……』
『………証拠は………』
手紙をざっと読んでから握りつぶすと、しばらく考え込んでいた真由。
「………それでも」
シャワーが止まる音が聞こえてきて、慌てて手紙と招待状を鞄に突っ込む。
腰にバスタオルを巻いて出てきた薄井に微笑みかける真由でした。
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