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10、英雄幼児になる

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ーー過労のあまり、大魔法を失敗してしまった英雄である俺、ヘンリー・ラッセル。
その結果、しまった。
体がに縮んでしまったことに最初のうちはを抱いていたが、ふとこれまでのことを考えれば、と思ってしまった。
だから、しばらくは姿ことにした。姿は……まあ、その時のによることになるだろう。
何よりなので、使さえ覚えれば、この使だろう。
は……まあ、あまり期待しないでおくか。
は、おいおい考えていくさ。になるかもしれないが、そんな生活もいいだろう。
それこそ『』なのだから、だ。

ーー……か、
「(……ってことは、《》が必要になるわけか……)」
しばらく幼児のままでいることにした俺は、《》と言う使と思った。

「(……うん。とりあえずしよう……っと)」
と、《》のノリでとんでもないことを思い付く。

「(ふむ。?)」
「ちゅてーちゃちゅ(ステータス)」
最初の言い方では出なかった。
……一応……。
「ちゅてーちゃちゅ(ステータス)」
頭の中でしっかりとその言葉をするように口にすると、

その異常な数値はヘンリーという英雄のもの。
「(ふむ。英雄ヘンリーとしては問題ないステータスだけど、としては……まずいな)」

ふと、《》はどれくらいなのかと考えてみた……が、自分に子供なんていないからよくわからず。

「(まあ……《》が妥当かな?)」
とりあえず、《10》に設定してみようと思い、体力知力は低め設定にしようと考える。
ーーこうして、ステータスをいじって、は低い幼児のステータスに見えるようにした。勿論、、そう見えるように本当のステータスは秘匿した。

ーー《》がかかっているギルドカードも。勿論、魔法の痕跡も抹消して魔法を使ったようには見せないようにした。

ーーそうだな。
つまり、
『英雄ヘンリーは行方不明』
『英雄ヘンリーは行方知らず』
『英雄ヘンリーは所在不明』
『英雄ヘンリーは所在確認できず』
ってことだな。
ーー出来たら、騒がれたくはないが……多かれ少なかれ騒がれるはず。
あとは運を天に任すしかないな。

ーーあとは、そうだな。念のために、

と言うも必要で、とりあえず、
使




といった《》を用意してみた。
「(……まあ、これもだと思うな)」

ーーとにかく、遠くへ旅立つ間、少しでも休める時間をつくるため、『』をしてみる。
それでいて、弟子たちには《》が伝わるように《》をルルとララに託した。
頭に血がのぼったり、少しでも冷静でいたら、ルルとララに伝言を頼んでいることがわかるはず。
手で手紙を書くのがちょっと難しそうなので。味気ないかもしれないけど、仕方がない。

しばらく休むこと、王都から離れること、討伐依頼は受けられないことなど手紙に残した。
とにかく! しばらくは英雄ヘンリーはお休みだと言うことは決定事項と言うことを!!
ーーこうまでしないと休めないのも、悲しいかな……。


ーー創造魔法で作り出したシャツとズボン2セットの1つを着込むと、本当に自分は幼児なんだときっちりと綺麗に着れないことに呆れてしまうと、ルルとララが衣類を整えてくれる。

魔法鞄に荷物を詰めると、《》を考える。
「……んーちょ、あ! しょうにゃ!(んーと、あ! そうだ!)」
俺はを思い出した。

ーー心の中でしっかりと念じる。こうなってくると《》が役に立ったと、自分の舌足らずなお子さま言葉に改めて苦笑してしまう。

「(……《》来い!!)」
手をかざして、心の中でであるフェンリルのフェイを呼び出した。

すぐに現れたのは部屋と同じくらいの大きな白いフェンリル。
真っ白い美しい毛並みが輝いている。
「(本当に相変わらずに綺麗だ)」
小さくなったことでより大きく感じる自分の従魔のフェンリルを見上げる。

『ご主人様、お久しぶりです』
そう凛々しく挨拶したフェイはにヘンリーがいないことに驚きつつ、を見るために視線を見下ろした。
『!?』
フェイはさすがに驚いた。いつもの大きさでも自分い比べたら小さいご主人様が、さらにもっと小さくなってしまっていることに驚く。
匂いの質にも変化していることにすぐに気がついたものの、今はとりあえず《》にどうしたらいいのかと戸惑っていた。

『……これ、聞こえるよね?』
ヘンリーはすぐに念話で話しかけると、今も驚いているフェイにざっとを説明していく。

ーー話を聞き終わったフェイはにはすぐに納得したように頷いてくれたが、人間たちのヘンリーへのには腹を立てていた。
そんなフェイを慰めながら、《》とこれからは《》を持てるようになって、《》と伝えると、フェイの尻尾が嬉しそうに揺れていた。

『……それで、これからどうするのですか?』
と聞かれたので、フェイに体の大きさを変えるように頼むと、《》に体を縮めてくれる。

『これからは自分の時間を大切にしようと思う。だから、まずは……そうだな、どこかにでも行くつもりだ』
自分のプランを簡単に話すとフェイも嬉しそうに賛同してくれる。
『さて、出発しようか!』
そう言うと、乗りやすいように体を低くしてくれたフェイの体をよじ登って馬にでも乗るように跨ぐと、フェイの首輪に手綱のようなものを作って握った。

「……ちゅっぱちゅにゃ!!(出発だ!!)」
ヘンリーの合図でフェイが歩きだそうとした瞬間、屋敷の呼び鈴がなったのだった。
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