嘘の愛は惨劇の笑み

むぅたこ

文字の大きさ
上 下
10 / 12
16歳

12月28日

しおりを挟む
ここまで自分のこと勘違いして自分に自惚れてるやつって・・・見たことない。
お試し期間2日目でこう思わざるを得ないとは笑える。
「会いに来るのは定期が全く被ってない俺より多少外れるお前が来てね?金使いたくないし、その方が合理的だろ?」
・・・わぁお。合理的の意味わかってんのかな。初めてだ。男にお前から会いに来いとか言われたの。なにレディーファーストを逆の意味で捉えてるのかなこの人。え?待って。お試し期間なのに、チャンスを与えてあげた私自ら行動しろと?こりゃ誰にもモテないわけだわ。
頭の中で静かにブチ切れながら頭お花畑野郎の最寄りに向かう。そして彼が最初に口にした言葉は。
「ねぇ。ヤんない?」
・・・わぁお。いや何。高校生の思春期真っ只中性欲ももちろん好奇心も旺盛な男子高校生の頭の中身は否定はしないし欲求も理解出来る。けれど、早過ぎないか?無論私が未経験だとは言わない。恐れている訳では無い。ただ。
ヤりたいだけか?ああ。そう。見た目からして未経験童貞だもんな。納得。これ以上にない程に納得した。納得したはいいものの、私はどうすればいい・・・。
よし。成り行きに任せよう。成り行きに任せるなんて私のプライドが許さない。けれど今回はただ単にめんどくさかった。自分が考える時間を頭お花畑野郎に使いたくなかった。
会うとすぐに手を繋ぎたがるし2人っきりになりたがる。これはこれは・・・1つの目的ヤリモクじゃないか。確定だな。案の定、と言わんばかりにキスをせがむ。
いーや待てよ。キスまで私からしろってか。もはや俺様が1番みたいなワガママ放題野郎ってわけだ。
3秒後、私はすごい勢いで顔を背けた。今一瞬自分の身に何が起こったのか把握できなかった。確か・・・しょうがないと思いキスをしたんだが・・・。する場所を間違えたのか?私は、ドラム式洗濯機とキスをしてしまったのか?いや違うこの頭お花畑野郎の口・・・・・・え?
キス・・・ここまで下手くそなやついるんだ!!初知りだわ!!経験上こんなハズレと出会ったことない!!いやー・・・ここまでくるともはや珍種だな。絶滅危惧種に指定されてもいいのではないか。
自分の中でこの男の存在を完全否定したかった。目の前から爆発でもして消し飛んで欲しかった。まあ実在してしまうのが現実なのだが。そしてそのままこの頭お花畑&ドラム式洗濯機野郎の話を意識が幽体離脱しながら聞き、(もはや聞いてすらいない)この日はバイトだからと言うので駅まで送ってくれた。(この時も俺優しいだろ感満載だった)
「じゃあここで。」と私のあからさまに帰りたそうな顔を見てどう考えてどう思ったのか彼は
「そんな寂しそうな顔してるから明日も会ってあげるよ!」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ン?ナニヲドウマチガエレバソノヨウナカンガエニナルンダ?
フリーズしている私なんかに気づかず彼は明日どうしようとプランを立て始めた。今わかった。こいつは。話の通じないやつだ。ダメだこいつ。人間じゃない。人間に擬態してるなにかだ。この時点で私の心の扉の彼へ向けてのドアは完全にシャットアウトされた。去り際にまた明日、も言われて寒気がしたのは、12月の寒さが理由では無いはずだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

王妃さまは断罪劇に異議を唱える

土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。 そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。 彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。 王族の結婚とは。 王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。 王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。 ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...