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16歳
5月18日 昼
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「・・・。」
なぜか昼ごはんが喉を通らない。じっと弁当の中身を見つめる。別に嫌いな食べ物などない。食べたくても食べる気しないので多少の空腹感が残る中、5限の国語の授業。スマホを使って調べ物をしていた時に事件が起きた。
画面上から降りてきた通知を知らせるバナー。メッセージの送信者は・・・・・・母であった。
『今日の午後2時に、しゅんはじいじとばあば見守られる中、眠るように亡くなったそうよ。最後のお別れを言いに行こう。部活は休ん・・・・・・・・・・・・。』
画面をもう一度見た。何も変わらない文章がそこにある。もう一度、目を擦りまくって見た。もう一度・・・。三度目の正直、見た瞬間、視界がぼやけて何も見えなかった。それが自分自身の涙のせいだとと気づくまでに数秒かかった。気づいた瞬間には止まらなかった。涙が堤防崩壊レベルで溢れて止まらない。
でも心のどこかで、しゅんはまだ生きていると信じていた。これはドッキリだ。私を騙すためにみんなが協力しているんだ、と。その考えを否定しようとする意見は、全て頭の中から消し去った。
放課後、私は全力で祖父母の家に向かった。父と母と弟はもう着いているため、私が最後。心は急いでいても、足取りはとても重たかった。しゅんは死んでなんかいない、そう思い続けていないと、私自身がダメになりそうでとても不安だった。
祖父母の家が見える角の手前で、とうとうその足は止まった。これ以上前に進めない、でも、大丈夫、きっとしゅんはいる。
震える足を無理やり前に進ませる。そこに。
そこに、犬小屋はなかった。
急に跳ね上がる心拍数、身体中から吹き出る汗、止まれと思っても止まらない震え。
「・・・でも、きっと、家の中にいる、。」
そう呟いて私は家に駆け込んだ。
祖母が悲しそうな顔をして、「しゅんは2階にいるよ。」と言った。
なんでそんな顔をするの?しゅんは生きてる、2階のベランダでひなたぼっこでもしてるんだよ、だから・・・!
階段を駆け上がり、部屋のドアを勢いよく開ける。
「しゅん・・・・・・!」
・・・そこには、白い毛布にくるまったなにかがあった。ベランダに出る。端から端まで探しても、いない。押し入れの中は?と、全ての押し入れを開け放つ。が。どこにもしゅんの姿は無かった。祖母が嘘ついたのかな、2階にいるよって、本当は1階なのかな。1階に行ってみよう、そう思って最後の押し入れの戸を閉めた。
その時に。背後から強い視線(?)というよりかは、なにかの気配を感じた。恐る恐る振り返ると、そこには、白い毛布にくるまったなにか。
心拍数が一気に跳ね上がる。怖い。見たくない。その毛布をとったら、なにか、世界が終わってしまうのではないか。でも、これは私がこの毛布をとらなければならないのだ。私が、他の誰でもない、私自身が取らなければ意味が無いのだ。謎の使命感が私を襲う。とればなにか知らなくてもいい事実を知ってしまうのかもしれない。けれどとらないでただ固まっていても、なにも変わらない。私は、どうすればいい?
カタカタと小刻みに震える手を毛布にかざし、優しくめくった。
そこには。
なぜか昼ごはんが喉を通らない。じっと弁当の中身を見つめる。別に嫌いな食べ物などない。食べたくても食べる気しないので多少の空腹感が残る中、5限の国語の授業。スマホを使って調べ物をしていた時に事件が起きた。
画面上から降りてきた通知を知らせるバナー。メッセージの送信者は・・・・・・母であった。
『今日の午後2時に、しゅんはじいじとばあば見守られる中、眠るように亡くなったそうよ。最後のお別れを言いに行こう。部活は休ん・・・・・・・・・・・・。』
画面をもう一度見た。何も変わらない文章がそこにある。もう一度、目を擦りまくって見た。もう一度・・・。三度目の正直、見た瞬間、視界がぼやけて何も見えなかった。それが自分自身の涙のせいだとと気づくまでに数秒かかった。気づいた瞬間には止まらなかった。涙が堤防崩壊レベルで溢れて止まらない。
でも心のどこかで、しゅんはまだ生きていると信じていた。これはドッキリだ。私を騙すためにみんなが協力しているんだ、と。その考えを否定しようとする意見は、全て頭の中から消し去った。
放課後、私は全力で祖父母の家に向かった。父と母と弟はもう着いているため、私が最後。心は急いでいても、足取りはとても重たかった。しゅんは死んでなんかいない、そう思い続けていないと、私自身がダメになりそうでとても不安だった。
祖父母の家が見える角の手前で、とうとうその足は止まった。これ以上前に進めない、でも、大丈夫、きっとしゅんはいる。
震える足を無理やり前に進ませる。そこに。
そこに、犬小屋はなかった。
急に跳ね上がる心拍数、身体中から吹き出る汗、止まれと思っても止まらない震え。
「・・・でも、きっと、家の中にいる、。」
そう呟いて私は家に駆け込んだ。
祖母が悲しそうな顔をして、「しゅんは2階にいるよ。」と言った。
なんでそんな顔をするの?しゅんは生きてる、2階のベランダでひなたぼっこでもしてるんだよ、だから・・・!
階段を駆け上がり、部屋のドアを勢いよく開ける。
「しゅん・・・・・・!」
・・・そこには、白い毛布にくるまったなにかがあった。ベランダに出る。端から端まで探しても、いない。押し入れの中は?と、全ての押し入れを開け放つ。が。どこにもしゅんの姿は無かった。祖母が嘘ついたのかな、2階にいるよって、本当は1階なのかな。1階に行ってみよう、そう思って最後の押し入れの戸を閉めた。
その時に。背後から強い視線(?)というよりかは、なにかの気配を感じた。恐る恐る振り返ると、そこには、白い毛布にくるまったなにか。
心拍数が一気に跳ね上がる。怖い。見たくない。その毛布をとったら、なにか、世界が終わってしまうのではないか。でも、これは私がこの毛布をとらなければならないのだ。私が、他の誰でもない、私自身が取らなければ意味が無いのだ。謎の使命感が私を襲う。とればなにか知らなくてもいい事実を知ってしまうのかもしれない。けれどとらないでただ固まっていても、なにも変わらない。私は、どうすればいい?
カタカタと小刻みに震える手を毛布にかざし、優しくめくった。
そこには。
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