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16歳
4月8日
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「桜散る暖かな日差しがあなた達新入生を歓迎しており、その席に校長として参列できることを心から喜び、保護者の方にはお祝いの気持ちを述べさせていただきます。・・・」
高校の入学式。校長の長すぎる『入学により我が校の財産確保ありがとうございます。』という祝辞を聞きながら私はウトウトしていた。周りから見れば校則もしっかりと守り、黒髪ポニーテールのいかにも学級委員でもやるんですか、と聞かれてもおかしくない格好で背筋を伸ばし校長の話を聞いている。
気だるそうな顔は皆無と言わんばかりに鉄壁の笑みを顔面に貼り付け存在にすら貼り付けている。もはや詐欺師だ。
その後のクラス分けでクラスメイトの顔を見て思った。
「あー・・・低脳ばっか。」
いや同じ学力なんだから関係ないでしょう。と思う人もいるかもしれない。が、私は自分が神レベルで人間的な考え方は一般人とはかけ離れていると思っていたのだ。言うなれば自意識過剰。痛すぎる高校一年生だ。華のJKが何してる。
そして自己紹介で私は凡ミスをした。完全にやらかしそうになった。
「・・・。趣味は・・・・・・・・・にんげ、読書です。」
危うく人間観察と言いかけた。これではもはや変人になってしまう。どこぞのストーカーだ。
なんかクラスでは浮いた存在でいいや、と思いながら入学式の日を終えた。
だがその日の夜、私の人生が狂う事件の発端となることが起こる。
家に帰り、晩御飯を済ませた時、父から私と弟にとある話があった。私はその話を聞いて固まった。
「しゅんが目も見えなくなり、耳もほとんど聞こえず、最近では寝たきりらしい。」と。
嘘だろ、と思った。だって去年、一緒に公園で走り回ってたじゃないか。私が受験で忙しくて会いに行けなくても、会いに行ったらまたあのようにしっぽをちぎれんばかりに振って出迎えてくれると思っていたのだ。なのに。寝たきり?え?私が会いに行っても話を聞いてくれる状況じゃない?私の・・・唯一の心を許せる存在が、もはやその命が危ういという事実を、私は絶対に認めたくなかった。だからしゅんが危ないと聞いても、絶対に会いに行くことはなかった。だってその事実を確認したくなかったから。確認したら、私の負けだ。負けなのだ。私は、負けが嫌いなのだ。
この日の私は何かを考えている訳でもないのにただベッドの上に体育座りし、ボケーッと目の前のぬいぐるみを見つめていた。頭の中が空っぽ。もしも私の話し相手が。唯一の、相談相手が、いなくなる。それだけは認められない。
だめだ。絶対に。ブツブツと呟いていた。もはや理性が崩壊しかけていた。
翌日
何事も無かったかのように学校に行き、案の定クラスでは浮いていた。優等生に見られているのだろう。そんな欠片はないのに。むしろクラスで1番バカかもしれないのに。なんで人って見た目で判断するんだろう。人間的にはやはり私がクラスで1番頭いいのかもしれない。矛盾に屁理屈を塗り固めて勝手に理解し終える。私の得意分野なのかもしれない。
高校一年生として生活し始めて十日目。
人生初のモテ期到来。(?)一目惚れしました、だとか話してみたいです、だとかいろいろな言い方をしてくる男子。同級生にも先輩にもいた。私は半分自暴自棄になっていたため、お試しだけなら、と言い、4月だけで4人と付き合い、別れた。恋愛なんてどうせ高校生男子なんて盛ってるだけ。私は処女ではない、と言った方が親切だったのだろうか。
高校の入学式。校長の長すぎる『入学により我が校の財産確保ありがとうございます。』という祝辞を聞きながら私はウトウトしていた。周りから見れば校則もしっかりと守り、黒髪ポニーテールのいかにも学級委員でもやるんですか、と聞かれてもおかしくない格好で背筋を伸ばし校長の話を聞いている。
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嘘だろ、と思った。だって去年、一緒に公園で走り回ってたじゃないか。私が受験で忙しくて会いに行けなくても、会いに行ったらまたあのようにしっぽをちぎれんばかりに振って出迎えてくれると思っていたのだ。なのに。寝たきり?え?私が会いに行っても話を聞いてくれる状況じゃない?私の・・・唯一の心を許せる存在が、もはやその命が危ういという事実を、私は絶対に認めたくなかった。だからしゅんが危ないと聞いても、絶対に会いに行くことはなかった。だってその事実を確認したくなかったから。確認したら、私の負けだ。負けなのだ。私は、負けが嫌いなのだ。
この日の私は何かを考えている訳でもないのにただベッドの上に体育座りし、ボケーッと目の前のぬいぐるみを見つめていた。頭の中が空っぽ。もしも私の話し相手が。唯一の、相談相手が、いなくなる。それだけは認められない。
だめだ。絶対に。ブツブツと呟いていた。もはや理性が崩壊しかけていた。
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