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しおりを挟む「気分はどぉ~お?」
「…………」
心底私を嘲笑う顔で話かけるエリアナは、
彼女の背中に流れるピンクゴールドの髪も、
その姿も以前にも増して輝いて見えた。
そんな彼女を見ても、やはり私は何も思わなかった。
何も話さない私を見て、
あら、そういえば話せないんだったわね~?ごめんなさ~い?
と馬鹿にしながら嗤う。
無表情でいる私に、つまんな~いと言うエリアナ。
「もう~、せっかく良いこと教えてあげようと思ったのに~」
「………………」
「実は~、ユリーナ様の処分が決まったの~!
嬉しい?やっと此処から出られるんだから嬉しいわよね~?」
そう言うエリアナは、物凄く愉悦に浸った表情をしている。
「ユリーナ様の処分は~、魔獣の餌になる事ですって!」
「……」
「キャ~、残酷ぅ~!ユリーナ様可哀想~!」
可哀想と言いながら嬉しそうな顔をするエリアナ。
魔獣に殺される…
そんな恐ろしい事を聞いても無反応な私に、エリアナは一瞬顔を顰めたが、すぐに歪に嗤い、あぁ、そうそう、と話を続けた。
「ユリーナ様の両親とキリクお兄様は~、あたしがた~いせつに面倒みる事になったから~、安心してね~?
だって自分の娘が聖女を害したなんて、本当なら一族もろとも死刑じゃな~い?
でもそんなの可哀想だと思って~、エリアス様にお願いしたのぉ~!」
あたしって優しいわよね~?
因みにキリクお兄様は~、あたしの愛人にしたの~!
「っ!!」
今まで何を聞いても何も感じなかった私が、お兄様達の事を聞いた瞬間、無意識に体が動いていた。
頭に血が昇ったのだろう、私はエリアナに掴み掛かろうとしたが、
私とエリアナの間にある鉄格子に私の体が勢いのままぶつかり、
そのままガン!!と音が響いただけでエリアナに触る事も出来なかった。
「っっ!__!っ!」
「やぁ~だぁ、ユリーナ様、そんなに泣くほど嬉しいのぉ?」
どんなに頑張って声を出そうとしても、私の口から出るのはただの掠れた息だけ。
心など当に壊れたと、私はもう泣くこともないと思っていた。
でも、自分でも気がつかないうちに、涙を流しながらエリアナに音の無い叫びを上げる。
そんな私にエリアナはクスクスと嗤う。
「ユリーナ様の処刑はぁ、明日になったから~」
楽しみにしててねぇ~?
そう言ってエリアナは出ていった。
私は目の前の鉄格子にすがり付いたまま、床にへたりこんだ。
エリアナは、お兄様達にまで呪いを掛けたのだろうか?
聖女になりたかった?殿下の婚約者になりたい?
私を貶める?
もう、彼女の望みはそれで叶ったのではなかったのか…
どうして関係のない人達にまでそこまでするのか、エリアナが何を考えているのか私にはわからなかった。
だけど………
エリアナによって、良くも悪くも私の心は蘇った。
ここで諦めるのは、もっと後悔する。
嫌でも朝は来る。
どうせ死ぬのなら、最期の悪あがきをしよう。
私は涙を拭いて、明日を待った___
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