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聖女の目覚め編
帰還の旅路・2
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次の屋敷に到着し、カレンは宿泊する部屋に入った。
カレンの世話係にはエマが名乗り出た。屋敷に滞在中は仲のいいエマが面倒を見てくれるので有り難いが、エマにとっては更に忙しくなり大変だろう。だが他の使用人や従騎士達が、エマのフォローをしていた。突然現れた聖女カレンを守る為、一行は当然のようにそれを受け入れている。
屋敷に到着して落ち着いた頃、ようやくエリックが一行に追いついた。エリックはカレンの顔が見たいと、挨拶もそこそこに真っ先にカレンの部屋へやってきた。
「良かった、目が覚めたんだね。あのまま目が覚めなかったらと不安でしょうがなかったよ」
馬を走らせ、急いで来たらしいエリックは少し髪も乱れ、疲れているようだった。
「私はもうすっかり元気ですよ。それよりエリック様のほうこそ、少し休んだ方がいいんじゃないですか」
「僕? 平気だよこれくらい。いやあ、叔父さんがなかなか帰してくれなくてさ……もっと早くこっちに合流するつもりだったんだけど」
エリックは部屋の中にあるソファに腰かけた。カレンは水差しから水をグラスに入れ、エリックに差し出す。
「助かるよ、喉が渇いてたんだ」
エリックはそう言って、一気に水を飲み干した。
そこへブラッドとセリーナがカレンの部屋に入って来た。
「エリック、俺の部屋で話そう」
「ここでいいじゃない。カレンだって部外者ってわけじゃないんだからさ」
エリックはソファに寄りかかり、ブラッドを見上げる。
「お話があるなら私、外に出ていましょうか?」
カレンが遠慮がちに言うと、ブラッドとエリックは揃って「いや、出なくていい」とカレンを止めた。
「エリック、聖女の部屋に押し掛けるのは非常識よ」
セリーナが眉をひそめる。
「ごめんね。カレンがどうなったか気になって仕方がなかったんだ。でも元気そうで安心したよ」
微笑むエリックに、カレンは「ご心配おかけしました」と軽く頭を下げた。
「それで、領主様は何と?」
ブラッドが尋ねると、エリックは立ち上がってブラッドに向き直った。
「あの筆頭聖女は、しばらく実家に戻して静養してもらうよう、叔父さんが教会に頼んでくれたよ。ノクティア教会も、イソルデがグレゴール団長のお気に入りだからと黙っていたけど、彼女の能力がどんどん衰えているのを気にしていたみたいだね」
「衰えていた?」
セリーナは首を傾げた。
「元々はそれなりに才能のある聖女だったみたいだね。でも段々イソルデの癒しの力が衰えているんじゃないかと、他の聖女達の間で噂になっていたみたいだ。このまま放っておくとまずいことになるかもしれないからね。教会も叔父さんの言うことに大人しく従ってくれたよ」
「……イソルデは自分の力が弱まっていることに気づいていたにも関わらず、筆頭聖女として討伐に参加し続けていたのね。愛人であるグレゴール団長は見て見ぬふりをしていたんでしょう。ノクティアの危機を招いた二人の行動は、許されないことだわ」
セリーナの顔には怒りが浮かんでいた。
「グレゴールは騎士団長の任を解かれて、トーリス副団長が団長に就任することになったんだ。グレゴールはだいぶ反省しているみたいで、今回の処分を大人しく受け入れてくれたよ」
「グレゴールはエリックの遠縁なんだろう? 辛い決断をさせたな」
気遣うブラッドに、エリックは笑顔で首を振る。
「仕方がないよ、グレゴールはそれだけのことをしたんだから。とにかく、ノクティアのことは心配いらないよ。落ち着くまでの間、他の教会から聖女を派遣してもらえるよう手紙も書いたし。ノクティアの聖女達も頑張ってくれるみたいだしね。僕ができることは全部やったよ」
「感謝する、エリック。後のことはノクティアに任せよう。疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
エリックは胸を張り、騎士団の敬礼をした後ニヤリと笑った。
「僕の力は、こういう時に使わないとね」
(……だから、私が『外に出ましょうか?』って言ったのに……)
カレンは部屋の隅で居心地悪そうに立っている。ブラッドとエリック、そしてセリーナの三人はずっとカレンの部屋で、カレンがまるで見えていないかのように話を続けている。
「はあー、疲れた。ブラッド、水飲む?」
エリックは水差しを持ち上げ、ブラッドに聞く。
(私の水なんだけど……)
「いや、いい」
「そう。なんだか喉が渇くんだよね」
エリックは水差しから水を注ぐと、ぐいっと一気に飲み干し、グラスを持ったまま部屋をウロウロし始めた。
「ここ、お酒ないかな?」
「エリック、酒が欲しいなら使用人に頼めばいい。いいブランデーを置いてある」
「それよりもエリック、少し寝たらどう? 疲れているのでしょう?」
セリーナは棚を開けたり閉めたりしているエリックに呆れ顔だ。
「そうだね、確かに疲れた……僕は少し休むから、後で起こしに来てよ」
エリックは大きなソファにごろりと横になり、そのまま寝てしまった。
(ここで寝るの!?)
カレンは慌てたが、ブラッドとセリーナは二人とも「やれやれ」みたいな顔をしながら苦笑いしている。
「すまないな、カレン。少し彼を寝かせてやってくれ。ローランをこっちに寄越すから」
「……はあ……」
「では行きましょう、ブラッド」
ブラッドとセリーナはさっさと部屋を出て行ってしまった。
「……勝手だなあ……」
呆れ顔でカレンは寝息を立てているエリックの顔を見た。急いで馬を走らせ、相当疲れているのはどうやら間違いないようだが、エリックは人の部屋だろうがお構いなしにぐっすり寝ている。
普段、飄々としていて何を考えているのか分からない男だが、ノクティアの為に領主に掛け合い、問題を解決してきたエリックの姿を、カレンは意外な気持ちで見ていた。いい加減に見えてもやはり、彼はこの国の王子なのだ。
エリックの従騎士ローランはすぐにカレンの部屋にやってきた。ソファで足を投げ出して寝ているエリックを見て、ローランはすっかり慌てている。
「カレン様、申し訳ありません……! すぐに起こして連れていきますので……!」
「そのままでいいよ。エリック様は疲れてるみたいだから」
「で、でもここは聖女様のお部屋で……!」
ローランはアルドと違い、少し気弱だが優しく気遣いのできる従騎士だ。髪の色がエリックと同じふわふわの金髪で、見た目だけなら兄弟のようである。自由奔放なエリックに振り回され、いつも慌てたような顔をしている。
「ほんとに大丈夫だよ。後、カレン様って呼ぶのはやめてね。カレンでいいから」
「そういうわけには……!」
「いいから寝かせてあげて。そうだ、ローラン。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
カレンはそばにある椅子に腰かけた。
「はい、何でもお尋ねください!」
「さっきセリーナ様が『聖女の力が衰えた』って話してたんだけど……聖女の力が衰えることって、よくあることなの?」
ローランは微妙な笑顔を浮かべながら、口を開いた。
「……僕もそれほど詳しくはないですが、そういうことはあるみたいです」
「衰えるって、どういうことなのかな」
「ええと……聖女様の力は『聖なる炎』によって常に力が与えられているのです。聖なる炎はその力を使うのに相応しい聖女にしか、力を与えないと言われています。でも……聖なる炎から力を得られなくなると、その聖女の力は衰えていくのです」
「力を得られなくなる?」
カレンは首を傾げる。
「はい……聖女様が『闇の力』に魅入られてしまうと、聖なる炎は聖女様を拒絶すると言われています……」
「魅入られてしまう?」
「……聖女様はみんなを癒し、大地を穢れから救う為に力を与えられているんです……その力を私腹を肥やす為に使ったり、他人を攻撃する為に使ってはいけません……それが『闇の力』です……闇に囚われると聖女は力を失い、やがて……」
「魔女になってしまう、ってこと?」
カレンの言葉に、ローランはビクッと肩を震わせ、そして静かに頷いた。
「この話は、あまり公に話してはいけないと言われています……教会にとってはタブーなんです……これ以上は聞かないでください」
「……分かった。ごめんね、無理に話させて」
カレンはローランに微笑んだ。さっきエリックが「まずいことになる」と話していたのはこのことだったのだろう。以前エマに魔女のことを聞いた時も、エマはあまり魔女の話をしたがらなかった。
教会にとって魔女の存在は都合が悪いのは確かだ。国を守る存在である聖女が魔女になるなど、あってはならないということなのだろう。
カレンの世話係にはエマが名乗り出た。屋敷に滞在中は仲のいいエマが面倒を見てくれるので有り難いが、エマにとっては更に忙しくなり大変だろう。だが他の使用人や従騎士達が、エマのフォローをしていた。突然現れた聖女カレンを守る為、一行は当然のようにそれを受け入れている。
屋敷に到着して落ち着いた頃、ようやくエリックが一行に追いついた。エリックはカレンの顔が見たいと、挨拶もそこそこに真っ先にカレンの部屋へやってきた。
「良かった、目が覚めたんだね。あのまま目が覚めなかったらと不安でしょうがなかったよ」
馬を走らせ、急いで来たらしいエリックは少し髪も乱れ、疲れているようだった。
「私はもうすっかり元気ですよ。それよりエリック様のほうこそ、少し休んだ方がいいんじゃないですか」
「僕? 平気だよこれくらい。いやあ、叔父さんがなかなか帰してくれなくてさ……もっと早くこっちに合流するつもりだったんだけど」
エリックは部屋の中にあるソファに腰かけた。カレンは水差しから水をグラスに入れ、エリックに差し出す。
「助かるよ、喉が渇いてたんだ」
エリックはそう言って、一気に水を飲み干した。
そこへブラッドとセリーナがカレンの部屋に入って来た。
「エリック、俺の部屋で話そう」
「ここでいいじゃない。カレンだって部外者ってわけじゃないんだからさ」
エリックはソファに寄りかかり、ブラッドを見上げる。
「お話があるなら私、外に出ていましょうか?」
カレンが遠慮がちに言うと、ブラッドとエリックは揃って「いや、出なくていい」とカレンを止めた。
「エリック、聖女の部屋に押し掛けるのは非常識よ」
セリーナが眉をひそめる。
「ごめんね。カレンがどうなったか気になって仕方がなかったんだ。でも元気そうで安心したよ」
微笑むエリックに、カレンは「ご心配おかけしました」と軽く頭を下げた。
「それで、領主様は何と?」
ブラッドが尋ねると、エリックは立ち上がってブラッドに向き直った。
「あの筆頭聖女は、しばらく実家に戻して静養してもらうよう、叔父さんが教会に頼んでくれたよ。ノクティア教会も、イソルデがグレゴール団長のお気に入りだからと黙っていたけど、彼女の能力がどんどん衰えているのを気にしていたみたいだね」
「衰えていた?」
セリーナは首を傾げた。
「元々はそれなりに才能のある聖女だったみたいだね。でも段々イソルデの癒しの力が衰えているんじゃないかと、他の聖女達の間で噂になっていたみたいだ。このまま放っておくとまずいことになるかもしれないからね。教会も叔父さんの言うことに大人しく従ってくれたよ」
「……イソルデは自分の力が弱まっていることに気づいていたにも関わらず、筆頭聖女として討伐に参加し続けていたのね。愛人であるグレゴール団長は見て見ぬふりをしていたんでしょう。ノクティアの危機を招いた二人の行動は、許されないことだわ」
セリーナの顔には怒りが浮かんでいた。
「グレゴールは騎士団長の任を解かれて、トーリス副団長が団長に就任することになったんだ。グレゴールはだいぶ反省しているみたいで、今回の処分を大人しく受け入れてくれたよ」
「グレゴールはエリックの遠縁なんだろう? 辛い決断をさせたな」
気遣うブラッドに、エリックは笑顔で首を振る。
「仕方がないよ、グレゴールはそれだけのことをしたんだから。とにかく、ノクティアのことは心配いらないよ。落ち着くまでの間、他の教会から聖女を派遣してもらえるよう手紙も書いたし。ノクティアの聖女達も頑張ってくれるみたいだしね。僕ができることは全部やったよ」
「感謝する、エリック。後のことはノクティアに任せよう。疲れただろうからゆっくり休んでくれ」
エリックは胸を張り、騎士団の敬礼をした後ニヤリと笑った。
「僕の力は、こういう時に使わないとね」
(……だから、私が『外に出ましょうか?』って言ったのに……)
カレンは部屋の隅で居心地悪そうに立っている。ブラッドとエリック、そしてセリーナの三人はずっとカレンの部屋で、カレンがまるで見えていないかのように話を続けている。
「はあー、疲れた。ブラッド、水飲む?」
エリックは水差しを持ち上げ、ブラッドに聞く。
(私の水なんだけど……)
「いや、いい」
「そう。なんだか喉が渇くんだよね」
エリックは水差しから水を注ぐと、ぐいっと一気に飲み干し、グラスを持ったまま部屋をウロウロし始めた。
「ここ、お酒ないかな?」
「エリック、酒が欲しいなら使用人に頼めばいい。いいブランデーを置いてある」
「それよりもエリック、少し寝たらどう? 疲れているのでしょう?」
セリーナは棚を開けたり閉めたりしているエリックに呆れ顔だ。
「そうだね、確かに疲れた……僕は少し休むから、後で起こしに来てよ」
エリックは大きなソファにごろりと横になり、そのまま寝てしまった。
(ここで寝るの!?)
カレンは慌てたが、ブラッドとセリーナは二人とも「やれやれ」みたいな顔をしながら苦笑いしている。
「すまないな、カレン。少し彼を寝かせてやってくれ。ローランをこっちに寄越すから」
「……はあ……」
「では行きましょう、ブラッド」
ブラッドとセリーナはさっさと部屋を出て行ってしまった。
「……勝手だなあ……」
呆れ顔でカレンは寝息を立てているエリックの顔を見た。急いで馬を走らせ、相当疲れているのはどうやら間違いないようだが、エリックは人の部屋だろうがお構いなしにぐっすり寝ている。
普段、飄々としていて何を考えているのか分からない男だが、ノクティアの為に領主に掛け合い、問題を解決してきたエリックの姿を、カレンは意外な気持ちで見ていた。いい加減に見えてもやはり、彼はこの国の王子なのだ。
エリックの従騎士ローランはすぐにカレンの部屋にやってきた。ソファで足を投げ出して寝ているエリックを見て、ローランはすっかり慌てている。
「カレン様、申し訳ありません……! すぐに起こして連れていきますので……!」
「そのままでいいよ。エリック様は疲れてるみたいだから」
「で、でもここは聖女様のお部屋で……!」
ローランはアルドと違い、少し気弱だが優しく気遣いのできる従騎士だ。髪の色がエリックと同じふわふわの金髪で、見た目だけなら兄弟のようである。自由奔放なエリックに振り回され、いつも慌てたような顔をしている。
「ほんとに大丈夫だよ。後、カレン様って呼ぶのはやめてね。カレンでいいから」
「そういうわけには……!」
「いいから寝かせてあげて。そうだ、ローラン。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
カレンはそばにある椅子に腰かけた。
「はい、何でもお尋ねください!」
「さっきセリーナ様が『聖女の力が衰えた』って話してたんだけど……聖女の力が衰えることって、よくあることなの?」
ローランは微妙な笑顔を浮かべながら、口を開いた。
「……僕もそれほど詳しくはないですが、そういうことはあるみたいです」
「衰えるって、どういうことなのかな」
「ええと……聖女様の力は『聖なる炎』によって常に力が与えられているのです。聖なる炎はその力を使うのに相応しい聖女にしか、力を与えないと言われています。でも……聖なる炎から力を得られなくなると、その聖女の力は衰えていくのです」
「力を得られなくなる?」
カレンは首を傾げる。
「はい……聖女様が『闇の力』に魅入られてしまうと、聖なる炎は聖女様を拒絶すると言われています……」
「魅入られてしまう?」
「……聖女様はみんなを癒し、大地を穢れから救う為に力を与えられているんです……その力を私腹を肥やす為に使ったり、他人を攻撃する為に使ってはいけません……それが『闇の力』です……闇に囚われると聖女は力を失い、やがて……」
「魔女になってしまう、ってこと?」
カレンの言葉に、ローランはビクッと肩を震わせ、そして静かに頷いた。
「この話は、あまり公に話してはいけないと言われています……教会にとってはタブーなんです……これ以上は聞かないでください」
「……分かった。ごめんね、無理に話させて」
カレンはローランに微笑んだ。さっきエリックが「まずいことになる」と話していたのはこのことだったのだろう。以前エマに魔女のことを聞いた時も、エマはあまり魔女の話をしたがらなかった。
教会にとって魔女の存在は都合が悪いのは確かだ。国を守る存在である聖女が魔女になるなど、あってはならないということなのだろう。
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