30 / 57
聖女の目覚め編
眠れない夜・1
しおりを挟む
カレンが目を開けた時、まず最初に思ったのは(これは夢?)だった。
見慣れない部屋のベッドにカレンは寝かされていた。ふかふかの布団と柔らかな枕。部屋に置かれたテーブルやソファは豪華なもの。そして彼女のベッドの隣には、椅子に座り腕組みをしたまま、居眠りをしているブラッドの姿がある。
(まつ毛長ー……)
ぼんやりとしながら、カレンは眠っているブラッドの顔を見ていた。ダークブラウンの前髪から覗くブラッドの顔は、なんだか疲れているように見えた。
ふとブラッドは瞼を開けた。そしてカレンの顔を見ると、急に慌て出した。
「カレン! 目が覚めたのか!?」
ブラッドが身を乗り出し、カレンに詰め寄る。
「は……はい」
ブラッドの剣幕に驚きながら頷くと、ブラッドは大きな音を立てて椅子から立ち上がり、急いで部屋から出て行ってしまった。
「何なの?」
困惑していると、ブラッドがセリーナを連れて戻って来た。セリーナはカレンの顔を見るとホッとしたように微笑み、ブラッドが座っていた椅子に腰かける。
「カレン、目が覚めて良かったわ」
「あの……ここはどこですか?」
カレンは未だ状況が掴めていない。この部屋は使用人の部屋ではなく、騎士や聖女のようなちゃんとした立場の人が使う部屋なのは間違いない。なぜこんな部屋で自分が寝かされているのかと、カレンの頭の中は疑問でいっぱいである。
ブラッドがセリーナの代わりに質問に答える。
「ここはアウリスに戻る途中の屋敷だよ。お前はもう三日も寝たままだったんだ」
「三日……!?」
カレンは目を丸くする。
(覚えてるのは……野営地でラグナルに刺された所まで。あれからもう三日も経ったの……?)
「覚えてる? カレン。あなたは野営地で襲われ、命を落としかけた。そしてあなたに奇跡が起こったのよ」
「奇跡?」
セリーナは頷く。
「あなたの体を『聖なる青い炎』が包み、あなたの体についた傷は全て消えた。この意味が分かるかしら? あなたは『聖女』として目覚めたのです」
カレンは驚愕の表情を浮かべたまま、何も言えずにただセリーナとブラッドの顔を見ていた。
ブラッドはセリーナに続き、説明を始めた。
「お前は聖女として目覚めた後、気を失った。あの場にいた者達は、お前に起きた奇跡を目の当たりにしたんだ。我がアウリス騎士団はお前を聖女として守り、アウリスまで送り届ける。今後は部屋に留まり、屋敷の外には出ないでくれ」
カレンは慌てて体を起こし、すぐ近くの窓から外を見た。屋敷の外では騎士が訓練をしている姿が見えた。
「私が、聖女……?」
カレンは未だに現実が受け入れられず、混乱していた。
「カレンのような目覚め方をする聖女を見たことがない。全身が『聖なる炎』に包まれる聖女など……ありえない。聖なる炎は聖女に力を与えるものだ。聖女自身が炎を持つことはない」
セリーナは頷き、ブラッドに続く。
「私もカレンのような聖女を見たことがないけれど、これは現実に起こったこと……。カレン、ひょっとしてあなた、以前から何か兆候があったのではないかしら? 心当たりはない?」
カレンはふと思い出す。
「……あ、ひょっとして……ノクティアに出発する前に怪我をしたんですけど、治るのがやけに早いなとは……薬の効きがいいからだと思ってたんですけど、違うんですか……?」
セリーナとブラッドは顔を見合わせ「やはり」と頷く。
「あなた自身が気づいていなかっただけで、聖女としての力は既に現れていたのね……すぐに気づけなくて申し訳なかったわ。聖女は僅かな傷ならば、自己治癒力で治してしまうものなの」
「そうなんですか……」
どおりでどの聖女も肌が艶々で綺麗なはずだ、などとカレンは思っていた。
セリーナはブラッドを見上げてため息をつく。
「カレンのような珍しい聖女は、他の教会が放っておかないでしょうね」
「実際に、俺達の後をつけている馬があるとの報告を受けています。ノクティアか、王都か……両方かもしれませんが」
ブラッドは一呼吸置き、カレンに向き直った。
「カレン、お前の存在はノクティアと王都に知られている。今は他の教会に余計な詮索をされたくない。だからアウリスに戻るまで、俺達の目の届くところにいてくれ」
「……わ、分かりました」
「心配しないで。あなたのことは『アウリス・ルミエール教会』が必ず守るわ」
ブラッドとセリーナに言われ、カレンは頷くしかなかった。
「それとカレン、もう一つお前に伝えておくことがある」
ブラッドはすっと背筋を伸ばし、真剣な表情でカレンを見つめた。
「は、はい」
カレンも思わずベッドの上で背筋を伸ばす。
「お前を刺した犯人、騎士ラグナルはあの後すぐに捕らえられ、ノクティア騎士団によって処刑された。俺とエリックがその場に立ち会った。騎士ソーンは騎士団から永久に追放された」
「……処刑、ですか?」
カレンは意外そうな顔をした。
「聖女様を殺そうとしたんだ。騎士ラグナルのしたことは重罪に当たる。当然のことだ」
使用人を殺そうとしただけなら、彼が処刑されることはなかったかもしれない。ラグナルのことは許せないが、処刑という言葉の強さにカレンは戸惑っていた。
「仕方のないことよ。聖女を傷つけることは、この国の存亡に関わることですから」
セリーナはそっとカレンの手に触れた。
「でも……あの時、私はまだ、ただの使用人でした。聖女じゃない」
首を振りながら呟くカレンに、ブラッドとセリーナは困ったように目を合わせた。
「……ブラッド。彼女はまだ混乱しているのよ。この話を伝えるのは早すぎたわ」
「そうですね。少し急ぎ過ぎました」
カレンは顔を上げ、慌てて手を振った。
「あ、いえ! 大丈夫です。ちょっと色々あり過ぎてびっくりして……」
「カレン、何か少し食べた方がいいわ。それとお風呂に入って、ゆっくりくつろいでまずは心を休めて。私達は失礼するわね」
セリーナはゆっくりと椅子から立ち上がった。
「すぐに食事を持ってこさせよう。さあ、セリーナ様。行きましょう」
ブラッドはセリーナと一緒に部屋を出て行った。
カレンに食事を持ってきたのは、エマだった。
「エマ!」
カレンはエマの顔を見て嬉しそうに笑う。
「カレン、目が覚めたって聞いて……本当に良かったわ」
エマは既に泣きそうになっていた。食事が乗ったトレイをベッドサイドテーブルに乗せ、器に入った大麦のおかゆをカレンに渡す。
「心配かけてごめんね、エマ」
「とんでもない! 謝りたいのは私の方よ。ラグナル達がいることを知ってたのに、カレンを一人にさせちゃったんだもの。あの時、私が一緒にいればカレンは……」
「エマのせいじゃないよ。私も油断してたし。それにこうして助かったんだから」
エマは目を真っ赤にさせ、袖で涙を拭った後ようやく笑顔に戻った。
「……それにしても、まさかカレンが聖女様になるなんて! 私、あんなの見たの初めてで……みんな『奇跡が起きた』って大騒ぎだったのよ」
「私、その時のこと全然覚えてないんだよね。見たかったなあ、自分のことだけど」
エマはアハハと声を上げて笑った。エマと話して落ち着いたカレンはその後、味のしない大麦粥を食べながら、しばらくエマとおしゃべりしていた。
見慣れない部屋のベッドにカレンは寝かされていた。ふかふかの布団と柔らかな枕。部屋に置かれたテーブルやソファは豪華なもの。そして彼女のベッドの隣には、椅子に座り腕組みをしたまま、居眠りをしているブラッドの姿がある。
(まつ毛長ー……)
ぼんやりとしながら、カレンは眠っているブラッドの顔を見ていた。ダークブラウンの前髪から覗くブラッドの顔は、なんだか疲れているように見えた。
ふとブラッドは瞼を開けた。そしてカレンの顔を見ると、急に慌て出した。
「カレン! 目が覚めたのか!?」
ブラッドが身を乗り出し、カレンに詰め寄る。
「は……はい」
ブラッドの剣幕に驚きながら頷くと、ブラッドは大きな音を立てて椅子から立ち上がり、急いで部屋から出て行ってしまった。
「何なの?」
困惑していると、ブラッドがセリーナを連れて戻って来た。セリーナはカレンの顔を見るとホッとしたように微笑み、ブラッドが座っていた椅子に腰かける。
「カレン、目が覚めて良かったわ」
「あの……ここはどこですか?」
カレンは未だ状況が掴めていない。この部屋は使用人の部屋ではなく、騎士や聖女のようなちゃんとした立場の人が使う部屋なのは間違いない。なぜこんな部屋で自分が寝かされているのかと、カレンの頭の中は疑問でいっぱいである。
ブラッドがセリーナの代わりに質問に答える。
「ここはアウリスに戻る途中の屋敷だよ。お前はもう三日も寝たままだったんだ」
「三日……!?」
カレンは目を丸くする。
(覚えてるのは……野営地でラグナルに刺された所まで。あれからもう三日も経ったの……?)
「覚えてる? カレン。あなたは野営地で襲われ、命を落としかけた。そしてあなたに奇跡が起こったのよ」
「奇跡?」
セリーナは頷く。
「あなたの体を『聖なる青い炎』が包み、あなたの体についた傷は全て消えた。この意味が分かるかしら? あなたは『聖女』として目覚めたのです」
カレンは驚愕の表情を浮かべたまま、何も言えずにただセリーナとブラッドの顔を見ていた。
ブラッドはセリーナに続き、説明を始めた。
「お前は聖女として目覚めた後、気を失った。あの場にいた者達は、お前に起きた奇跡を目の当たりにしたんだ。我がアウリス騎士団はお前を聖女として守り、アウリスまで送り届ける。今後は部屋に留まり、屋敷の外には出ないでくれ」
カレンは慌てて体を起こし、すぐ近くの窓から外を見た。屋敷の外では騎士が訓練をしている姿が見えた。
「私が、聖女……?」
カレンは未だに現実が受け入れられず、混乱していた。
「カレンのような目覚め方をする聖女を見たことがない。全身が『聖なる炎』に包まれる聖女など……ありえない。聖なる炎は聖女に力を与えるものだ。聖女自身が炎を持つことはない」
セリーナは頷き、ブラッドに続く。
「私もカレンのような聖女を見たことがないけれど、これは現実に起こったこと……。カレン、ひょっとしてあなた、以前から何か兆候があったのではないかしら? 心当たりはない?」
カレンはふと思い出す。
「……あ、ひょっとして……ノクティアに出発する前に怪我をしたんですけど、治るのがやけに早いなとは……薬の効きがいいからだと思ってたんですけど、違うんですか……?」
セリーナとブラッドは顔を見合わせ「やはり」と頷く。
「あなた自身が気づいていなかっただけで、聖女としての力は既に現れていたのね……すぐに気づけなくて申し訳なかったわ。聖女は僅かな傷ならば、自己治癒力で治してしまうものなの」
「そうなんですか……」
どおりでどの聖女も肌が艶々で綺麗なはずだ、などとカレンは思っていた。
セリーナはブラッドを見上げてため息をつく。
「カレンのような珍しい聖女は、他の教会が放っておかないでしょうね」
「実際に、俺達の後をつけている馬があるとの報告を受けています。ノクティアか、王都か……両方かもしれませんが」
ブラッドは一呼吸置き、カレンに向き直った。
「カレン、お前の存在はノクティアと王都に知られている。今は他の教会に余計な詮索をされたくない。だからアウリスに戻るまで、俺達の目の届くところにいてくれ」
「……わ、分かりました」
「心配しないで。あなたのことは『アウリス・ルミエール教会』が必ず守るわ」
ブラッドとセリーナに言われ、カレンは頷くしかなかった。
「それとカレン、もう一つお前に伝えておくことがある」
ブラッドはすっと背筋を伸ばし、真剣な表情でカレンを見つめた。
「は、はい」
カレンも思わずベッドの上で背筋を伸ばす。
「お前を刺した犯人、騎士ラグナルはあの後すぐに捕らえられ、ノクティア騎士団によって処刑された。俺とエリックがその場に立ち会った。騎士ソーンは騎士団から永久に追放された」
「……処刑、ですか?」
カレンは意外そうな顔をした。
「聖女様を殺そうとしたんだ。騎士ラグナルのしたことは重罪に当たる。当然のことだ」
使用人を殺そうとしただけなら、彼が処刑されることはなかったかもしれない。ラグナルのことは許せないが、処刑という言葉の強さにカレンは戸惑っていた。
「仕方のないことよ。聖女を傷つけることは、この国の存亡に関わることですから」
セリーナはそっとカレンの手に触れた。
「でも……あの時、私はまだ、ただの使用人でした。聖女じゃない」
首を振りながら呟くカレンに、ブラッドとセリーナは困ったように目を合わせた。
「……ブラッド。彼女はまだ混乱しているのよ。この話を伝えるのは早すぎたわ」
「そうですね。少し急ぎ過ぎました」
カレンは顔を上げ、慌てて手を振った。
「あ、いえ! 大丈夫です。ちょっと色々あり過ぎてびっくりして……」
「カレン、何か少し食べた方がいいわ。それとお風呂に入って、ゆっくりくつろいでまずは心を休めて。私達は失礼するわね」
セリーナはゆっくりと椅子から立ち上がった。
「すぐに食事を持ってこさせよう。さあ、セリーナ様。行きましょう」
ブラッドはセリーナと一緒に部屋を出て行った。
カレンに食事を持ってきたのは、エマだった。
「エマ!」
カレンはエマの顔を見て嬉しそうに笑う。
「カレン、目が覚めたって聞いて……本当に良かったわ」
エマは既に泣きそうになっていた。食事が乗ったトレイをベッドサイドテーブルに乗せ、器に入った大麦のおかゆをカレンに渡す。
「心配かけてごめんね、エマ」
「とんでもない! 謝りたいのは私の方よ。ラグナル達がいることを知ってたのに、カレンを一人にさせちゃったんだもの。あの時、私が一緒にいればカレンは……」
「エマのせいじゃないよ。私も油断してたし。それにこうして助かったんだから」
エマは目を真っ赤にさせ、袖で涙を拭った後ようやく笑顔に戻った。
「……それにしても、まさかカレンが聖女様になるなんて! 私、あんなの見たの初めてで……みんな『奇跡が起きた』って大騒ぎだったのよ」
「私、その時のこと全然覚えてないんだよね。見たかったなあ、自分のことだけど」
エマはアハハと声を上げて笑った。エマと話して落ち着いたカレンはその後、味のしない大麦粥を食べながら、しばらくエマとおしゃべりしていた。
1
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
ハイパー王太子殿下の隣はツライよ! ~突然の婚約解消~
緑谷めい
恋愛
私は公爵令嬢ナタリー・ランシス。17歳。
4歳年上の婚約者アルベルト王太子殿下は、超優秀で超絶イケメン!
一応美人の私だけれど、ハイパー王太子殿下の隣はツライものがある。
あれれ、おかしいぞ? ついに自分がゴミに思えてきましたわ!?
王太子殿下の弟、第2王子のロベルト殿下と私は、仲の良い幼馴染。
そのロベルト様の婚約者である隣国のエリーゼ王女と、私の婚約者のアルベルト王太子殿下が、結婚することになった!? よって、私と王太子殿下は、婚約解消してお別れ!? えっ!? 決定ですか? はっ? 一体どういうこと!?
* ハッピーエンドです。
何を間違った?【完結済】
maruko
恋愛
私は長年の婚約者に婚約破棄を言い渡す。
彼女とは1年前から連絡が途絶えてしまっていた。
今真実を聞いて⋯⋯。
愚かな私の後悔の話
※作者の妄想の産物です
他サイトでも投稿しております
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる