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第6章
きっと薔薇の匂いにやられたんだ
しおりを挟む授業の内容が頭に入らない。
昼が近づくたびにドキドキと胸が高鳴る。
何度か講師から注意を受けたものの、
無事に昼休みの開始の合図が鳴り響く。
よし、行動開始だ。
心配そうに俺を見つめる赤毛の彼に少し胸がチクチクと痛むも、
俺は目的の場所へと足を進めた
庭園 趣味の悪い俺様くんの例の場所。
記憶が操作されているのならば、彼が恋い焦がれている相手、その1くんのお気に入りの場所に彼を想って行くはずだ。
たぶんこれは裏設定だから、
ルーの魔法も及んでいないと思う。
足を進めるたび薔薇の香りが俺のお鼻を襲う。
嫌いじゃないんだけど‥これだけあると、ねえ‥。
フラフラと歩いていると、薔薇に囲まれた写真スポットみたいなベンチに、見慣れた灰色の髪が見えて、ドキリと心臓が高鳴る。
いた!!
だけど、
その隣にはあの日とはまた違う別の誰かが居て
微笑み合うその姿に
見つめ合うその瞳に
いやだ
また
見たくない
2人の顔が近づいて
俺の思考は停止し、身体だけが物凄い勢いで動くのが分かった
あ、あれ、
待って俺、落ち着けって
だめだってば、止まれ
そうだよ
もっとかっこよくて、ヒーローみたいに現れなきゃダメなのに
こんなの、
こんなの
「やめろッーー」
「っ、へ?」
「きゃっ?!」
ああ、もう
最悪の登場だってばっ
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