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第6章

バグの主人公

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狂ったように笑い叫ぶルーとは逆に、
俺は何故か安心していた。



そうか



そうなんだ


記憶操作‥そんな魔法は聞いたことがないから、詳しくはわからない。




だけど、





「はは‥」






「っ、‥なに笑ってるんだよ‥?」



笑みを歪め、俺を不審な目で見るルー。



君の言葉に俺は

僅かな

希望を見てしまったんだーーー




「ああ、‥ごめんね。安心してつい。」




「は?何言ってるの?お前ついにぶっ壊れた?はは、こいつの全てを乗っ取った時も、そうだったけど、やはり悪役は弱いね?笑えるよ。」


乗っ取ったか‥
なるほどね。



そうだね。ぶっ壊れた‥ぶっ壊れて、それでふっきれたんだ。きっと






「そうかもしれない。
ルーの‥いや、君のおかげで、なんだかやる気が出たよ‥。」



いつも俺は逃げてばかりだった。
陰で見守るとか言い訳ばっかりして、
現実から目をそらしていた情けない人間だ。



俺が臆病なせいで大事の人を傷つけた。
それさえも許せなくて
だけど何もできないと決めつけて‥






でも、もうやめる事にするよ。




あれが嘘のリオンさんなら


俺は、本当の貴方を知りたい。


あの時、貴方が助けに来てくれた意味を。
言葉を感情を


全部知りたいと


強く思ったんだ。








「俺ね。リオンさんが好きだ。」


ポツリと口から零れ落ちた言葉は
俺の心を温かくする。





「‥だから何だよ‥。」






ああ。そうだな、君の言い方でいうと






「だから‥






リオンさんを攻略してみるよ。エル・クレヨンという名の〃主人公としてーーー全力でね?」



「ッ、な、に、言って」



俺はバグを起こすよ。
君に逆らったレールに乗って、
ルーも‥全部を‥取り戻してみせるーー




今度は



諦めたりしないーー









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