悪役令息の取り巻きに転生した俺乙

花村 ネズリ

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第3章

友達

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「そういえば、授業サボってますけど平気なんですか?確かリオンさんは近衛騎士志望では?」

近衛騎士や、魔導科は、
欠席やサボりにとても厳しいと聞いた事がある。

「あー‥今日は元々サボる予定だったから大丈夫ー。それに‥
‥昨日、ファイが気持ち悪い顔しながら機嫌良さげに帰ってきたんだけどさー。
アイツ、一緒に振られた癖に、その割には立ち直りが早いと言うか‥。
超ご機嫌すぎてうざいから、一緒にいるの疲れちゃって」

それはたぶん、ルーと‥



「そう‥ですか‥」

「‥君、あの子の事、好きだったんでしょー?」


「ッ‥まあ、はい‥」


知ってたんだ。
ちょっと困ったような顔。
はあ、隠してたつもりだったんだけど、その1くんにもバレていたし。
俺ってそんなに分かりやすい?


「ファイより‥エルくんの方が絶対かっこいい。」

俺を見てむすっとするリオンさん。


「はは‥いいですよ、慰めてくれなくても。」

あんなイケメンと比べられても、
ため息しか出てこない。
見た目だけじゃない。中身だって‥俺はヘタレだ。


「いや、ほんと‥。君みたいな人に愛されたら、きっと幸せだろうなって」

「それ」

似たような事、
アイツにも言われたな‥。


赤い髪
俺のことを好きだといってくれる人。


でも今は‥考えられない。




「恋の終わりって、どうしたら次に進めるんですかね‥」


「‥簡単な事だよ。次の相手を見つける。
あのクソ野郎みたいにねー。あ、これファイには秘密ね?アイツ怒ると手に負えないから」

次の相手‥それが軽々見つける事が出来たなら‥どれだけ楽か

ああ、なんだかムカついてきた。

「クソ野郎‥いいじゃないですか。ぴったりです」

「ぷはっ!!君意外と毒舌!!」

「いいんです。少しぐらい毒を吐いたって、許されます。」

「そうだねー!ファイは簡単に手に入れる事が出来るのに、俺達だけ不公平だー!!って叫びたいよー!」

「はい、本当に‥。でも‥」


「〝俺達が変わらなくちゃ‥いけないんだよね」


「ッ、そうですね。」

「だけど、今日ぐらいはいいでしょ?落ち込んだって、愚痴言い合ったって‥。
そのかわり明日からは、」

「〝前を向けばいいーー」


リオンさんそれ全部王国物語の受け売りじゃん。
それに乗って会話する俺も相当‥


「はは!俺達本当、王国物語の大ファンだね!」

「王国物語は最高ですから。」

「うん!エルくんとは気が合いそうだよ。明日からもまた、仲良くしてくれる?」

「俺で良ければーー」



環境が変われば、人はそれに対応して変わる力を持っている。
だけどそれは、自分から足を踏み出さなければ、
変わる事ができない。


これはきっと、俺と彼が変わる為のきっかけだ。


俺達は、その日を校舎裏で過ごした。
幸福なことに誰も来なくて、
たわいない話をして、愚痴を言いあって、
時には泣いたり‥馬鹿笑いをしたり

そうして、心の傷をお互いに癒しあった。
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