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第3章
ルー side 願う幸せ
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ルー sideーー
「頑張って!!いってらっしゃい!」
親友に勇気をもらう。
エルに言葉を貰った後は、とても身体が軽くなる。
エルの言葉は魔法だーー
「ファイ様、やっぱりここに居た‥」
鍵がかかった立ち入り禁止の屋上。
実は鍵は古くなり壊れていて、
悩んだ時や、嫌な事があると、必ずここに来ると、ファイ様は言っていた。
「‥誰だ‥っルー?」
「ファイ様‥」
「‥何の用だ‥。」
「あの!‥っ、」
あれ、僕はなにを言いにここに来たんだっけッ
落ち込んでるファイ様を、少しでも励ましたかった。
でも、僕にできる事なんて‥
もしかしたら、1人になりたいから、ここに来たんじゃ?
そしたら僕は‥邪魔なだけで‥
「あ、の‥僕、は‥」
言葉が詰まる。何か言わなきゃ行けないのに、否定された、拒絶された日の事を思い出して何も喋れなくなる。
「‥用がないなら、出て行け」
「ッ」
ほらやっぱり
ああ、本当に僕は役立たずだ。
涙が溢れそうになる。
弱くて好きな人に何もしてあげられない
「わかり、まし、た‥邪魔して‥ごめんなさい。あの‥風邪をひかれないように‥ブランケットと‥温かい紅茶を持ってきたので、ここに置いておきますね‥。では‥」
ゆっくりと扉へと戻る。
‥馬鹿みたい。自分が情けなくてしょうがない。
エル‥ごめん。応援してくれたのに僕は‥
ドアを開けようと手を伸ばした瞬間だった
「ひゃっ?!」
急に後ろに引っ張られ、暖かいものに包まれる。
「ふ、ファイ様ッ!?」
「‥俺は風に当たりすぎて猛烈に寒い。
だから、お前が暖めろ。」
「へ?は、はい!僕で、よろしければ?」
「‥
ありがとう‥ルー。それと‥
すまなかった‥」
「ッ!‥」
耳元で囁かれた言葉。
溢れていたものがこみ上げる。
ファイ様はズルい。
今そんな事を言われたら、僕は文句の一つも言えないよ
「本当に‥すまなかった‥」
どうして僕を無視したのとか、
どうして冷たくなってしまったのとか、
どうして捨てたのって沢山聞きたいことがあるのに
その言葉だけで、僕は彼を許してしまう。
「謝らないでください。僕はきっと‥貴方が幸せなら‥僕も幸せなんです。だから‥僕の事は気にしなくていいんです。」
「ッだが俺は‥お前に酷いことをしたんだぞ?‥お前を顔だけで選んで遊んだ。お前だけじゃない。他に何人も‥それなのに、好きな奴が出来たからと、自分勝手に捨てたのだ‥恨まれても‥殴られたとしても、文句は言えない‥」
「‥僕はねファイ様。貴方や、貴方の好きな方を恨むような事できなかった。できたらよっぽど楽だったのに‥。それが出来なかったのは‥貴方が
ファイ様の事が大好きだからーー」
「っ、ルー、お前‥」
「僕はファイ様の幸せを願っています。たとえ、僕がそこに居なくても‥。
だからっ、元気を出してください!ファイ様なら、きっとすぐ良い人が見つかります!!シオンくんが諦めきれないのならば、僕も協力します!た、頼りないかもしれませんが!だからッ、どうか!っん!?ーーー」
柔らかいものが唇に触れる。
僕、今キス、されてる‥?
「ん、んん!?ぷはっ!?な、なななな」
ぼ、僕のファーストキスッ!?
というか、なんでキスなんかっ、
ど、どうして!?
もしかしてまた、遊ばれてる?!
「プッ、ククク‥ああ、元気が出たよ。お前の言う通りだ。すぐに見つかったーー」
「へ?」
「覚悟しとけよ、ルー。必ずお前を最高に幸せにしてやる。」
「ッーー」
「純粋な愛か‥あのアルビノにもやっと反論できそうだ」
ニヤリと笑う綺麗な顔。
最初に僕に話しかけてくれたあの時と同じ表情なのに‥
どこか優しさが溢れていてーー
エル‥どうしよう
僕、今胸が爆発しそうだよ。
ルーside endーーー
「頑張って!!いってらっしゃい!」
親友に勇気をもらう。
エルに言葉を貰った後は、とても身体が軽くなる。
エルの言葉は魔法だーー
「ファイ様、やっぱりここに居た‥」
鍵がかかった立ち入り禁止の屋上。
実は鍵は古くなり壊れていて、
悩んだ時や、嫌な事があると、必ずここに来ると、ファイ様は言っていた。
「‥誰だ‥っルー?」
「ファイ様‥」
「‥何の用だ‥。」
「あの!‥っ、」
あれ、僕はなにを言いにここに来たんだっけッ
落ち込んでるファイ様を、少しでも励ましたかった。
でも、僕にできる事なんて‥
もしかしたら、1人になりたいから、ここに来たんじゃ?
そしたら僕は‥邪魔なだけで‥
「あ、の‥僕、は‥」
言葉が詰まる。何か言わなきゃ行けないのに、否定された、拒絶された日の事を思い出して何も喋れなくなる。
「‥用がないなら、出て行け」
「ッ」
ほらやっぱり
ああ、本当に僕は役立たずだ。
涙が溢れそうになる。
弱くて好きな人に何もしてあげられない
「わかり、まし、た‥邪魔して‥ごめんなさい。あの‥風邪をひかれないように‥ブランケットと‥温かい紅茶を持ってきたので、ここに置いておきますね‥。では‥」
ゆっくりと扉へと戻る。
‥馬鹿みたい。自分が情けなくてしょうがない。
エル‥ごめん。応援してくれたのに僕は‥
ドアを開けようと手を伸ばした瞬間だった
「ひゃっ?!」
急に後ろに引っ張られ、暖かいものに包まれる。
「ふ、ファイ様ッ!?」
「‥俺は風に当たりすぎて猛烈に寒い。
だから、お前が暖めろ。」
「へ?は、はい!僕で、よろしければ?」
「‥
ありがとう‥ルー。それと‥
すまなかった‥」
「ッ!‥」
耳元で囁かれた言葉。
溢れていたものがこみ上げる。
ファイ様はズルい。
今そんな事を言われたら、僕は文句の一つも言えないよ
「本当に‥すまなかった‥」
どうして僕を無視したのとか、
どうして冷たくなってしまったのとか、
どうして捨てたのって沢山聞きたいことがあるのに
その言葉だけで、僕は彼を許してしまう。
「謝らないでください。僕はきっと‥貴方が幸せなら‥僕も幸せなんです。だから‥僕の事は気にしなくていいんです。」
「ッだが俺は‥お前に酷いことをしたんだぞ?‥お前を顔だけで選んで遊んだ。お前だけじゃない。他に何人も‥それなのに、好きな奴が出来たからと、自分勝手に捨てたのだ‥恨まれても‥殴られたとしても、文句は言えない‥」
「‥僕はねファイ様。貴方や、貴方の好きな方を恨むような事できなかった。できたらよっぽど楽だったのに‥。それが出来なかったのは‥貴方が
ファイ様の事が大好きだからーー」
「っ、ルー、お前‥」
「僕はファイ様の幸せを願っています。たとえ、僕がそこに居なくても‥。
だからっ、元気を出してください!ファイ様なら、きっとすぐ良い人が見つかります!!シオンくんが諦めきれないのならば、僕も協力します!た、頼りないかもしれませんが!だからッ、どうか!っん!?ーーー」
柔らかいものが唇に触れる。
僕、今キス、されてる‥?
「ん、んん!?ぷはっ!?な、なななな」
ぼ、僕のファーストキスッ!?
というか、なんでキスなんかっ、
ど、どうして!?
もしかしてまた、遊ばれてる?!
「プッ、ククク‥ああ、元気が出たよ。お前の言う通りだ。すぐに見つかったーー」
「へ?」
「覚悟しとけよ、ルー。必ずお前を最高に幸せにしてやる。」
「ッーー」
「純粋な愛か‥あのアルビノにもやっと反論できそうだ」
ニヤリと笑う綺麗な顔。
最初に僕に話しかけてくれたあの時と同じ表情なのに‥
どこか優しさが溢れていてーー
エル‥どうしよう
僕、今胸が爆発しそうだよ。
ルーside endーーー
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