悪役令息の取り巻きに転生した俺乙

第3章

ドMって逆境に強そうとか思ってしまう俺氏乙

「はあ‥君といると、忙しなくて色んなことがどうでもよくなるよ‥。」

ルーの事‥考えられなくなるほど突飛な話をするから
ある意味、気晴らしになった。
最近疲れてたのかもしれない。

こんなに気を抜いて話したのは久しぶりかも


「‥やっと、笑った‥よかった」

「へ？」

俺を見て安心した顔。
は、え？今なんて

「っ、な、なんでもない！！それより、ランクアップっ、しようエル！！」

「しないよ‥てか、そんな簡単にできないから‥」

誤魔化された。
笑っただって？相棒をかぶってるのに？
分かるはずない。分かるのはルーぐらいだ。
それなのに‥
本当に不思議な子。

完璧に主人公になりきれているのに、
主人公とは違うことをする。
違う表情を、言葉を主人公でやるんだ。

本当のこの子は‥どんな性格なのだろう‥どんなものが好きで、どんな話をするのだろう‥


「ねえ、どうして髪を切ったの？」

「‥変わりたくて‥その、きっかけにしたかったんだ。」

「変わりたい？どうしてまた‥」

「自分らしく、生きたいって思っちゃったんだ。何にも縛られない自分にーー」



「君って‥凄いんだね」


ルーの害になる存在。
そんな事ばかり考えてたけど。
彼は進もうとしてる。新しい自分が作った道を
俺、人を見る目ないかも。違う意味で。


「そ、そんな事ない‥俺の背中を押してくれるのは‥いつもエルだったから‥」

「え、俺？」

彼の口から出た自分の名に驚く。
俺はなにもしていない。むしろ、酷い事ばかりだ‥
それなのに‥俺が、背中を押すって‥
ぎ、逆境に強いタイプとか‥？



「近くに居てくれるだけでいいんだ。それだけで俺は勇気をもらえるから」


ふわふわと笑うその顔‥
何故か顔がまた赤くなる。

な、なに。俺どうしちゃったの？！
び、病気かなッ、なんか心臓も心なしか早く波打ってる気がするッ、



だ、だめだ。なんだかおかしいッ


「ご、ごめんッ、なんか俺、調子悪いみたいッ、帰る！！」

俺は勢いよく立ち上がり、ガツガツと地面を蹴って早歩きで歩く。
後ろから俺を心配する声が聞こえたが、
今はそんな事に構ってられなかった。




「なんだよ‥どうしちゃったの俺‥」

火照った頬を相棒に隠し、俺はいつの間にか到着していた寮の前で、謎の症状に頭を抱えるのであった。


‥‥



「え！？だ、大丈夫なのかっ？！って、エル！！！まっ、て‥‥って、

行っちゃった。‥もう少し‥話したかったんだけどな‥。
っまさか、‥引かれて、ないよね‥？もしかして、俺が好き好き言いすぎて、それで調子が悪くっ！？うわああ！どうしよう！エルに嫌われたらッ！！！こ、今度‥謝ろう。きっと、まだ大丈夫‥、諦めないし！！頑張れ俺！！‥


はあ‥
どうしたら‥もっとエルに近づけるのかな‥」



‥‥