悪役令息の取り巻きに転生した俺乙

花村 ネズリ

文字の大きさ
上 下
25 / 109
第3章

先に泣かれると泣けないタイプ

しおりを挟む

「えっと‥行かなくて、いいのか?」


主人公くんが、俺に問いかける。
どうして‥


「どうして?俺が行く必要ある?」

「いや‥エルは‥ルーの事が好きだと思ってたから‥その」

「好きだよーーー」

一目見たあの瞬間からずっとーー

「ッ、」

「だけど、俺の手はルーには届かないから。せめて、背中を押してあげられる‥声になりたいんだ。」


今日の俺氏はよく喋るな‥。
なんだよ、声になりたいって、ポエマーかよ。はあ、
落ち込んでんのか‥?らしくない。
いつもみたいに笑えばいいものを。
俺の頬よ上がれ。


「そんなの、伸ばせば‥届くだろうッ‥!」

「そう、だね。届くのに‥手を伸ばせないんだ。
はは、俺は、臆病で格好の悪い人間だからさ~。
‥君みたいになれたらいいのに
‥なんて、
じゃあ、俺は授業があるから行くよ。君も遅れないようにね~。」


これ以上彼といると、八つ当たりしてしまいそうで怖い。
嫌な人間になりたくないんだ。
どうか今は1人にしてくれたまえ




「ッエルはカッコ悪くなんかない!
優しいんだよ!

エルは優しいよ‥」

「ッ!」


優しい
ルーが俺にいつも言ってくれる言葉。
ふいに目が潤んで。
情けなくて、どうしようもなくて

だけどそれよりも



「っ、ちょっと、なんで君が泣くの!?」

俺が泣きたいのに、先に涙を流す主人公くん。びびって駆け寄ると、さらに大粒の雨が‥
俺氏、どうすればいいのッ


「ふっ、‥俺はエルの事、かっこいいって思ってる‥グスッ‥優しいとこも、臆病なとこも、エルの


全部が好きだからーー」


真っ直ぐに響く。
心臓に突き刺さって染み込んでいく。


「ッ、どうして‥俺なの‥」

「好きになるのに、理由がいるの‥?」

「だって意味不明だよ君‥ッ。俺なんかよりも良い人いっぱいいるじゃん。どうして」



こんなどうしようもないモブを‥



「エルがいい。他の誰でもない。エルがいいんだ。」



おかしな奴‥おかしいよ。
しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

根が社畜の俺、取り急ぎ悪役令息やってみます

木野真夏
BL
プログラマーとして働く社畜の俺が転生した先は、美麗なお金持ちの令息の体だった。だが、俺は思う。これは神様プログラムの一種のエラーなのではないか、と。それが元に戻るまでは、とりあえずこの体で生き抜いてはみるが──……って、え? 男同士で結婚するんですか!? あ、そういう世界観なんですね……。しかもお相手はなぜか俺に対して冷たいし。なんなら周りの視線も痛いんですが。 ★そんなに長くはならない予定。 ★ツンデレ攻め(ツン多め)×鈍感受け。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

悪役令息の死ぬ前に

やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

モラトリアムは物書きライフを満喫します。

星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息 就職に失敗。 アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。 自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。 あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。 30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。 しかし……待てよ。 悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!? ☆ ※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。 ※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

貴方だけは愛しません

玲凛
BL
王太子を愛し過ぎたが為に、罪を犯した侯爵家の次男アリステアは処刑された……最愛の人に憎まれ蔑まれて……そうしてアリステアは死んだ筈だったが、気がつくと何故か六歳の姿に戻っていた。そんな不可思議な現象を味わったアリステアだったが、これはやり直すチャンスだと思い決意する……もう二度とあの人を愛したりしないと。

買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます

瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。 そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。 そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。

処理中です...