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第1章
繰り返すのやめてくれない?
しおりを挟む「ねえ、シオンちゃん。抱きつくなら、そんな奴より俺にしなよー」
「そうだシオン。そいつは誰にでも媚びを売るからな。惑わされるな。」
「ッファイ‥様‥それは、本気で言っておられるのですか‥?」
あーあ、また傷つける
何度も何度も‥繰り返して
ほんと、見てるこっちが嫌になっちゃうよ。
涙で目が潤んだルーの前に立つ。
今日はここまで
「ルー、行こっか」
「う、ん」
ルーの背中を押し、教室から出る為扉へ向かう。
途中ですれ違ったその1くんが俺たちを見て鼻で笑った。
「ふん、しつこい奴だ。」
「ッ」
ポタリと流れ落ちる雫。
俺は拳を握りしめる。
ああ、ほんとに
「可哀想な人」
「は?」
「ああ、聞こえちゃいましたか~?はは、すいません。ファイ様は可哀想だなって思っちゃってつい!」
駄目だ。これ以上は駄目だ。
頭では分かっているのに、
口が止まらない。
「どういう意味だ‥」
「〝人の純粋な愛さえも分からぬとは、王の器ではない。それは人の姿を真似ただけの獣だ。なんと醜く可哀想な生き物であろうか、」
「ッ、」
「小説。王国物語。最近ハマってるんですよね~。主人公が、王子様に向けての哀れみを書いた台詞。まるで今のファイ様みたいだなって!あ、気分を害されたなら申し訳ございません。悪気はないので、ファイ様の広いお心で許してくださいな‥
それでは‥失礼。」
俺はルーを連れて急いで教室を出る。
言ってしまった‥。
こんな挑発めいたこと‥また、ルーに迷惑かけるだけなのに。ルーの苦しそうな顔を見て我慢出来なかった。
小さな背中が震えていて
ごめん、ルー。
心の中で謝る。
君の幸せを願っているのに、俺はいつも空回りして‥。何の役にも立てないのが、辛い、
「あいつッ」
「ぷっ!一発やられたねーファイ!!」
「俺を‥王の器ではないと言いたいのか‥」
「まあ、ファイみたいな遊び人は、ある意味愚王に向いてると思うけどー。」
「黙れ‥」
「うわ、本気でキレてるし‥怖っ、冗談だってば‥」
「‥俺は必ず王になる。邪魔をするのであれば、それを跡形なく潰すだけだーー」
「‥ふーん‥ま、でも‥
お前の過ちを止めてやれる、そんな存在も必要だと思うんだけどな‥。」
‥例えば、彼みたいな‥ね。
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