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妙なかんじ
しおりを挟む「ちゅー‥。ねずみの鳴き真似か。」
「違うばか!」
「だから痛いってチョップ!」
「っ、あいつに、してただろッ!い、いっぱい‥舌とか出して‥っ、お前は俺のものなのになんであいつにあんなことしたんだよ!」
「ちょ!近いって!落ち着いて!」
こんな至近距離で怒られても内容入ってこやんて。
「‥俺には、できないのか‥。東は‥嫌なんだ、俺とちゅーするの‥」
興奮して怒鳴ったと思ったら、一気にどんよりと暗くなる雅に焦る。情緒不安定なん。ちゅーって可愛い言い方してるけど、キスのことやんな。なんで大嫌いな俺としたいねん。こいつマゾか。それか、おもちゃ取られた子どもの独占欲的な?
「はいはい、命令とあらば喜んでします。こっち向いて?」
まあ、もうこの際なんでもいい。早く湯船に浸からせて世話を終えたら風紀によって報告して‥ああ、後々めんどくさそう。このまま自室に帰ろうか。
「っ、う、うん‥」
きゅっと目を瞑る雅に呆れながら、ちゅっとおでこにキスをする。はい、ママからのおやすみのちゅーですよ。カッと怖いぐらい目を見開かれてムッとされた。怖いって。俺のでこちゅーやぞ。なんでやねん喜べや。
「そこじゃない‥」
「‥じゃあどこやねん」
「もっと‥下」
下ね。リスみたいなくりんくりんのお目目の少し上に、適当に口付ける。
「ん‥あずま‥もっと下」
「なあ、もうええやろ。はよ体洗って」
「あずま」
「、」
真剣な顔にたじろぐ。真っ赤な目には俺しか映ってない。見るな。こういう雰囲気はごっつ苦手やねん。思えばなんでこんな恥ずかしいことしなあかんねん。俺はちゅっと雅の頬に口を押し付けた。俺の髪が触れたのかくすぐったそうにする雅と目が合う。なんかこれまるで‥
「えへへ、なんか、これ映画の恋人同士‥みたいだ‥」
「っ!」
「あずま、顔赤い‥」
「うっさいな‥もうええやろ」
「だめだ、もっと下だあずま」
優しく瞳を細めて微笑む雅の顔にどくんと心臓が跳ねた。なんやねん、気分悪いわ。こいつのこんな表情初めて見る。やめろ。俺にそんな顔で微笑むなや。まるで俺が‥追い詰められてるみたいやんけ。
「どこで覚えたんやこのガキ‥悪いことはまだ早いんちゃうか‥後で兄貴にちくるなよ。」
「言わない‥俺と東のふたりだけの秘密だ。」
吐息混じりの声で俺を誘う雅。どちらでもなく近づく距離に俺は諦めた。岡とは違う薄い唇。血色のいい小さな口。穢したらあかんって本能が告げるぐらい純粋で、なんもしらんような。それでいて、男を誘う色気がある。さすが魔王の弟。至近距離で見ると美しい人形のような顔の造りや。
陶器みたいな頬に手を添えて引き寄せる。どくどくと雅の心臓の音が高鳴って、俺らしくない変な罪悪感とともに綺麗な唇に口を重ねた。
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