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第5章 再開編
浮気者
しおりを挟む熱いーー
熱くてたまらない
だからこそ、目の前の冷たさを無意識に求めてしまう。
「は、‥きい、ち‥、」
頭をぐっと引き寄せられ、強引に割り込まれるそれ。
初めての感覚‥初めての行為
少し慣れない手つきで俺を扱うこいつが愛おしくて堪らない。
目をうっすら開けて喜一を盗み見ると、
その瞳と目が合って
苦しげで、だけど熱いその瞳に、ぶるりと身体が疼いた。
好きだ‥
好きーー
喜一の事が
好きだーー
ーーじゃあ、あいつはもういいんだ?
突然、
ボソリと頭の中で響いた声。
‥、あいつ?
あいつって、誰の事を‥
途端、赤い目が悲しそうな顔で俺を見つめて
ーーサルファー‥
帰ってこいーーー
‥
「ッ、」
「っ、‥は、‥‥?」
気づけば喜一の胸を強く押していて、
その行為を停止させる。
傷ついた顔をする喜一に心が痛んだが、
俺は自らの心の不甲斐なさでいっぱいいっぱいで‥頭パンクしそう‥
空を見上げれば、月が真上に登ってる
その月の色によく似た男
自分で驚く程、
すっかり忘れていた‥
金の髪の鬼の事
俺が‥想いを伝えた人
俺、サルファーが、
愛した人ーー
「俺って‥」
「光‥?」
罪悪感と惨めなこの気持ちに押しつぶされそうになる。
最低だ。最低すぎるぞ俺‥
雰囲気ぶち壊して悪い‥
だけど、俺気づいちまったんだ
喜一の言う通り‥
俺って‥俺ってば‥
「‥浮気者だ‥」
「は?」
「うわあああんッ!?」
「っおい!?光っ!?」
俺は脱兎の如く逃げた。
だって
ラシルも好きで
喜一も、好き‥だとッ
頭がいてえ‥
記憶が変に分裂してて、まるで心が二つ存在してるみたいだ‥
最低野郎‥俺っち‥
俺はこんな男じゃなかったはずだ
か、可愛い彼女が出来たら一途に愛してなんて心に決めていたのにッ
ふ、二股‥いや、ラシルにはほぼ振られているから、‥気が多い奴?
どっちにしろ、クソじゃねえかっ!?
俺はクソ野郎だチクチョーめだッ
うわああああもうっなんで俺ってほんとッ
ーービッチ‥
記憶に残る青の声。
その通りかもしれない‥
俺‥俺‥
「あああああっ!?」
どうしよう
どうしたら
黒髪が微笑み、金色がニヤリと笑う
その二つが頭に同時に浮かんできて
俺はブンブンと頭を振り、奇声をあげながら夜の庭を走った。
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