鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

花村 ネズリ

文字の大きさ
上 下
113 / 134
第5章 再開編

偽善者共

しおりを挟む
ラシル side ーー



「ただいま戻りました!!ラシルさん!お土産ですよ!」


「‥」


こいつの記憶は薄いが、覚えている。
何かの組織で俺の後ろをずっと犬のようについてきた‥
そうだ、犬だーー

こいつを見た瞬間、城で飼っていた犬を思い出した。だからそう名付けた。

は、そうか。城ねえ‥何故主人である王のもとから離れたのか疑問だったんだよ‥


「これと、これとー、これ!はい!ラシルさん、どれがいいですか‥?」

「‥」

「ら、ラシルさん‥?」

「‥いらねぇ」

「‥え、」

「‥少し気分が優れない。外してくれ。」

「あ‥その、お、大声、出してすいません‥分かりました、すぐ出て行きます‥ゆっくり、休んでくださいッ‥」


「‥」

部屋を出ていくその慌てっぷりな性格は変わっていない。

だが、
犬と奴がコソコソと何かを話しているのを何度も見た。犬は奴の協力者‥又は、事情があり嘘をついて俺を騙した。そんなところか

裏切り者はいらねぇ。主人に嘘をつく犬は駄犬にすぎない。ゴミ以下ならいつでも崖から蹴り落としてやる。
それより、問題は
闇魔法‥まさか、あのクソ野郎も使えるとはなぁ‥
記憶を消してくれるなんて笑えるぜ。最高のザマだ。


精霊共は俺によく光属性の魔法を使わせたがる。
いつもなら鬱陶しいが、今回は上出来だった。


ーー赤き光になりて、闇を喰いつくせッ



あの時だ。闇魔法を喰いつくした時‥俺自身に掛かっていた術式も影響を受けて少し喰われた。そこから型を崩し、徐々に退化していっている。
ひとつひとつゆっくりと‥思い出していく記憶がもどかしい。



「はぁ‥お前も言い方を考えろ‥アレはお前の事を好いている事ぐらい気がついているだろう‥」

偽善者1

「アサヒッ!?ど、どうすればいいんだろっ?お、追いかけるべき?でも、俺アサヒに怒ってるし‥まだ許してないし‥でも‥うーん‥」


偽善者2

「‥」

言葉を交わせば腐りそうな腐敗臭。
腹わたが煮えくりかえりそうだ。
白髪と茶髪‥犬に紹介された男達。

この男共の記憶はまだ思い出せねえ。
だが、1人の男が持つその刃は、この手で奪ったもの。

何が王国騎士だ。
こんなクソみてえな国、あの剣の試し斬りで充分だった。
こいつらも王国の為に、こんなクソみてえな仲良しごっこをしてるってんなら、信じるに値しない。


全てを思い出せれば‥こんな胸糞悪い所ッ
くそっ


‥何故アイツは俺の側にいない‥?
1番に思い出したのはアイツの名前だ。
サルファー‥俺が付けた母の好きだった故郷の宝石の名‥。

どうして、違う名を口にした

こうなる前をまだ思い出せていない。
だが、募るのは苛立ちだけ

アイツへの‥苛立ちだーー

帰るだと‥、ふざけるな
お前の居場所は俺の隣だけだ

敵に囲まれて裏切ったか?
他に仲間が居て、絆されたか?

あの男は一体誰だ‥

何故、お前は姿が変わって‥


いや‥


全部




関係ねぇ‥ーーー





‥俺から‥逃げられると思うなよ‥



サルファー‥



ラシル side endーー
しおりを挟む
感想 183

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。 アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。 そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!! え? 僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!? ※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。  色んな国の言葉をMIXさせています。

処理中です...