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第5章 再開編
わかった
しおりを挟む「そうか‥そうなのか‥」
「‥え?な、なんて?」
ボソボソと俯いて何かを言うラシル。
俺が呆然としていると、
目の前のラシルが消えて、トスっと肩に重みがかかる。
俺の肩に頭を乗せるラシルは笑っているのか、その振動が伝わって、俺はどうする事もできずに、ただジッとその場に立ち尽くした。
「アンタは‥綺麗だな」
「きっ!?」
ボソリと呟いたのはそんな言葉。
き、急になんなのほんと
心臓に、悪い‥つうの‥
「、その、‥たまに、‥酷く、頭痛がする。」
「ず、頭痛‥?‥」
な、に、今度はなんの話を
「いつも何か思い出そうとした時になる‥あと、心臓の一部が無くなったみたいに虚しくなる‥。それとーー」
「ま、まてまてまて!!」
「‥?」
肩に頭を乗せながら、首を器用に回して俺の顔をジッと見るラシル。
なんだか、甘えられてるみたいで、
引き離すことができない。
まさか、俺に相談してるのか?
いや、
相談しろとは言ったけども‥
「お、俺にじゃなくて、ほら、アサヒくんとか‥に、相談した方が‥ずっと、一緒に、いんだろ‥?」
「‥そう‥だな‥ずっと側にいてくれる‥」
ズキリと鳴る胸の音。
上げて落として上げて落として‥俺のライフはゼロよ‥
「ッ、ああ、そう‥そうですかっ、それは羨ましい事でッ‥」
ムカムカとした俺は、
ラシルを引き剥がそうと奴の肩を持つが、
触れた瞬間、耳元で囁かれる言葉に
目を見開いた。
「‥だけど、アンタは‥昔から一緒にいるんだろ‥?」
「うッ‥な、なななんでっそ、それをッ‥」
き、記憶が戻ったのか!?
っ!?どうして急にッ
「‥先程、自分で言っていただろ。それに、‥アンタから、懐かしい匂いがした‥だから、アンタだって、気づけた‥これは‥きっと、長く一緒に居たから、覚えたんだ。
アンタの匂いを。」
「‥っ~、」
顔を上げたラシルが微笑む。至近距離でそんな顔をするもんだから、心臓が煩く破裂しそうだ。
ええ!?俺そんな事言ってた!?
自分で発言してたんかいっミスりすぎだろ俺。
つか、匂いって何っ!?まさか、臭い?!
そんな脳に焼きつくほど臭うの俺っ!?
いやだ、なにそれ恥ずかしっ
肩を掴んだ手は頼りなく落ちて、それをまた大きな手でぎゅっと握り込まれてしまう。
もう俺はなす術をなくした。
なんなのこいつ‥
ぜってえ記憶あるじゃんッ
ーー逃がさねえぞ‥サーールーー
「ひ!?」
「‥?どうした?」
何処からか、そんな幻聴まで聞こえ出して、
俺は悲鳴をあげる。
「な、なんでもない‥」
や、やべえ‥なんか、やべえ‥
こんな穏やかな顔をしているのに、
何処からともなく威圧感を感じる。
でも、
グルグルと回っていた頭の中の靄が消えていて
まさか、こいつが吸い取ってくれたのか?なんて、思っちゃったり‥
まだニコニコと笑うラシルを見て、
俺はまた視線を地面へと向けた。
なんだか、顔が熱い‥
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