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第5章 再開編
アイツの背中
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ラシルside ーー
「ええ!?雷車が事故で動かないの!?そんな~」
勇者が落胆した様子でそう叫ぶ。
シーサイドへ向かう列車が運休しているようだ。
確か崖崩れがどうとか、町の連中が噂していたが‥
予定が大分狂うな‥
「何かッ方法はないんですかっ!?俺達、急がないといけないんですッ!何か他の手段とかっーー」
「落ち着け‥山越えは無理だし、どうすることもできない。諦めて、運行するまで待とう。」
「でもッ」
アサヒが俺を見る。
目が合うと、気まづそうに逸らしたのが気になったが、何か訳があるんだろ。
俺には知らされていない訳がーー
「いい加減にしろ‥お前だけじゃない。俺だってさっさとライトを取り戻したい。でも、焦っても何も変わらないんだ。今は身体を休めて、戦いに備えよう。分かったな?」
「ッ、は、い‥。」
ギルドの光帝は、なかなか口が上手い。
魔力量や戦闘経験もそうだが、この旅では確実にこいつがリーダーだ。
ライト。その名前を光帝からよく聞くが、
詳しくは話さない。
他の奴らは分かっている様子なのに、
俺だけには教えられないようだな。
信用していいのだろうか。
心の中の闇に、あの子どもが現れた日から
ずっとそんな疑問が、心を支配する。
どうする事もできない俺にとっては、信じる他ないのは分かっているが
頭のどこかで
誰も信じるなと、誰かがそう告げるのだ。
「ラシルさん‥ごめんなさい」
「っ、‥何がだ‥?」
「貴方を早く‥自由に解放してあげられると思ってたんです‥だけど、そう簡単にはいきませんね‥」
「‥自由とは‥何をすればそうなるんだ‥?」
「‥それは‥貴方の‥幸せです」
ーーお前の幸せを願ってる
ラシル、幸せに、なれよーーー
「ッ、グッ‥、くそ、また‥っ」
酷い頭痛
世界が揺れて、俺を闇の中へと堕とす。
「ら、ラシルさんッ!?」
今度は、
顔を黒く塗りつぶされた青年ーー
俺を抱きしめて涙を流していた。
どうして
お前が泣くんだ‥ーーーーー‥、
「ゔ‥」
「っ、ラシルさんッ!!?誰かッラシルさんをーーー」
記憶のカケラが俺の頭を突き刺す。
思い出さないように。そうさせないように
アイツを‥思い出せない‥
意識が落ちる寸前、
闇の中でアイツの後ろ姿が見えて、
俺はそれに手を伸ばして
掴もうとするけど
届かなくて
重い瞼と、アサヒの声に意識を手放したーー
「ええ!?雷車が事故で動かないの!?そんな~」
勇者が落胆した様子でそう叫ぶ。
シーサイドへ向かう列車が運休しているようだ。
確か崖崩れがどうとか、町の連中が噂していたが‥
予定が大分狂うな‥
「何かッ方法はないんですかっ!?俺達、急がないといけないんですッ!何か他の手段とかっーー」
「落ち着け‥山越えは無理だし、どうすることもできない。諦めて、運行するまで待とう。」
「でもッ」
アサヒが俺を見る。
目が合うと、気まづそうに逸らしたのが気になったが、何か訳があるんだろ。
俺には知らされていない訳がーー
「いい加減にしろ‥お前だけじゃない。俺だってさっさとライトを取り戻したい。でも、焦っても何も変わらないんだ。今は身体を休めて、戦いに備えよう。分かったな?」
「ッ、は、い‥。」
ギルドの光帝は、なかなか口が上手い。
魔力量や戦闘経験もそうだが、この旅では確実にこいつがリーダーだ。
ライト。その名前を光帝からよく聞くが、
詳しくは話さない。
他の奴らは分かっている様子なのに、
俺だけには教えられないようだな。
信用していいのだろうか。
心の中の闇に、あの子どもが現れた日から
ずっとそんな疑問が、心を支配する。
どうする事もできない俺にとっては、信じる他ないのは分かっているが
頭のどこかで
誰も信じるなと、誰かがそう告げるのだ。
「ラシルさん‥ごめんなさい」
「っ、‥何がだ‥?」
「貴方を早く‥自由に解放してあげられると思ってたんです‥だけど、そう簡単にはいきませんね‥」
「‥自由とは‥何をすればそうなるんだ‥?」
「‥それは‥貴方の‥幸せです」
ーーお前の幸せを願ってる
ラシル、幸せに、なれよーーー
「ッ、グッ‥、くそ、また‥っ」
酷い頭痛
世界が揺れて、俺を闇の中へと堕とす。
「ら、ラシルさんッ!?」
今度は、
顔を黒く塗りつぶされた青年ーー
俺を抱きしめて涙を流していた。
どうして
お前が泣くんだ‥ーーーーー‥、
「ゔ‥」
「っ、ラシルさんッ!!?誰かッラシルさんをーーー」
記憶のカケラが俺の頭を突き刺す。
思い出さないように。そうさせないように
アイツを‥思い出せない‥
意識が落ちる寸前、
闇の中でアイツの後ろ姿が見えて、
俺はそれに手を伸ばして
掴もうとするけど
届かなくて
重い瞼と、アサヒの声に意識を手放したーー
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