鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

花村 ネズリ

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第4章 魔王城編

生々しすぎると逆に怖い

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「こ、これはなんでしょう‥」



目の前に広がる地獄絵図に、顔が引きつる俺っち。





「主人の魔力で屍を再構築したんだけど、生命の器ってのは難しくってね。貴方の身体はまだ未完成なんだ。だから」



連れてこられた部屋は、これまた豪華な一室で、
煌びやかなダイニングテーブルと、チェアー。

そこまではよかったんだ。




皿に盛りつけられた
ダークマター達に目をしょぼしょぼさせる。


ピンクの猪のような頭と、

紫のスライムのようなもの



生魚なのか、盛りつけられた緑の角の生えたお魚さんと目があって、
思わず何かを吐き出しそうになった。





「う、ぷ‥だ、だから‥?」




「毎日こうして、主人が作り出した魔物を食べて、主人の魔力を補給してもらいます。」


「い、っ




いやだあああああああッ!?!?ぐえっ」


青の言葉に、思わず逃げ出そうとした途端、掴まれる首元。


もう、俺のライフはゼロっすよ‥


そういえば、


この人の名前を聞いてみたものの、
主人に聞けの一点張り。

名前ぐらい教えてくれたらいいのに‥
とりあえず呼べる名前が無いのは不便なので
俺はこいつをアオと呼ぶことにした。

だって青いんだもの




「本当は、主人から直接摂取した方が早いんだけど」


俺を首根っこを掴みながらそんなことを言う青。


「っ!?ならそうしようッ!それがいいですって絶対ッ」


直接摂取という事は、マトになる時みたいに、魔力を流し込む事だろうか。
彼等を食べなくてすむなら、少し痛い事だって我慢してやるぜ。ドンとこいだ。

いや、やはり手加減はして欲しいですはい。


俺は期待した眼差しで、青を見つめる。
それを見た青が顔を嫌そうにしかめたのは大目に見てやろう。辛い



「‥なら、体液の交換。手っ取り早いのは、体を重ねる事だけど‥まあ、他には口からとか色々‥でも‥それは今はおすすめしたくない‥。」


そう言う青の言葉に固まる俺っち。



「っ、まって、ちょ、たんま。頭の整理をさせて」



ナニイッテンダコイツ


ふざけてるの。そうでしょ。
か、体を重ねるってどう言う意味。
口から何を何するんだよッ

まって、ほんとまって

それって俺と、き、喜一がって事、だよな‥


途端、真っ赤になる顔。
また顔をしかめる青に俺は居たたまれなくなる。


こういうの、ほんと‥ッ

色々急すぎて
自分の気持ちが追いつかないんだってばっ



さっきだってそうだっ、

青が止めに入らなければ俺はーー





「今の貴方達が、その行為を行うと‥いろんな過ちを犯しそうだからね‥。主人はともかく貴方の心は信じられない」


「ッ、」



こいつが止めに入らなければ


俺は喜一と‥あのまま口づけを交わしていただろう



ラシルを好きなんて言っておきながら‥



無責任だ。
いや、責任なんてとれるような人間じゃ無いし、求められてもいないだろう


何も持っていない。
何も掴めない。
運も悪いし、出来損ないだ
人から愛されるような人間じゃないんだって、俺は


それなのに‥ここの主人とやらは頭の線が1、2本やられてんじゃねえの‥


希望を抱きすぎるなよ‥
ドキドキと鳴る胸が煩くて頭が痛い。



「‥まあ、ゾンビになりたくなければ、頑張って1日1食口にしてください。次、行きますよ」


「‥まだあるのかよッ」


部屋から出ようとする青の背中にツッコむ。
今はただ目の前のことに集中しよう。


気をそらしたい


胸に渦巻く感情を
忘れたいんだ



自分で、忘れるなと望んでおきながら
卑怯だよ、ほんと


ああ、やだやだ
モヤモヤと霧が曇る。きな臭いぜ



「沢山、って言ったでしょ?ほら、ボサッとしないでください。離れればそこの皿の上の魔物に食われちゃいますよ。」



また嫌そうな顔をする青がそう告げる。
酷い。酷いよこの男ッ冷血人間だ!!

バーカバーカ!!


つか、魔物ってッまだこいつら生きてんのかよおおおおお

ふと、
大きなお目目のお魚さんがぎょろりと俺を捉える。
いやあああああ


「ひいいい、まってええアオさん置いてかないでくれええええ」



波乱の幕開け。
まさに今この時っす。

明日まで生き残れるだろうか‥ぐすん
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