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第4章 魔王城編
消された記憶
しおりを挟むアサヒsideーー
不安げな瞳。
右も左もわからない闇の中で
目の前にいる俺に、縋り付くしかないような
「ら、しる、さん‥?」
「無駄だよ。」
急に現れた背後の気配に警戒する
クロス‥
「ラシルさんに、何をしたんですかッ!?」
この男しかいない。
彼を治療し助けるのを条件に、ラシルさんの敵であるコイツについて行った俺が馬鹿だった。
「記憶を消した。」
「ッ‥」
耳元で告げられた言葉に困惑する。
記憶をッ‥
「あれには、魔族の血が流れている。あのままでは、何をしでかすか分からないからね。」
「そんなッ‥」
俺をラシルさんから離して、部屋の外へとゆっくりと誘導される。
ヒソヒソと耳元で囁かれる言葉は、きっとラシルさんに聞かれてはいけない事なのだろう。
「だが、君には好都合じゃないか。」
「え‥」
「何も分からぬ雛鳥を、好きなように育てられる。好いているのだろう?あれを」
「それ、は」
好きだ、ラシルさんの事が、
はじめて出会った時から、俺は貴方に惹かれてる
「なら、欲に従うまでだ。簡単な事だよ。自分を愛せと、そう教えこめばいい。そうすればアレは従順な君だけの人形になる」
「っ、俺は、貴方とは違うッ!ラシルさんを人形だなんて思わない!!」
「そう‥まあ、好きにすればいいよ。ただ、君達を助けた恩は返してもらうよ。約束、したよね?ーー」
そう、あの時‥
ーーラシルさんを‥助けてくださいっ
ーー‥いいよ。その代わり、
君を頂戴ーーー
必死だった。
消えた2人と、
動かないラシルさん。
脈がどんどん弱まっていって、
助けを求めても、誰もいなくて
だから、俺は
この人のものになったんだーー
「‥、なにをすれば、いいんですか」
「そうだな‥まず、君には王家に強力してもらう。魔王退治という責務をーー勇者と共に、果たしてもらうよーー」
‥‥
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