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第4章 魔王城編
後悔
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‥
何度も何度も見てきた夢だが、
ついに、自由に動けるようになったらしい
ベッドから起き上がり、
スッと立ち上がる。
ふと、窓際にとまる青い鳥の姿を見て、
俺は呆れた溜息をついた。
「この夢を見せているのはお前か」
鳥は何も答えない。
俺は再度溜息をついて、
病室の扉へと向かう。
ふと、扉の前まで来たところで、向こうから複数の声がして、
開けようとしていた手を止めた。
「ほんとうに、残念です。」
「っ、」
これは‥
監督と、そしてもう1つは、
女手一つで俺を育ててくれた母さんの声
冷や汗が流れて、心臓がばくばくと変な音を立てる。
この話を聞くなと、脳が俺に危険信号を出している
だけど、震える手は動かなくて
「素晴らしい才能故に、周りからの期待も大きかったでしょう‥。これから彼は、積み重ねてきたものを全て失い、今まで同じ土俵にいた者は、彼を置いてどんどん先へと進んでいく。もし回復できたとしても、今後、彼がそれに耐えられるかどうか‥。
っ、後‥こんな話、言いたくはないのですが‥彼のために多額の借金をしていたとか‥」
「っ、いいんです‥あの子の‥そして、あの子の父親の願いでしたから‥。だけどもう‥」
「っ、お母様‥気をしっかり!おい!誰か!!」
母さんッ
あの日と同じで
飛び出しそうになった身体を、別の声が引き止める
「‥うっそ、今の聞いた‥?」
「光先輩ん家、そんな貧乏だって知らなかった‥やっべ、俺グローブとか強請っちゃったよ。安もんのグローブですらくれねえからケチな先輩だと思ってたけど、ガチな方のやつじゃん。」
「光先輩、借金して親に負担かけてまで、
喜一さんの隣、僕に譲りたくなかったって事でしょ。笑える。
喜一さんに支えてもらってなんとかレギュラー取ってたけど、これでやっと解放されるね。喜一さんも僕も
役立たずの貧乏人から」
っ、
「おま、それちょっと言い過ぎじゃ‥」
「お前だって言ってたじゃん。付き合い悪いし、話しかけても冷たいし。喜一さんにしか興味のないホモ野郎だって」
「いや、それはっ、」
ただの後輩の悪口だった。こんな事よくあるはずなのに。
だけど、あの時の俺は追い詰められていて
どうしようもなく苦しくて叫びたくて
「お前ら、何してる‥?」
「き、喜一さん!?いや、何も!?今光先輩のお見舞いに来ててッ、僕達もう帰りますね!!それじゃあ!ほら、お前も行くぞ!!」
「へ?ちょ!まだ僕喜一さんとッ!おい!!」
「‥?なんだあいつら‥。
ま、いいか。おい、光~、喜べ!俺様が見舞いに来てやったぞ~」
「きい、ち‥」
開いた扉の先いたこいつに
このどうしようもない感情を
ぶつけてしまったんだ
これが喜一と話した最後の記憶で、
最後の後悔だった。
何度も何度も見てきた夢だが、
ついに、自由に動けるようになったらしい
ベッドから起き上がり、
スッと立ち上がる。
ふと、窓際にとまる青い鳥の姿を見て、
俺は呆れた溜息をついた。
「この夢を見せているのはお前か」
鳥は何も答えない。
俺は再度溜息をついて、
病室の扉へと向かう。
ふと、扉の前まで来たところで、向こうから複数の声がして、
開けようとしていた手を止めた。
「ほんとうに、残念です。」
「っ、」
これは‥
監督と、そしてもう1つは、
女手一つで俺を育ててくれた母さんの声
冷や汗が流れて、心臓がばくばくと変な音を立てる。
この話を聞くなと、脳が俺に危険信号を出している
だけど、震える手は動かなくて
「素晴らしい才能故に、周りからの期待も大きかったでしょう‥。これから彼は、積み重ねてきたものを全て失い、今まで同じ土俵にいた者は、彼を置いてどんどん先へと進んでいく。もし回復できたとしても、今後、彼がそれに耐えられるかどうか‥。
っ、後‥こんな話、言いたくはないのですが‥彼のために多額の借金をしていたとか‥」
「っ、いいんです‥あの子の‥そして、あの子の父親の願いでしたから‥。だけどもう‥」
「っ、お母様‥気をしっかり!おい!誰か!!」
母さんッ
あの日と同じで
飛び出しそうになった身体を、別の声が引き止める
「‥うっそ、今の聞いた‥?」
「光先輩ん家、そんな貧乏だって知らなかった‥やっべ、俺グローブとか強請っちゃったよ。安もんのグローブですらくれねえからケチな先輩だと思ってたけど、ガチな方のやつじゃん。」
「光先輩、借金して親に負担かけてまで、
喜一さんの隣、僕に譲りたくなかったって事でしょ。笑える。
喜一さんに支えてもらってなんとかレギュラー取ってたけど、これでやっと解放されるね。喜一さんも僕も
役立たずの貧乏人から」
っ、
「おま、それちょっと言い過ぎじゃ‥」
「お前だって言ってたじゃん。付き合い悪いし、話しかけても冷たいし。喜一さんにしか興味のないホモ野郎だって」
「いや、それはっ、」
ただの後輩の悪口だった。こんな事よくあるはずなのに。
だけど、あの時の俺は追い詰められていて
どうしようもなく苦しくて叫びたくて
「お前ら、何してる‥?」
「き、喜一さん!?いや、何も!?今光先輩のお見舞いに来ててッ、僕達もう帰りますね!!それじゃあ!ほら、お前も行くぞ!!」
「へ?ちょ!まだ僕喜一さんとッ!おい!!」
「‥?なんだあいつら‥。
ま、いいか。おい、光~、喜べ!俺様が見舞いに来てやったぞ~」
「きい、ち‥」
開いた扉の先いたこいつに
このどうしようもない感情を
ぶつけてしまったんだ
これが喜一と話した最後の記憶で、
最後の後悔だった。
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