鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

花村 ネズリ

文字の大きさ
上 下
77 / 134
第4章 魔王城編

触れた首筋

しおりを挟む

K sideーーー




誰かの名を何度も重ねるこのアホ。



ラシル‥ラシル‥




ラシルーーー



耳障りーー

首筋に刻んだ契約痕。
触れれば、大抵の感情や思いは把握できる。


だけどなあ、こんなクソおもんねえ言葉
反省文100枚でも足りないんだけど。
どうしてくれようかこの男。
最上階から逆さ吊りの刑?
それとも、鼻にバラの花でもブッ刺すか?






ラシルーーー





「っ‥」


やいやいうるせえ。
つまんねえんだよクソチビ
この前まで野球やらキャッチボールやらそんな言葉しか吐かなかった癖に
色気付きやがってばっかじゃねえの童貞野郎


「??お、おい‥?」



このクソチビを捉えて離すまいと、両腕に力が入る。
眠りが‥長すぎたか

しかたねえ、回復には時間がかかるんだ

俺は悪くねえ

この俺様を粗末にする全部こいつが悪い



「‥」



また、




「‥喜一‥?」





どこかに行くのか?





「‥、」




俺を置いてーー








「‥??どうしたんだよ‥どこか具合でも悪いのか‥?」



ふいに、俺の頬に奴の手が触れてその部分だけがやけに熱くなる。
心配性。お節介野郎。
それを知ってるからこそコクリと頷く。




「っ、どこか痛む?それとも気分が悪いのか?」



「このままでいろ‥もう少しこのままで‥」


心配そうな声色に
にやけそうになる口元をコウの肩に埋めて、さらに力を入れた。

壊れないように

逃さないように

こいつは甘い。こんな嘘、すぐ見抜ける。
意地っ張りだが、懐いたらどこまでも甘くてーー






「駄目に決まってんだろ」



ズキリと痛む心臓と、
溢れ出しそうになるドス黒い感情






、なんで、拒んで




お前は




お前は、



「ッ、ーーおま、えっ、‥うおッーー」







予想外ーー






反転した世界に、
あいつの瞳が真剣に俺を見つめていて
俺は大きく目を見開いた。






「ほら、横になって顔見せてみろ。つーか、なぜに枕ない訳?お前枕いらない派なの?なにそれ首痛そう。、‥あーあー、うん。顔色悪いな。熱は無いみたいだけど、大丈夫か?」


ひざ、まくらってやつ‥だよな、これ
ペタペタと頬や額に触れられてむず痒くて顔を逸らす。

‥お前から‥触れてくるなんて珍しいじゃねえか
こいつ、熱でもあんのか


「は?‥あ、ああ。平気だ‥ちょいと、貧血っぽい‥?‥え、えっと‥あっ!お、お前の足硬いんだけど」


「な!う、うるせえやい!我慢しろ馬鹿‥色々、聞きてえ事があるんだ‥お前がそんな調子じゃ聞けねえだろうが」

「、ああ、そうだな‥、‥硬い」



「次言ったら殴るぞ」


「‥キャー、コウくんこわ~い」


「しばく」


「はは‥、」




そっと伸ばした腕。
触れた先は奴の首筋



どうせ、また









喜一‥会いたかったーーー







っ、



「‥?なんだよ」



お前こそ、なんなんだよ




「ふはっ、いや、なんでもない」



ああ、くそ



気分が良い
しおりを挟む
感想 183

あなたにおすすめの小説

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。

薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。 アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。 そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!! え? 僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!? ※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。  色んな国の言葉をMIXさせています。

処理中です...