鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

花村 ネズリ

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第3章 復讐編

現実と血の匂い

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「ッ、カハッーーー」




鳩尾を何かが圧迫して、
息ができない


なに、が、


起こった




記憶が飛んでるしッくそ、



っ、なんで‥





「すみません‥サルさん‥これで終わりです。」



「アサヒッ!?!!」


「ハッ‥っやめ、ろ‥‥‥」



なんで俺は



犬くんに刃物を向けられているのだろう







「ッ‥犬、く、ん‥?」



手足が動かない。

動かせるのは首だけで、
俺の上に跨る犬くんにどうしていいのか分からない。

それに‥犬くんの殺気のこもった冷酷な瞳が、俺を突き刺す。



「おや‥?いいところなのに‥どうして術が‥。まあ、でも、


彼なら大丈夫だね。クス、これはこれで面白い遊びだったよ人形くん‥。そして、気に入ったよ‥彼、ほしいな‥」




遠くの方で、あの金髪王子の笑い声が聞こえた。


首を必死で動かして、
周りの状況を確認する。

どうにかしなければ



どうにか、




何かで拘束されているラシルと勇者くん
ボロボロでそこら中に這い蹲る帝や騎士達






そして、手足を切り落とされた俺ーー






わからない。
状況が分からないんだ。




今まで、俺は一体何を‥






ぶつぶつと何かを詠唱している犬くんを見つめる。



俺と目があって、一瞬びくりと嫌そうな顔をした後、安心させるように微笑む犬くんに違和感を覚えた。







「ラシルさんは‥俺に任せてください‥。だから、









さようならーー」




振り落とされる巨大な氷の刀


ブツリーーと何かが切れる音と同時に
視界が暗くなっていく。






「やめろおおおおおおお!?ーーー」



最後に、ラシルの聞いたことがないほどの大きな悲鳴が聞こえて、







俺は大丈夫だって‥





言わないといけないのに‥



身体が宙に浮いたような不思議な‥



ああ、この感覚
二度目、だ‥

俺‥また‥




勇者くん、また俺のエグいとこ見せちゃったな‥トラウマにならなければいいけど‥




ゼノくんのライトって叫ぶ声、
聴こえたよ‥その名前、つけてくれてありがとな





そして



ラシル‥ごめん


俺先にいくよ




幸せに‥なるまで‥見届けたかったな‥



いや、犬くんがいるんだ‥きっと幸せに‥っ、






幸せになるんだぞーーー















そう、俺が二度目の死を覚悟して、
悲しみとやり残した事とか、
みんなへの言葉とか色々考えて‥





そう‥考えて‥








あれ‥なんで考えられるんだ‥?


おかしくね
今完全に死んだよな。
犬くんに首はねられて死んだよな俺っち。




いや、なんでだよ
逆に思考できてんのが怖えよ。
俺ゾンビかよ
首切られて死なねえとかもう人間じゃねえよ




‥つか、真っ暗なんだけど‥何処ここ、なにこれ


身体も動いてんのか動いてねえのか分からねえし‥


何これほんと



誰か、、、説明を‥ヘルプぇ‥






『おいおい。主役志望多すぎてわろた。
この厨二野郎達の中で1番目指すのかよ。羞恥の極み。』




急に耳に入ってきた声に、俺はびびって跳びあがった
‥と思う。だって感覚ないから分からん。
てか‥びっくりしたー‥

なに、誰




『ーー!』



またもう一人声がする‥でも小さくてもう一人の声は聞こえない。
視界は変わらず真っ暗で、よく分からんが、人がいるって事は大丈夫だよな俺‥
うん、きっと天国にいけると信じてるよ‥きっと‥



神さまあああああああ
説明してええええええ

俺どうなっちゃったのおおおお
こんな真っ暗なとこもうやだよおおおおお


誰かあああああ


俺は声が聴こえた方へとヨタヨタと歩いている‥と思う‥でもたどり着かないし、孤独だけが俺を襲う。なんだよイジメかよ。
悲しみの雨降らすぞ俺っち。



『ー‥ーー!』


さっきからお二人で楽しくお話ししてますけど~‥俺の声聞こえないのかよ~!鬼畜かよおおお!!‥はあ、やめよ。虚しくなってきたわ。


俺は認識してもらうのを諦め、声の方へと耳を傾ける。



『そんな怒んなよ。顔がブスになってんぞ。』



‥ん?

いや、待て‥このイラってくる煽り方‥
そして、やけに通る声‥




『ー、ーー!ーーっ、』


聞いたことがある


いや、知っているーー








『うるせえーー
‥お前の戯れ言なんざ聞き飽きたわ。
それより、早くしろよ‥






コウの首をはねたあのオタク野郎ーー







俺が魔王らしくーー








食い殺してやるからさーーー』




っ、お、おい



まさか
















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