鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

第3章 復讐編

あの日の感触

‥


歓声が聞こえる。



大きな、大きな



誰かが俺の名を呼んで


そしてまた誰かが、違う人の名を叫ぶ。




リズムの良い応援歌と


照りつける太陽



額の汗が頬を流れ落ちた。







「ふぅ‥」


「クソマヌケ。場の空気に飲み込まれてんじゃねえよ。あとカッコつけてんなうぜえ」


「いてッ、てめ、何すんだ！！っーー」



そいつの真剣な黒の瞳は
いつも俺を黙らせやがる

だから苦手だったけど、

それ以上に



「ーー弱さも恐怖も、最強気取りの打者だってな、
俺が全部食い殺してやる




だから





俺から目を離すんじゃねえよ馬鹿コウーー」








、


「っ‥お、お前の、‥その八重歯が肉食系すぎてこえぇっての‥。前世はトラか何かだったんじゃねえの‥。」

「はっ、じゃあ、お前は子ウサギかにゃー？ぷはっ、ぴったりすぎてわろた！！」


「てめえな‥少しはっ、はぁ‥わかってる。お前から目を離さないさ。今のは





余裕すぎて気が抜けてただけだよ相棒ーー」




ああ、


あの時のボールは

汗で湿ってて‥







どんな感触だったっけ




もう




忘れてしまった







「飲み込まれてんじゃねえよーーー」