鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

第3章 復讐編

幻術

「きゃー！！？何ですの？！」


人々の驚く声と


「‥ッあ〝？」


「え！？ゆ、ユウ？どうしてここに？」


綺麗に地面に着地したのは、
ラシルと犬くんと組織のメンバー数人で


‥？





あれ‥ラシルって‥誰、だっけ‥



そんなこと、
どうでもいいや‥



それよりも‥


「クロス様‥」


「ああ‥ちょうどいい‥。喜べお前の使い道が決まったよ‥」




「‥？」



頬を撫でる腕が心地よい。
もっと、


もっとこの人の為にーーー







「それはこっちの台詞だよッ！それより、大変なんだッサルくんがおかしくて！！ーー」



「ッ、サルファー‥」





何故かその声に、心臓の奥の方が反応して
彼から目を離すなと囁く頭に逆らって
振り返る。




戸惑ったような赤い目




バツが悪そうに、顔を歪めるその人に、ズキリと胸の奥が痛んだ。



いやだ。見たくない。



俺がいらないみたいに‥



そんな顔


見たくない‥ーーー






痛みから目を背けて、
また彼を見つめる。


何か良い事でも思いついたのだろうか？
ニヤリと口角が上がり、とても楽しそうだ。



ふいに顔が近づいて、


俺の視界は赤で染まる。






「あの忌まわしき捨て子を‥









殺せーーー」




「ッ、おいッサルファー！！！！そのクソと目を合わせるなぁッ！！！」




あいつが呼んでる


あいつ


あいつって誰


頭がごちゃごちゃする。
いろんな感情と記憶が俺の脳内で再生されて吐き気がした


きらいだ


ーーを続けたかった


ひとりにしないで


嫉妬してるだけ


必要ない


まだ死にたくない


いらない


惨めだ




こんな感情なんて



消えろーー












「クロス様の仰せのままにーー」