61 / 134
第3章 復讐編
拒否権皆無
しおりを挟む『え、やだよ』
そんな事を言った時代も俺にはありましたとさ。
なにこの強制的な流れ。
俺に有無を言わせない完璧なエスコート
俺はしぶしぶ勇者くんに連れられ、何故か一緒についてきたゼノくんと共に
会場の中にいるのだが
人、人、人‥
皆んな俺の両隣を見て、顔を赤らめたりヒソヒソと話していたり‥
ヒールってやつで足が痛えし、
腹はコルセットで縛られて苦しいし
ドレス歩きづれえし‥帰りたい
「‥歩きにくいなら‥俺の腕を持ってろ」
イケメンがイケメンな発言をしてる。
そんな言葉俺っちも似合うようになりたいですまる
「え、いいの?」
「‥ほら、」
「あ、りがと‥ゼノくん」
うわ、ゼノくんの腕ムキムキすぎて惚れるわ細マッチョ万歳。
だけどなんだか気まずいっす‥
いつも通り優しいけど、その憂いを込めた表情やめてくれ
「‥く、やっぱり‥大人な人の方がいいのか‥」
「ほ?なんか言ったか?」
勇者くんがボソリと何か言った気がする。
なんだ?さっきからずっとムスッとしてるし
俺の方がムスッとしたい。そしてお家にいますぐ帰りた‥いや、今は帰っても‥はあ‥
俺はチラリと勇者くんを盗み見る。
‥それにしても、こっちはこっちでイケメンだよな‥
触り心地が良さそうなクセのある茶髪に、
絶対ハーフかクォーターな瞳の色。
顔立ちもハッキリしてて、どこからどう見ても男前だ。羨ましいぜ‥日本でアイドルとかしてたんじゃねえの?
犬くんだって、一見平凡そうに見えるけど、
サラサラの黒髪とか笑った顔とか、仕草とか可愛い系のイケメンってやつ?だし
それに比べて俺は‥
脳内にチラつく2人の姿に、頭をふって振り払う。
「‥ほら、行こうサルく、‥いや、本名は避けたほうがいいよね?‥うーん、さっきその人がサルくんのこと、ライトって呼んでたよね?そうだな‥僕の国の言葉で、ライトは光なんだ。だから
〝コウって名前、どうかな?」
「ッ、」
急に、呼ばれたその名に、
体が異常なくらい反応した。
『この天才キャッチャーのーーー様が、お前を甲子園に連れて行ってやるッ!だから、お前は俺を信じて思う存分投げろッーーコウッーーー』
薄れいく記憶の中で
まだ、身体が思い通りに動いていたそんな日常で
グローブを構えて俺をーーー
ああ
ダメだ
思い出せないーー
「、それは、この国では珍しいから‥ライトでいい‥。」
ふいに胸が熱くなって
ぎゅっと押さえつける。
アイツは‥誓ってくれたのに‥
俺はそれに応えることができなかった。
いや、応えられなかったんだ。
ごめんなーーー
「そ、そう‥?ぴったりだと思ったんだけどなー‥。」
「うん。ごめん」
「‥?」
俺って、
何してんだろう
「ふ‥ライトでいい、か。」
「ッ!?うわっゼノくんッ、なに?」
ギュッと引っ張られる腕。
気づけば、手を優しく握られていて
俺は絡んでくるゼノくんの指に固まる。
「別に‥こうしたかったから‥気にするな」
おっふ‥い、イケメン‥惚れちまいそうだぜ旦那っ
だけど、手をつなぐ意味がわかりまてん
「ちょっ!?どうして手を繋いでるの!?」
同意。そんなに俺っちを弄んで楽しいのっ!?酷いわっ!?
‥やめよ。この格好でこの口調はダメージエグいぜ。
「気にするな‥」
「気にするよッ!?お、俺も繋ぐ!!」
グイッと反対も引っ張られ、あらやだ綱引き状態。
両手に花‥いや、イケメンはこういう時なんて言うんだろうか。なんて
どこか客観的にこの状況を見ている俺がいて苦笑いしてしまう。
でもまあ‥今は
2人の体温が心地いい、かな‥
‥なんかこの発言変態みたいだな‥俺きも
5
お気に入りに追加
1,847
あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

その捕虜は牢屋から離れたくない
さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。
というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。


例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる