鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

第2章 勇者降臨編

痛い

噛み付かれた腕を摩る。
血が滲んできたそれを、少し拭き取ると、
徐々に塞がっていく噛み跡。

それを見てか、
チッ、と舌打ちをするラシルを睨む。


ラシルの奴め‥狂犬だ。いや、狼だ‥。

俺っちのか細い腕に噛みつきやがって‥
グスン‥痛かった‥噛みつき、ダメ、絶対




「サルさん‥？大丈夫ですか？」


コテンと首を傾げて、俺を心配する天使。
もう、後輩君にメロメロです。


「はは‥いつもの事だから‥もう慣れたよ‥。」

「‥いつも‥」


ああ‥殴られ、蹴られ、時には火の海に飛び込まされ、そして噛まれて‥
うん、
生きているのは、この能力のおかげだ‥
神様あざます‥


君も気をつけなよ後輩くん‥


「お、お二人はその‥そういう‥関係なんですkーー」

「おーい、そろそろ行くぞー！追っ手が動き出す前に急ぎましょう！！」


「了解っす！ん？犬くんごめん、なんか言ったか？」


ハゲさんの大きな声で、犬くんが何かを言っていたような気がするが、全く聞こえない。気のせいか？

てか、ハゲさん声でけえよ！敵に見つかったらどうすんの！？馬鹿！



「‥いえ、大丈夫です。」

少し暗い顔なのが気になるが、
そろそろ本当に時間が時間だ。

森が形を変える。

早く出ないと‥



「‥？そう？ならいいけど‥ってほらボス！いつまで寝てんすか！いい加減膝が痺れて死にそうなんで、早く起きてください！」

「‥だりぃ‥」



ほんっとにっ、もおおおおお！！


俺はラシルを膝からゴロリと落として、
身支度を始める。
もう知らね。すっごい血相して睨まれてるけど無視だ無視。



「サーールーーッ」

‥。

ほんとすいませんでしたごめんなさい土下座