鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

第2章 勇者降臨編

鬼は夢の中

睨んでくるボスをそっと見つめると、
とろんと細くなってる目。
嘘だろおい。




「‥ねみぃ‥」


トスンと俺の肩に頭を乗せるボス。
このタイミングで‥話聞いてなかったなこの人‥その割には地獄耳


ふう、仕方ねえな‥


「うっす。俺、見張りしときますんで、ゆっくり休んでください。って、ああ、もう！まだ寝るなってば‥ほら、横になれよ。俺の膝使っていいから」

「‥ん」


俺の膝を枕にして寝息をたてる金髪を撫でる。

んとに‥いつまで経っても世話のやける‥子どもかっての‥。


「ッ！」

「あ、犬くんも、今日は色々あって疲れたでしょ？ここは俺が見てるし、安心して寝ていいからな？」


俺は爽やかにニッコリ100点満点の笑顔を犬くんに送る。
どうだ。これで安心度マックス&信頼度ダダ上がりだろ！！




「っ、あ、はい！あ、ありがとう、ございます‥！」


ん？なんだか歯切れが悪いな


もしかして、
体調が、悪いのか‥？




「‥俺の膝、使う？」


「ッ！？だ、大丈夫です！俺、そこの木の下で寝ます！！」


めっちゃ即否定されたお
おふ、俺の膝たん、そんなに嫌だったのかな‥ちょっとショック


「え、お、おう。そうか。うん、おやすみ」


「‥おやすみなさい」


慌てたと思ったら次は
トボトボと落ち込んだり忙しい子だ

でも、後輩ができたみたいで嬉しいな‥
へへ‥明日からサルファー先輩って呼んでもらおうかな～





「ん‥さ、る‥ふぁ‥」


ボスが寝言を言う。珍しー
ん？寝言、うん、寝言‥



っ！？！？


「っ！？ぼ、ボスッ、今俺の事！名前でッてイッテエエエエ！？！？」


ふ、太ももは‥つねっちゃいかんぜよッ‥



「うる‥せ‥スゥ」


くっ、幼い顔しやがってッ
頬っぺたプニプニしてやろうか！？
それとも、髪の毛を三つ編みにして園児も喜ぶ可愛い系男子にしてやろうかあああ！？



「‥。」


‥はあ、馬鹿らしい。やめよ


「おやすみラシル‥いい夢を」



俺がそう言うと、安心したように力を抜くラシル。
昔からの合言葉みたいなものだな。



〝俺が見張っててやるから安心しろ


なかなか眠ることのできなかった幼いラシルを、寝かしつけた俺っちの子守唄的な言葉


子どもの成長に睡眠は欠かせないからのう。
でもまあ、俺よりも立派に成長しちゃってさ‥



たまに‥とても心配になるのだよ。




「‥頼むから‥あまり危ない事はしないでくれよ‥」




俺の様に、次のチャンスがあるとは限らない
俺の様に、早くに命を落として欲しくない。
お前の人生を、強く幸せに生きて欲しい



俺の勝手なわがままだーーー