上 下
4 / 134
第1章 日常編

呼び名は猿。名前はまだ無い

しおりを挟む
燃える炎の中。
豪華客船の見るも無惨な姿に、俺は溜息をついた。

「暑い‥くそ、‥なんで俺が‥」

焼きただれては、回復し、
焼きただれては、回復しのリピート状態。


俺が何故、
火の中でも無事なのか。それは、
俺が〝完全回復という特殊な能力を持っているかららしい。

いや、俺もよく分からないんだけど、
怪しげな占い師にそう告げられたんだよ。

この能力は、たぶん死ぬ前の願いのせい。
健康で丈夫な身体。確かに願ったし、
この能力は最高だと思う。

この身体に転生してから、
病気にはかかったことがないし。
心臓を刺されたって数分で回復するのだから。



だけど、


使い方が最悪すぎる‥
主に、ラシルの使い方がなッ



アイツ、俺が不死身かなんかと思ってんじゃねえだろうな?!
俺だって痛みを感じるんだからなッ
この鬼畜ッ


くっそ‥組織やめたい‥
平凡に畑とかして暮らしたい‥
だけど、


『おいサルー。裏切ったら‥分かってんだろうなぁ?』



あの赤い目‥
なんだろう、王の風格というか‥威厳というか‥
逆らえない。


いや、決してヘタレとかではないんだからね!

っ‥馬鹿らし


俺は諦めて、貴族達の荷物があるであろう
部屋へと進む。




「でっかい宝石‥。ああ、高そうなドレスが丸焼け‥勿体ねえ‥。」


金になりそうなものを、片っ端から火竜の皮で作られたバックへと入れていく。



ああ、服が燃えるし‥
俺の服も火竜装備に変えてくれよ‥


そしたら火傷しなくてもすむってのに‥はあ



なんて溜息をつきながら、
気を抜いていた俺は馬鹿だった。



チャキーーー


「ッ」


首元にヒヤリとしたものがあたる。




「お前は‥何者だ」


体が動かせないため、近くの鏡で、
相手の様子を伺う。
青い片翼のマーク‥


強者が集まる
王国最強ギルド 〝ブルーバード

ギルドブルーバードにはランクがあり、下からDCBA。
そして、各魔法属性の最強を極めた1名しかなれないSランクがあると本で見た。

彼らは、〝帝と呼ばれ、
戦争や大きな事件に派遣される。


俺に剣先を向ける人間。
真っ白なマントと仮面‥
各魔法属性の、Sランクに任命された者のみが身につけることができる、
特殊な魔法装備‥



だから忠告したのに
目立ちすぎる作戦はダメだって‥



白は、光属性の使い手。
光の帝の証ーーー

ああ、ついに滅っされるぞ俺





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

奴の執着から逃れられない件について

B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。 しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。 なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され..., 途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。

【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

白い結婚をしたら相手が毎晩愛を囁いてくるけど、魔法契約の破棄は御遠慮いたします。

たまとら
BL
魔道具のせいでイケメンハイスペックなのにチェリー道をいくヴォルフと、ちょっとズレてるレイトの汗と涙とこんちくしょうな白い結婚の物語

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処理中です...