鬼畜な悪党の下っ端に転生したのだが、頑張って生き抜きたい

花村 ネズリ

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第1章 日常編

気づけば牢屋

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‥‥
全ての始まりは、
6年前に遡る。



その日、何故か俺は、汚い牢屋で目が覚めた。

困惑と疑問。前後の記憶があいまいで、
辺りを見回すと、目に入ったのは
赤い瞳の少年。

虚ろな目をしたその少年は、たぶん12才前後で、
所々破けた服を着ており、金色の髪は、
血や泥で汚れていた。


どうして‥こんなところに‥


「えっと、君‥誰?」

俺は少年に話しかけてみる。
少年は、虚ろな目で此方を一目見て、また、地面をボーッと眺め始めた。

「‥。」

無視ですか‥。
そ、そりゃあ、いきなり見知らぬ青年に話しかけられたら怪しむよな!

それにしても‥傷だらけじゃないか‥早く病院に、行ったほうが‥あれ?‥そうだ俺。確か
‥病院にいたはずじゃ‥?

‥思い出してきた‥高校の健康診断に引っかかって、検査したら重病で‥

余命半年って言われて

好きだった野球もやめて、学校も休学して


最後は動けなくなって
泣いてる親の顔見て思った。


なんか、俺の人生、
悲しませるだけで
何も返せなかったなって


意識が遠くなる寸前、俺

願ったんだ
次生まれてくるときは、健康で丈夫な身体になって、
誰か1人でも幸せにできる
そんな人間になりたいって


そしたら声がして



『仕方ないから一つ目の願いは叶えてあげるけどさ。二つ目は、自分でなんとかしてくれる?僕も忙しいんだよねー。それじゃあ、でも
まあ、頑張って。』


あれって‥いったい‥何者だったんだ?
俺の夢‥とか‥
神様‥だったりして‥まさかな‥、


てか俺、死んだはず‥これはあの世、なのか?







「王子様~、みーつけた!」


突然、気色の悪いおっさんが、鉄格子の間から顔を出してきて、びびる。


なに、こいつ。コエェ‥
ってか、デカくね?
そう思ったものの、牢屋に入ってきたおっさんと少年の身長の差は普通で‥

そういや‥少年と目線‥おんなじだったな‥。
目の錯覚か‥?



「‥。」

「なんだ?恐ろしすぎて声も出ないのかな?ッ、ああ?!なんだその目は?!ほら、命乞い、しろよ!!」

「ッ‥」

自分の状態を確認する為、立ち上がろうとした時だった。
急に叫び出して、少年の頭を踏みつけるおっさん。
はっ!?子どもになにやってんだ!?馬鹿じゃねえの!?
虐待はいけませんって習わなかったのかっ!?

俺は急いで少年の元へ駆け寄り、おっさんの足を退かそうと、しがみついて力を込める。

く、ビクともしねえ!?
てか、俺の手、ちっさくね?


「なにやってんだアンタ!こんな幼気な少年に!?犯罪だぞッ」

「威勢のいいガキだな!後でたっぷり遊んでやるから、少し黙ってろ」

「グフッーー!」

おっさんの言葉と同時に強烈な痛みが襲う。俺は目を白黒させてその場にしゃがみ込んだ。
イッテエエエ!?正気かよ!こ、このおっさん‥本気で蹴りやがったッ!?
なんなんだ、どうなってるんだよッ
警察は?誘拐事件とかか?
こんなの、映画の世界でだけしか知らねえよ。

おっさんが、俺を見てフンっと鼻で笑った後、また少年へと向き直る。


「さあ、お遊びの時間だ。さて、王子様の血の色は‥何色かな?」


痛みに咳き込む中、見えたのは

振り下ろされるナイフ。

気づけば俺は無我夢中で起き上がり、少年の目の前へ飛び出していた。

だめだ。
そんな若くで‥絶対だめだッ

「ッやめろぉおおおお!!」


グサっーーー

「ウグッ‥」

うそ‥だろ。
左の胸に刺さるナイフ。
心臓がドクリと波打つ。嫌な汗がこめかみに流れ落ちて、俺は思わず自分の不運に笑ってしまった。

病気の次は‥通り魔かよ‥。
はは、俺ってついてねえ‥。



「っ、この!クソガキがっ!!」

唾を飛ばし、俺を殴りつけるおっさん。

「グハッーー」


飛び散る自分の血は、どんどん視界を赤く染める。
まって、刺した後に殴り飛ばすとは‥
なんて野郎だ‥
い、痛みで‥意識、とびそ‥う‥




「、ッおま、え‥ど、して‥」

ふと、赤い目の少年が、何かを呟いたのが分かった。
俺はやっと終わった拳の嵐にぐったりしながらも、彼の方へと顔を向ける。
ぼやける視界の中、少年の虚ろな目に、小さく光が灯った気がして、

あぁ、綺麗な目だな‥なんて、ふとそう思った。



「‥はは、‥‥怪我は‥ない、か‥少年‥?ゔ‥ッーーー」


感覚が麻痺しはじめて、上手く話せない。
彼を安心させたいのに、情けなくてかっこ悪い。
少年にゆっくりと近づいていく、おっさんの姿が見えたが、俺の身体はピクリとも動かなくて

こんな‥幼い命ですら救えないのか。
本当に俺はだ。
そんな事をぼんやり考える。

ごめんな、少年‥。
重くなる瞼。
俺はそこで意識を失った。






気づけば、
何故か少年に背負われていて。

鉄の匂いが、鼻をかすめる。

慌てて降りようとしたら、
降りたら殺すととてつもなく恐ろしい声でそう言われて、俺は大人しく少年の背中で動きを止めた。


今時の子ども‥恐ろしい‥

なにがあったのか。あのクソおっさんはどうなったのか。此処はどこなのか。聞きたいことは山ほどあったが、身体がだるくて、口がろくに回らない。

というか‥俺‥確実に縮んでるよな‥。
手も足もちっせえし、それに、同じくちっせえ少年に軽々背負われてるし‥



ふと、割れたガラスに、
2人の少年の姿が映る。



俺と同じく、
金髪の少年に背負われた、
オレンジ色の髪をした、
子ども。



まさか、あれ、俺‥?


夢か‥?俺はまだ夢を見てんのか?

頭が混乱する中、強烈な眠気が襲ってきて、

そこでまた、俺は意識を失った。



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