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エレナとサディアナ-2
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「それにしても、静かなところですね」
足を踏み入れた離宮の中は、王城とは比べものにならないほど静まりかえっている。官吏や使用人たちがあちこち動き回っている城内と比べて、がらんとしていて人の気配がない。
「ま、ここにいるのは前王妃と、ほんの数人の使用人だけですからね」
離宮の奥にあるのが、サディアナの部屋だという。
そこまでやってくるとようやく使用人の姿も見え始めた。ようやくたどり着いたサディアナの私室の前でしばらく待つと、侍女が扉を開けてくれる。
「あなたが、エレナ王妃ね」
部屋の中は、ほのかな香りの香が焚きしめられていた。ローレンスはそれに眉根を寄せたが、エレナはその場でスカートをつまみ上げ、一礼する。
「ご挨拶もできず、申し訳ありませんでした。エレナと申します」
「あぁ、いいのよ。本来ならばわたくしが出向くべきだったのだもの……そこのあなた、エレナ様をこちらへお連れして」
優雅な所作で侍女に命じたサディアナは、うっすらとした笑みを浮かべていた。
レイゼット前王太子の母親ということは、年齢は四十を少し過ぎた頃のはずだ。だがその美貌は衰えているということはない。
(でも、この方……どこを見ているのか、わからないわ)
翳りない美貌ではあったが、こちらを見ているはずのサディアナの視線はふらふらと定まらず、時折少女のように壁掛けの時計を見たり、そうかと思えばエレナに視線を戻したり――夢と現実をさまよっているというカインの言葉は、間違ってはいないようだった。
「それと、あなた……カインの従者ね? あなたはお下がりなさい。女性同士のお茶会に、殿方がいるだなんて無粋よ」
「しかしながらサディアナ様、今回自分はエレナ様の護衛を仰せつかっております。こればっかりはカイン様直々のご指名なもので、俺も下がるわけにはいきませんね」
軽口を叩くローレンツに、サディアナの目が細められる。
わかりやすく不機嫌を露わにしたサディアナに対して、ローレンツは余裕綽々といった風にエレナのすぐ側までやってきた。
「ローレンツさん、わたしは大丈夫です……その、お下がりになられた方が」
「いいえ。これは陛下からのご命令ですから。俺が従ってるのはサディアナ様じゃなくてカイン様ですからね」
そう言って、ローレンツは引き下がる気配も見せない。
エレナは別に、彼がこの部屋にいても問題ではないのだが、どうやらサディアナは違うらしい。冷たい印象の深緑色の目を細め、それまで手に持っていた扇をパチンと閉じると、苛立たしげな表情を浮かべた。
「いいから下がりなさい! わたくしを――わたくしを誰だと思って……!」
「サディアナ様!」
ヒッ、とサディアナの喉が引きつったのはその時だった。
息苦しそうに何度も咳き込むサディアナにエレナは思わずその側に駆け寄った。無礼を承知で背中に手を当て、彼女の呼吸が落ち着くまで上下に擦ってやる。
「ローレンツ様、サディアナ様にご無理をさせるなというのも陛下のご判断ではございませんか!」
サディアナに仕えていた侍女の一人が、厳しい表情でローレンツに詰め寄った。
それに対してもローレンツは飄々とした態度で切り返しているが、さすがにこれ以上この部屋の中を引っかき回すわけにもいかない。
エレナは立ち上がって、ローレンツの服の裾を引っ張った。
「ローレンツさん」
「エレナ様?」
「一度、わたしたちは下がった方がいいかもしれません。サディアナ様の体調を悪化させてしまうくらいなら、今回の訪問は……」
さすがにこの状態で、茶会が続けられるとも思えない。
だが、ケホケホとむせていたサディアナはか細い声でエレナを呼び、どうか部屋にいてくれと懇願してきた。
「エレナ様……わたくしは大丈夫ですわ。久しぶりに声を張ってしまって、体が驚いただけ……驚かせてしまって、ごめんなさいね」
侍女の手を借りて起き上がったサディアナが、エレナに向かって手招きをする。
エレナは一度だけローレンツの方を振り返ったが、儚げな様子で自分を呼び寄せる前王妃の元へゆっくりと歩いていった。
「あの、ローレンツさん。あまり遅くはなりませんし、サディアナ様もこう仰っておいでです。少しだけ、外してはいただけないでしょうか」
「ですが――いえ、かしこまりました。外にいるので、何かあったらすぐに呼んでください」
短く一礼したローレンツは、そのまま部屋を出ていった。
彼はカインに命じられただけなのに、酷いことをしてしまった。後でローレンツとカインにもう一度謝ろうと決意したエレナは、ゆっくり呼吸を整えているサディアナのすぐ近くまで歩くと、目線を合わせるように膝を折った。
「お加減はいかがですか、サディアナ様……」
「あぁ、本当にごめんなさい。もう大丈夫よ――王妃様にそんなことをさせては、わたくしがカイン陛下に叱られてしまうわね」
背後では、既に侍女たちが茶会の準備を進めている。
先ほどまで顔色が悪かったサディアナも、ゆっくりと立ち上がるとエレナに向かって優雅な微笑みを向けた。
「カイン様もわかってくださるはずです。とてもお優しい方ですし……」
「そう? そうなの……カイン陛下が優しいと――あなたはそう思っていらっしゃるのね、エレナ様」
「え?」
エレナは、サディアナの言葉に目を丸くした。
カインはあの通り、温厚で穏やかな人となりだ。気性が激しく暴れ回るわけでもなければ、気分屋なわけでもない。
お茶の準備ができたという侍女たちの声を聞きながら、エレナはその言葉の真意を測りかねていた。
「サディアナ様は、カイン様の……義理のお母様という、お立場なのですよね?」
「えぇ。前国王妃として、国王の後見に就くのは当たり前のこと――でもわたくしは、レイゼットを忘れたわけではないわ。たった一人の、愛しい我が子ですもの」
丸いテーブルの上に載せられた茶器は、どれも美しい絵が描かれた最高級のものだ。そこへ薫り高い紅茶が注がれ、対面に座った二人の間にふわりと湯気が立ち上る。
「レイゼット王子……ですか。わたしも、お会いしたことはあります。その……」
エレナの素性は、きっとサディアナも知っているはずだ。だから今更隠すことではない。
だが、レイゼットのこととなると、彼女になんと声をかければいいのかがわからなかった。
「えぇ。わたくしの大切な息子……本当なら、わたくしは王となったあの子を支えるはずだったのに」
それは、大国に起きたあまりに悲惨すぎる出来事だった。レイゼット王太子は後継者争いの中で、非業の死を遂げてしまい――もっとも王位継承権が低かったカインが、今国王として玉座に座っている。
「あの子は、レイゼットはね。本当は最後まで――カイン陛下を除いた兄弟たちの中で、策謀にも負けず、最後まで生き残っていたのよ」
「そう、なのですか……? ですがレイゼット様は、お亡くなりになったのでは」
「そう。……全て前国王と、カイン陛下の策略なのよ。わたくしはそれをあなたに忠告したくて……でも、カイン陛下には優秀な臣下がいるわ。わたくしの力では、あなたをここまで呼ぶのに精一杯だったの」
ティーカップを持つサディアナの手が、小刻みに震えていた。
それは息子を喪った悲しみからか、理不尽な現実を認めたくないという怒りからなのか――伏せられた目には、エレナの背筋がぞくりとするほどの炎が灯っている。
「カイン陛下は恐ろしい方よ。先の国王陛下に、レイゼットを殺すようにと進言し……結果として、王になるはずだったレイゼットは……」
「カイン様がそんなことをするはずは――」
「あなたの前では、優しい夫を演じているのでしょう……? 可哀想なエレナ様。あなたが彼を信じたいという気持ちは、このわたくしもよく分かります……でも、事実わたくしの息子はあの男の目の前で殺されたの。レイゼットだって――」
目に涙を浮かべたサディアナが、弱々しくエレナの手を取った。
「レイゼットだって、カイン国王がいなければ死ななかったわ……!」
血を吐くような声でそう言って、サディアナはとうとう泣き崩れてしまった。
こんな時に、気の利いた言葉一つ出てこない。エレナは泣きじゃくるサディアナに寄り添って何度も背中をさすりながら、少しでも彼女が落ち着くようにと祈っていた。
だが、どれだけ時間が経ってもサディアナが回復する気配はない。見かねた侍女の一人が、側に寄り添っていたエレナに向かって頭を下げた。
「エレナ様。今日はもうお引き取りください……こちらからお呼び立てしたのに申し訳ございませんが、この様子ではもうお茶会は……」
「え、えぇ。そうね……残念だけれど、是非またお時間があるときにでも」
机に突っ伏して震えているサディアナの姿は、かつてエレナが見た絢爛豪華な城の女主人の姿ではない。ぬぐい去ることができない悲しみを背負った、ただの弱々しい女の姿だった。
(でも、カイン様がレイゼット様を殺した、なんて……)
いくらサディアナの言葉でも、カインがそんなことをする人間だとは思えないし、思いたくもない。
暗い表情で部屋を後にしたエレナは、そこで待っていたローレンツとも視線を合わせることができなかった。
足を踏み入れた離宮の中は、王城とは比べものにならないほど静まりかえっている。官吏や使用人たちがあちこち動き回っている城内と比べて、がらんとしていて人の気配がない。
「ま、ここにいるのは前王妃と、ほんの数人の使用人だけですからね」
離宮の奥にあるのが、サディアナの部屋だという。
そこまでやってくるとようやく使用人の姿も見え始めた。ようやくたどり着いたサディアナの私室の前でしばらく待つと、侍女が扉を開けてくれる。
「あなたが、エレナ王妃ね」
部屋の中は、ほのかな香りの香が焚きしめられていた。ローレンスはそれに眉根を寄せたが、エレナはその場でスカートをつまみ上げ、一礼する。
「ご挨拶もできず、申し訳ありませんでした。エレナと申します」
「あぁ、いいのよ。本来ならばわたくしが出向くべきだったのだもの……そこのあなた、エレナ様をこちらへお連れして」
優雅な所作で侍女に命じたサディアナは、うっすらとした笑みを浮かべていた。
レイゼット前王太子の母親ということは、年齢は四十を少し過ぎた頃のはずだ。だがその美貌は衰えているということはない。
(でも、この方……どこを見ているのか、わからないわ)
翳りない美貌ではあったが、こちらを見ているはずのサディアナの視線はふらふらと定まらず、時折少女のように壁掛けの時計を見たり、そうかと思えばエレナに視線を戻したり――夢と現実をさまよっているというカインの言葉は、間違ってはいないようだった。
「それと、あなた……カインの従者ね? あなたはお下がりなさい。女性同士のお茶会に、殿方がいるだなんて無粋よ」
「しかしながらサディアナ様、今回自分はエレナ様の護衛を仰せつかっております。こればっかりはカイン様直々のご指名なもので、俺も下がるわけにはいきませんね」
軽口を叩くローレンツに、サディアナの目が細められる。
わかりやすく不機嫌を露わにしたサディアナに対して、ローレンツは余裕綽々といった風にエレナのすぐ側までやってきた。
「ローレンツさん、わたしは大丈夫です……その、お下がりになられた方が」
「いいえ。これは陛下からのご命令ですから。俺が従ってるのはサディアナ様じゃなくてカイン様ですからね」
そう言って、ローレンツは引き下がる気配も見せない。
エレナは別に、彼がこの部屋にいても問題ではないのだが、どうやらサディアナは違うらしい。冷たい印象の深緑色の目を細め、それまで手に持っていた扇をパチンと閉じると、苛立たしげな表情を浮かべた。
「いいから下がりなさい! わたくしを――わたくしを誰だと思って……!」
「サディアナ様!」
ヒッ、とサディアナの喉が引きつったのはその時だった。
息苦しそうに何度も咳き込むサディアナにエレナは思わずその側に駆け寄った。無礼を承知で背中に手を当て、彼女の呼吸が落ち着くまで上下に擦ってやる。
「ローレンツ様、サディアナ様にご無理をさせるなというのも陛下のご判断ではございませんか!」
サディアナに仕えていた侍女の一人が、厳しい表情でローレンツに詰め寄った。
それに対してもローレンツは飄々とした態度で切り返しているが、さすがにこれ以上この部屋の中を引っかき回すわけにもいかない。
エレナは立ち上がって、ローレンツの服の裾を引っ張った。
「ローレンツさん」
「エレナ様?」
「一度、わたしたちは下がった方がいいかもしれません。サディアナ様の体調を悪化させてしまうくらいなら、今回の訪問は……」
さすがにこの状態で、茶会が続けられるとも思えない。
だが、ケホケホとむせていたサディアナはか細い声でエレナを呼び、どうか部屋にいてくれと懇願してきた。
「エレナ様……わたくしは大丈夫ですわ。久しぶりに声を張ってしまって、体が驚いただけ……驚かせてしまって、ごめんなさいね」
侍女の手を借りて起き上がったサディアナが、エレナに向かって手招きをする。
エレナは一度だけローレンツの方を振り返ったが、儚げな様子で自分を呼び寄せる前王妃の元へゆっくりと歩いていった。
「あの、ローレンツさん。あまり遅くはなりませんし、サディアナ様もこう仰っておいでです。少しだけ、外してはいただけないでしょうか」
「ですが――いえ、かしこまりました。外にいるので、何かあったらすぐに呼んでください」
短く一礼したローレンツは、そのまま部屋を出ていった。
彼はカインに命じられただけなのに、酷いことをしてしまった。後でローレンツとカインにもう一度謝ろうと決意したエレナは、ゆっくり呼吸を整えているサディアナのすぐ近くまで歩くと、目線を合わせるように膝を折った。
「お加減はいかがですか、サディアナ様……」
「あぁ、本当にごめんなさい。もう大丈夫よ――王妃様にそんなことをさせては、わたくしがカイン陛下に叱られてしまうわね」
背後では、既に侍女たちが茶会の準備を進めている。
先ほどまで顔色が悪かったサディアナも、ゆっくりと立ち上がるとエレナに向かって優雅な微笑みを向けた。
「カイン様もわかってくださるはずです。とてもお優しい方ですし……」
「そう? そうなの……カイン陛下が優しいと――あなたはそう思っていらっしゃるのね、エレナ様」
「え?」
エレナは、サディアナの言葉に目を丸くした。
カインはあの通り、温厚で穏やかな人となりだ。気性が激しく暴れ回るわけでもなければ、気分屋なわけでもない。
お茶の準備ができたという侍女たちの声を聞きながら、エレナはその言葉の真意を測りかねていた。
「サディアナ様は、カイン様の……義理のお母様という、お立場なのですよね?」
「えぇ。前国王妃として、国王の後見に就くのは当たり前のこと――でもわたくしは、レイゼットを忘れたわけではないわ。たった一人の、愛しい我が子ですもの」
丸いテーブルの上に載せられた茶器は、どれも美しい絵が描かれた最高級のものだ。そこへ薫り高い紅茶が注がれ、対面に座った二人の間にふわりと湯気が立ち上る。
「レイゼット王子……ですか。わたしも、お会いしたことはあります。その……」
エレナの素性は、きっとサディアナも知っているはずだ。だから今更隠すことではない。
だが、レイゼットのこととなると、彼女になんと声をかければいいのかがわからなかった。
「えぇ。わたくしの大切な息子……本当なら、わたくしは王となったあの子を支えるはずだったのに」
それは、大国に起きたあまりに悲惨すぎる出来事だった。レイゼット王太子は後継者争いの中で、非業の死を遂げてしまい――もっとも王位継承権が低かったカインが、今国王として玉座に座っている。
「あの子は、レイゼットはね。本当は最後まで――カイン陛下を除いた兄弟たちの中で、策謀にも負けず、最後まで生き残っていたのよ」
「そう、なのですか……? ですがレイゼット様は、お亡くなりになったのでは」
「そう。……全て前国王と、カイン陛下の策略なのよ。わたくしはそれをあなたに忠告したくて……でも、カイン陛下には優秀な臣下がいるわ。わたくしの力では、あなたをここまで呼ぶのに精一杯だったの」
ティーカップを持つサディアナの手が、小刻みに震えていた。
それは息子を喪った悲しみからか、理不尽な現実を認めたくないという怒りからなのか――伏せられた目には、エレナの背筋がぞくりとするほどの炎が灯っている。
「カイン陛下は恐ろしい方よ。先の国王陛下に、レイゼットを殺すようにと進言し……結果として、王になるはずだったレイゼットは……」
「カイン様がそんなことをするはずは――」
「あなたの前では、優しい夫を演じているのでしょう……? 可哀想なエレナ様。あなたが彼を信じたいという気持ちは、このわたくしもよく分かります……でも、事実わたくしの息子はあの男の目の前で殺されたの。レイゼットだって――」
目に涙を浮かべたサディアナが、弱々しくエレナの手を取った。
「レイゼットだって、カイン国王がいなければ死ななかったわ……!」
血を吐くような声でそう言って、サディアナはとうとう泣き崩れてしまった。
こんな時に、気の利いた言葉一つ出てこない。エレナは泣きじゃくるサディアナに寄り添って何度も背中をさすりながら、少しでも彼女が落ち着くようにと祈っていた。
だが、どれだけ時間が経ってもサディアナが回復する気配はない。見かねた侍女の一人が、側に寄り添っていたエレナに向かって頭を下げた。
「エレナ様。今日はもうお引き取りください……こちらからお呼び立てしたのに申し訳ございませんが、この様子ではもうお茶会は……」
「え、えぇ。そうね……残念だけれど、是非またお時間があるときにでも」
机に突っ伏して震えているサディアナの姿は、かつてエレナが見た絢爛豪華な城の女主人の姿ではない。ぬぐい去ることができない悲しみを背負った、ただの弱々しい女の姿だった。
(でも、カイン様がレイゼット様を殺した、なんて……)
いくらサディアナの言葉でも、カインがそんなことをする人間だとは思えないし、思いたくもない。
暗い表情で部屋を後にしたエレナは、そこで待っていたローレンツとも視線を合わせることができなかった。
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