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弥勒過去編(瑛二&白銀)
異常 side 瑛二 1
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「おい!?」
手を差し伸べるが、間に合わなかった。
糸が切れたマリオネットのように力を失い。
瑛一の身体が傾き。
食卓の食器をひっくり返しながら、畳の上に崩れる。
「瑛一っ」
身体を起こすが、反応が無い。
何が、起こったんだ・・・
半開きの瞳は、ピクリとも動かない。
瞳がガラス玉のように無機質で、何も映さない。
さっきまで、普通に話してたのに。
耳を口元に近づける・・・息が浅い。
なにかが、おかしい。
「おいっ!
誰でもいから、急いで来いッ」
バタバタと走ってくる足音。
「お呼びですか?」
瑛一を抱き寄せた、俺の姿を確認しても。
動揺は見られない。
・・・こうなることを、予想していた目だ。
「なぜ、こうなったのか教えろ」
当主になった途端、謙った使用人。
弥勒家の分家から来ている女。
「お疲れなのでは?
弥勒家は角無し鬼には詳しい者はおりませんので・・・
布団を隣の部屋にお持ちしましょう。
こちらの片付けもしておきます」
淡々と答え、さっさと行ってしまう。
あぁ、コイツ。
いや、コイツらか。
弥勒家の人間は、こうなるとわかっていたんだな。
瑛一も、含めて。
腕の中で何の反応もしない瑛一。
凍ったように冷たい身体。
真っ青な唇。
綺麗過ぎる容姿が、まるで人形にしか見えない。
さっきまで、話してたのに。
形ばかりの大丈夫ですか?と、声をかけながら。
布団は用意されたが・・
抱き上げるには俺は非力。
でも、集まってきた女どもはさっさと食卓の片づけを始める。
この異常事態でも、手に触れようともしない・・・か。
何とか引きずり、汚れた着物は剥がして布団に寝かせる。
コイツらが、寝かせておくと判断したのなら。
逆に、寝ていても瑛一は治らないということだ。
「今日の稽古は休む。
伝えておけ」
「かしこまりました」
食卓の片付けも終わり、出て行こうとする女に告げる。
他の人間への指示を出していたから、この女が分家の中でも幅を利かせているのはわかっていた。
どれだけ前日の仕事が長引いていても、休むことを許さなかった稽古。
あっさりと、ソレまで通すとは・・・おかしすぎる。
この、状態。
放っておけば・・・弥勒家が望む事態へ繋がる。
それは、瑛一の、死?
手を差し伸べるが、間に合わなかった。
糸が切れたマリオネットのように力を失い。
瑛一の身体が傾き。
食卓の食器をひっくり返しながら、畳の上に崩れる。
「瑛一っ」
身体を起こすが、反応が無い。
何が、起こったんだ・・・
半開きの瞳は、ピクリとも動かない。
瞳がガラス玉のように無機質で、何も映さない。
さっきまで、普通に話してたのに。
耳を口元に近づける・・・息が浅い。
なにかが、おかしい。
「おいっ!
誰でもいから、急いで来いッ」
バタバタと走ってくる足音。
「お呼びですか?」
瑛一を抱き寄せた、俺の姿を確認しても。
動揺は見られない。
・・・こうなることを、予想していた目だ。
「なぜ、こうなったのか教えろ」
当主になった途端、謙った使用人。
弥勒家の分家から来ている女。
「お疲れなのでは?
弥勒家は角無し鬼には詳しい者はおりませんので・・・
布団を隣の部屋にお持ちしましょう。
こちらの片付けもしておきます」
淡々と答え、さっさと行ってしまう。
あぁ、コイツ。
いや、コイツらか。
弥勒家の人間は、こうなるとわかっていたんだな。
瑛一も、含めて。
腕の中で何の反応もしない瑛一。
凍ったように冷たい身体。
真っ青な唇。
綺麗過ぎる容姿が、まるで人形にしか見えない。
さっきまで、話してたのに。
形ばかりの大丈夫ですか?と、声をかけながら。
布団は用意されたが・・
抱き上げるには俺は非力。
でも、集まってきた女どもはさっさと食卓の片づけを始める。
この異常事態でも、手に触れようともしない・・・か。
何とか引きずり、汚れた着物は剥がして布団に寝かせる。
コイツらが、寝かせておくと判断したのなら。
逆に、寝ていても瑛一は治らないということだ。
「今日の稽古は休む。
伝えておけ」
「かしこまりました」
食卓の片付けも終わり、出て行こうとする女に告げる。
他の人間への指示を出していたから、この女が分家の中でも幅を利かせているのはわかっていた。
どれだけ前日の仕事が長引いていても、休むことを許さなかった稽古。
あっさりと、ソレまで通すとは・・・おかしすぎる。
この、状態。
放っておけば・・・弥勒家が望む事態へ繋がる。
それは、瑛一の、死?
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