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弥勒過去編(瑛二&白銀)
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「ったく、次から次へと、なんでこうも鬼が生まれるんだ」
夜露を鞘に収める瑛二。
すでに、鬼を斬ることへのためらいはない。
僕と同じく、鬼落ちした人間にも刃を向けている。
弥勒家の者に指示を出し、陣形まで任されて。
生と死だけじゃない。
家同士のいさかいまで含まれる戦場で。
瑛二が立ち回る姿。
一番恐れていたことなのに。
「今日も瑛二はかっこよかった」
僕は、その姿に魅入られる。
真名を預けた主が、どれ程凛々しく華々しいか。
嫌みも嫌がらせも、気に止めず。
継承した刀、‘夜露’を手に、荒々しく猛るその姿。
随分、思考が変わってしまった。
「はぁ~?
無様にスッ転んでたの見たくせに、嫌みか?」
「すぐに体勢を立て直して、抜刀していた。
まだ習いたてなのに、筋がよくて僕は嬉しい」
「なっ
う、うるせぇよ。
だいたい、足元悪いのお前なら見えてんだろ?
教えろよ」
それには笑ってごまかす。
もう僕には、暗闇の戦いでそこまで気遣う余力はない。
弥勒家の戦い方は、他の家との連携を好まない。
当主は戦場で自分の光を解放し、鬼を呼び寄せる囮となり。
向かってきた鬼を弥勒家が全員で斬り捨てる。
未熟な瑛二は、コントロールが出来ない。
0か100か。
解放した途端、周りに潜む鬼まで呼び寄せてしまう。
迎撃が間に合わないため冷や冷やする。
もう少し、出来るものかと思っていたが・・・
瑛二の護衛を負かされている人間の弱さが。
鬼になった途端、目に付いてしまう。
よく僕は、こんな人間に命を預けていたな。
「さっさと帰るぞっ」
瑛二の号令に従う行動の遅さに、イライラしてしまう。
荷物をまとめ、隊列を組み、歩く。
この単純な作業が、揃わない。
以前なら、こんなに相手に苛立つことは無かった。
それよりも、上手く褒めて伸ばして自分が生きながらえるためにどう動いてほしいのか。
何度も教えて才能を伸ばそうと努力していたのに。
「瑛一、行くぞ」
「はい」
こんなヤツらに、瑛二を任せるしかないとは。
宙に浮かず。
力をセーブするために、歩いている僕の背を。
殺意をこめて睨みつけてくる人間に辟易する。
僕の存在を許せないなら。
自分がそれを上回る力を身につける努力ぐらいしてほしい。
夜露を鞘に収める瑛二。
すでに、鬼を斬ることへのためらいはない。
僕と同じく、鬼落ちした人間にも刃を向けている。
弥勒家の者に指示を出し、陣形まで任されて。
生と死だけじゃない。
家同士のいさかいまで含まれる戦場で。
瑛二が立ち回る姿。
一番恐れていたことなのに。
「今日も瑛二はかっこよかった」
僕は、その姿に魅入られる。
真名を預けた主が、どれ程凛々しく華々しいか。
嫌みも嫌がらせも、気に止めず。
継承した刀、‘夜露’を手に、荒々しく猛るその姿。
随分、思考が変わってしまった。
「はぁ~?
無様にスッ転んでたの見たくせに、嫌みか?」
「すぐに体勢を立て直して、抜刀していた。
まだ習いたてなのに、筋がよくて僕は嬉しい」
「なっ
う、うるせぇよ。
だいたい、足元悪いのお前なら見えてんだろ?
教えろよ」
それには笑ってごまかす。
もう僕には、暗闇の戦いでそこまで気遣う余力はない。
弥勒家の戦い方は、他の家との連携を好まない。
当主は戦場で自分の光を解放し、鬼を呼び寄せる囮となり。
向かってきた鬼を弥勒家が全員で斬り捨てる。
未熟な瑛二は、コントロールが出来ない。
0か100か。
解放した途端、周りに潜む鬼まで呼び寄せてしまう。
迎撃が間に合わないため冷や冷やする。
もう少し、出来るものかと思っていたが・・・
瑛二の護衛を負かされている人間の弱さが。
鬼になった途端、目に付いてしまう。
よく僕は、こんな人間に命を預けていたな。
「さっさと帰るぞっ」
瑛二の号令に従う行動の遅さに、イライラしてしまう。
荷物をまとめ、隊列を組み、歩く。
この単純な作業が、揃わない。
以前なら、こんなに相手に苛立つことは無かった。
それよりも、上手く褒めて伸ばして自分が生きながらえるためにどう動いてほしいのか。
何度も教えて才能を伸ばそうと努力していたのに。
「瑛一、行くぞ」
「はい」
こんなヤツらに、瑛二を任せるしかないとは。
宙に浮かず。
力をセーブするために、歩いている僕の背を。
殺意をこめて睨みつけてくる人間に辟易する。
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