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弥勒過去編(瑛二&白銀)
僕のせい 2
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僕になにかあれば、直系の次子である瑛二が当主となってしまう。
僕が小さい頃から、時間をかけて学んできた。
当主として必要なこと、全てを。
この子は即座に求められてしまう。
弥勒家の伝統で、本家の直系、その初子が代々当主となる。
内部で後継者争いを起こさない為とはいえ、次子以降は家業にもつかせない。
初子には、徹底した教育を施される。
次子以降は、一般人としての教育を受ける。
弥勒家の戦いのせいなのか。
弥勒家本家の人間は、必ず鬼の食糧となる肉体をもって生まれる。
でも、最低限しか教えない。
神宮寺家に席はあっても実質は外されてしまう。
弥勒家のこと、神宮寺家のこと、鬼のこと。
瑛二は、さわり程度で光の抑制しか求められていない。
でも、僕に何かあれば。
死んだり、当主として復帰できない怪我を負えば。
強制的に当主として生きることを課せられる。
僕が子どもを作るまで。
僕は絶対に死ねない。
そのために、高校も中退し。
鍛錬を重ね、術を学び。
あれから、10年。
どんな死地に追い込まれても。
必ず帰還するために努力し続けた。
時間の拘束もバラバラで。
瑛二との時間は合わなくなってしまって。
徐々に二人の間に溝が出来るのを感じていたけど。
あぁ、ここでも僕は間違えたんだ。
中等部に入って、ますます瑛二の素行が悪くなって。
家に帰っても、使用人しか居ない状況で。
たまにしか顔を合わせないのに、僕は何も声をかけれなかった。
どういえば、何を言えば良かったのか。
あの頃、僕を睨んでばかりだった双眸には。
僕はどう映っていたんだろう
悪い仲間と昼夜問わず遊びだして。
会えない時間は増えるばかりで。
瑛二の悪い噂を耳にしていたのに。
僕は、瑛二と向き合うべきだったのに。
良き当主として立ち回る。
楽な道へ逃げてしまった。
神宮寺家内でも、武道派であった弥勒家は。
内部の鉄の掟もあり、他と一線を画していた。
角無し鬼も持たず、その身一つで戦場を潜り抜ける。
角無し鬼無しでは戦えない、他の家を見下し。
戦場に出ない家を、あざ笑い。
自分たちの強さばかりを笠に来ていた。
それを。
僕は敢えて友好的に交わり。
打算を持って、その一線を無くすよう努めた。
他の家と打ち解け。
その家に伝わる書物にまで目を通し。
弥勒家以外に伝わる秘術も頭に叩き込んで。
僕は、ただ、瑛二を守るために。
生きながらえるために努力し続けた。
こんな、窮屈で息も出来ない当主の席に。
絶対に座らせたくなかった。
今日は、見合い相手の写真を見せて。
瑛二に相談もしたかったんだが・・・
行く先々で縁談を持ち込まれ。
どの家と縁を結んでも、角がたつ。
良き当主として、弥勒家にとって。
誰がではなく、どの家が最適か。
机の上の、束を見る。
この中の誰かと結婚して、子どもさえ産まれれば。
僕は瑛二を守りきれる。
もっと、話しておけばよかった。
顔も見ず、声だけ交わしたその日の夜。
僕は、人間でなくなったしまった。
僕が小さい頃から、時間をかけて学んできた。
当主として必要なこと、全てを。
この子は即座に求められてしまう。
弥勒家の伝統で、本家の直系、その初子が代々当主となる。
内部で後継者争いを起こさない為とはいえ、次子以降は家業にもつかせない。
初子には、徹底した教育を施される。
次子以降は、一般人としての教育を受ける。
弥勒家の戦いのせいなのか。
弥勒家本家の人間は、必ず鬼の食糧となる肉体をもって生まれる。
でも、最低限しか教えない。
神宮寺家に席はあっても実質は外されてしまう。
弥勒家のこと、神宮寺家のこと、鬼のこと。
瑛二は、さわり程度で光の抑制しか求められていない。
でも、僕に何かあれば。
死んだり、当主として復帰できない怪我を負えば。
強制的に当主として生きることを課せられる。
僕が子どもを作るまで。
僕は絶対に死ねない。
そのために、高校も中退し。
鍛錬を重ね、術を学び。
あれから、10年。
どんな死地に追い込まれても。
必ず帰還するために努力し続けた。
時間の拘束もバラバラで。
瑛二との時間は合わなくなってしまって。
徐々に二人の間に溝が出来るのを感じていたけど。
あぁ、ここでも僕は間違えたんだ。
中等部に入って、ますます瑛二の素行が悪くなって。
家に帰っても、使用人しか居ない状況で。
たまにしか顔を合わせないのに、僕は何も声をかけれなかった。
どういえば、何を言えば良かったのか。
あの頃、僕を睨んでばかりだった双眸には。
僕はどう映っていたんだろう
悪い仲間と昼夜問わず遊びだして。
会えない時間は増えるばかりで。
瑛二の悪い噂を耳にしていたのに。
僕は、瑛二と向き合うべきだったのに。
良き当主として立ち回る。
楽な道へ逃げてしまった。
神宮寺家内でも、武道派であった弥勒家は。
内部の鉄の掟もあり、他と一線を画していた。
角無し鬼も持たず、その身一つで戦場を潜り抜ける。
角無し鬼無しでは戦えない、他の家を見下し。
戦場に出ない家を、あざ笑い。
自分たちの強さばかりを笠に来ていた。
それを。
僕は敢えて友好的に交わり。
打算を持って、その一線を無くすよう努めた。
他の家と打ち解け。
その家に伝わる書物にまで目を通し。
弥勒家以外に伝わる秘術も頭に叩き込んで。
僕は、ただ、瑛二を守るために。
生きながらえるために努力し続けた。
こんな、窮屈で息も出来ない当主の席に。
絶対に座らせたくなかった。
今日は、見合い相手の写真を見せて。
瑛二に相談もしたかったんだが・・・
行く先々で縁談を持ち込まれ。
どの家と縁を結んでも、角がたつ。
良き当主として、弥勒家にとって。
誰がではなく、どの家が最適か。
机の上の、束を見る。
この中の誰かと結婚して、子どもさえ産まれれば。
僕は瑛二を守りきれる。
もっと、話しておけばよかった。
顔も見ず、声だけ交わしたその日の夜。
僕は、人間でなくなったしまった。
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