78 / 195
修行編(瑠璃丸&京一郎) 2
光の抑制 3
しおりを挟む
「まぁ、徐々に始めてみよう。
取り合えず、一個、外してみる?」
「頭で考えてても、全然わかんないしな」
雅も賛同し、まずは右の腕輪をひとつ外してみる。
真っ白な光が、朝もやみたいに雅を包み込んでいる。
一つで、これって・・・すでに雅の輪郭が光に擦れてるんだけど。
「光、出てるのか?」
「出てるよ、想像していたのより、明るい。
雅の姿が、光と混ざってて、ちょっと見難くなってる。
雅の色は、真っ白なんだ。
それこそ、その周りの景色も全部消えるくらいの白さ。
今は、途切れ途切れで、景色が透けて見える」
雅は立ち上がり、自分の身体のあちこちを見たり、動いたり。
「光、ねぇ??」
頭の中で、取り合えずイメージするしかないので。
私は離れた場所で、眼下に広がる山々の景色を見下ろす。
あまり雅を見続けていると、目がおかしくなりそうだった。
遠くを見て、目を休めよう・・・
ついでに、昼食場所どこにしようかな。
修行場として慣れ親しんだ山の中。
滝をみながらも楽しそうだな~と気分がほぐれてくる。
昨日からおにぎりと水筒を持ち歩いている。
まるで、遠足のようで楽しい。
普段、寮では自分だけしか食べないし。
他と言えば。
神宮寺家の関係者が、そこかしこにいる学校。
ギスギスしたランチしか知らないからな。
雅と食べる食事は、本当に楽しい。
この御山なら、一人にしても大丈夫だろうか。
時間もかかるだろうし。
修行も兼ねて、走ってこようかな??
雅を振り返り、その光が消えていることに驚く。
腕輪は、足元に置いてある。
着けなおしたわけじゃないようだ。
なんて、飲み込みの早い・・・
目を閉じていた雅が、私の視線に気付き笑う。
「なんか、変わったか?」
「ちゃんと、消えてるよ。
こんなに早く出来るなんて、すごいな」
そうか、と照れる雅。
こんなに簡単に、イメージして実行できるなんて・・・
さすが、というべきなんだろうな。
「雅、その状態を維持して少し歩こうか。
昼からは、いろいろな動作を繰り返して、その中でも持続できるかどうか。
あと、寝ているときにもれないかも、今夜黒曜様に確認してもらう必要がある。
今日はそれ以上減らさなくていいから」
「そうか・・・俺としては、減らしたいけど仕方ないな」
地面に置いた腕輪を、リュックに入れて溜息。
手首から肘まで、腕輪でがんじがらめだからな。
溜息も、仕方ない。
「確実に、行こう」
出だしが好調だったせいで。
このとき私は気軽に考えていた。
きっと、お二人の御子息だから。
あの『はじまりの鬼』も下しているくらいの御子息だから。
すぐに腕輪も取れてしまうと。
取り合えず、一個、外してみる?」
「頭で考えてても、全然わかんないしな」
雅も賛同し、まずは右の腕輪をひとつ外してみる。
真っ白な光が、朝もやみたいに雅を包み込んでいる。
一つで、これって・・・すでに雅の輪郭が光に擦れてるんだけど。
「光、出てるのか?」
「出てるよ、想像していたのより、明るい。
雅の姿が、光と混ざってて、ちょっと見難くなってる。
雅の色は、真っ白なんだ。
それこそ、その周りの景色も全部消えるくらいの白さ。
今は、途切れ途切れで、景色が透けて見える」
雅は立ち上がり、自分の身体のあちこちを見たり、動いたり。
「光、ねぇ??」
頭の中で、取り合えずイメージするしかないので。
私は離れた場所で、眼下に広がる山々の景色を見下ろす。
あまり雅を見続けていると、目がおかしくなりそうだった。
遠くを見て、目を休めよう・・・
ついでに、昼食場所どこにしようかな。
修行場として慣れ親しんだ山の中。
滝をみながらも楽しそうだな~と気分がほぐれてくる。
昨日からおにぎりと水筒を持ち歩いている。
まるで、遠足のようで楽しい。
普段、寮では自分だけしか食べないし。
他と言えば。
神宮寺家の関係者が、そこかしこにいる学校。
ギスギスしたランチしか知らないからな。
雅と食べる食事は、本当に楽しい。
この御山なら、一人にしても大丈夫だろうか。
時間もかかるだろうし。
修行も兼ねて、走ってこようかな??
雅を振り返り、その光が消えていることに驚く。
腕輪は、足元に置いてある。
着けなおしたわけじゃないようだ。
なんて、飲み込みの早い・・・
目を閉じていた雅が、私の視線に気付き笑う。
「なんか、変わったか?」
「ちゃんと、消えてるよ。
こんなに早く出来るなんて、すごいな」
そうか、と照れる雅。
こんなに簡単に、イメージして実行できるなんて・・・
さすが、というべきなんだろうな。
「雅、その状態を維持して少し歩こうか。
昼からは、いろいろな動作を繰り返して、その中でも持続できるかどうか。
あと、寝ているときにもれないかも、今夜黒曜様に確認してもらう必要がある。
今日はそれ以上減らさなくていいから」
「そうか・・・俺としては、減らしたいけど仕方ないな」
地面に置いた腕輪を、リュックに入れて溜息。
手首から肘まで、腕輪でがんじがらめだからな。
溜息も、仕方ない。
「確実に、行こう」
出だしが好調だったせいで。
このとき私は気軽に考えていた。
きっと、お二人の御子息だから。
あの『はじまりの鬼』も下しているくらいの御子息だから。
すぐに腕輪も取れてしまうと。
0
お気に入りに追加
121
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる