鬼ごっこ~あのこがほしい~

三日月

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修行編(瑠璃丸&京一郎) 2

劇的変化

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な、にかがあったんだろうけど・・・
力が強い鬼は、角無し鬼になると人間への感情が大きく変わるものなのだろうか。
いや、この場合。
角無し鬼になって、時間が経過してからの変化。
黒曜様ならではの、何かがあったのか??

次の日の朝。
朝食準備に、こちらに入ってきた雅と黒陽様は・・・手を握っていた。

「雅・・・?」
「あ、これ?
黒曜が気に入ってくれたんだ。
俺も嬉しいし、出来るだけつないどこうかな~って」

ギュッと恋人つなぎ。
お師匠様と現当主のデジャヴ・・・
しかも、今まローブだった黒曜様の服が。
雅と同じ色違いのラフな格好。

「雅、おかしいなら離そうか」

は、話し方まで変わってるし!

「この山にいる間は大丈夫だって。
俺たちと、京一郎と琉璃丸しかいないんだし、な」
「・・・それなら、これがいいな」

黒曜様、能面どこかに置いてきたんですか?
昨日までと表情が違うんですけど。
唇、まだ青いけどちょっと薄まってる。
お腹が満たされて、余裕が出来たから?
それともなにかがあった??

劇的変化に、ついていけない。

「食べる量も増やしてくれたし、ちゃんと寝てももらえた。
京一郎に教えてもらわなかったら、本当にやばかったよな。
ありがとう」
「あ、いえいえ。
早く起きたから、もう御飯は作ってあるんだ。
昨日、全然手伝えてなかったし」

早速ダイニングテーブルに運ぶ。
御飯と味噌汁、焼き鮭と浅漬け。
渋めの緑茶も湯飲みに注ぐ。
二人分を配膳したところで、向かい合わせに座ったけど。

「ごめんな。
しばらく黒曜が何したいかわかんないし。
今日から好きに動いてみろって言ったんだ。
俺も戸惑ってるけど、京一郎も、だよな?」

・・・今まで窓際が定位置だったのに。
雅の横で、雅を見ながら、座ってる黒曜様。
琉璃丸も気になるのか、リビングからこちらを伺っている。

「すんげぇ照れるんだけどさ」

顔を赤くしながら、笑ってる雅。
私でも、そんなに琉璃丸にガン見されたら照れる。
しかも、雅がお茶を熱そうにしたら。
フーフー息を吹きかけて冷ましだしたし!

「えっと、何があったのか聞いてもいい?」

鮭が塩辛いのかどうかもわからないくらい。
動揺してる。
全然味が情報として入ってこない。

「昨日一緒に風呂に入って、いろいろ喋って。
あと、子守唄歌って寝かしつけた」

あんなに黒曜様に怯えてたのに。
雅の行動力、すごいな。

「そういえば、その服になって初めて気付いたんだけど・・・
雅は脚にもつけてたんだな」

光を吸収する道具。
ハーフパンツから伸びる両足に。
3連着けている。

「あぁ。
身体も洗いにくいし、早く外せるようになりてぇ」

確かに、その量は・・・両手両足の拘束具に見えてくる。

「光について軽く説明して、それから徐々に外していこう。
早くしないと、春休みも終わるし・・・」
「そうだよな~
春休みってあと5日くらいだろ?
俺、間に合わなかったらコレつけたまんま登校すんのかな?」

そんなの着けてたら目立つだろう。
それに。
鬼によっては、それが抑制しているものだと知っている。
目印になってしまう。

お師匠様も現当主も。
この状態の雅を戻すなんて危険な真似は、しない。
万一光の吸収が道具で抑えきれなくなったら。
雅はまた襲われる。

「ちゃんと抑制できるまでは、この山から下ろしてもらえないよ。
雅の光、鬼なら匂いで感じるそれは、あまりに強烈過ぎる。
自分で抑制できないと、寝ていてうっかり光が漏れるなんて事態にもなりかねない」
「そっか・・・
京一郎にも、悪いな。
春休み、無くなるし・・・」
「私は大丈夫だ。
むしろ、現当主から給与も出てる。
雅の方が、突然こうなって大変だろう?」

焼き鮭をようやく味わいながら。
御飯を進める。

「ん~、戸惑いはあるけど・・・今がこうだし、いいかな」

黒曜様を見て、笑う。
釣り上がった目が、半月のように細くなる。
笑顔を向けられた黒曜様も、目を細めている。

お師匠様、御子息すごくいい子に育ってますよ!
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