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修行編(瑠璃丸&京一郎) 2
上機嫌 2
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「わかったろ?」
台所に戻ると、雅に笑って出迎えられた。
・・・言葉に詰まる。
すでに、鍋の中でグツグツと。
晩御飯のポトフが煮込まれている。
アルバイトしていただけあって、手際が良いな。
「あー、色気はないけど。
笑いすぎてるのは、わかった」
「・・・自分では気づかねーのか?
ま、笑ってるのもその通りだよな。
ずっとニヤニヤしたり、赤くなったり。
もっとしっかりしてるのかと思ったけど、京一郎はおもしろいんだな」
「それって、褒めてはないよね?」
「え、褒めてるって!
オレ、そういうとこ好きだし」
雅は、さらりと好意を口にできてしまう。
すごいな、うらやましいなと思う。
出来上がったポトフと。
初めて食べる、炊飯器で作ったピラフ。
それに、サラダ。
どれも美味しくて、話が弾む。
あとで怒られない程度のお師匠様伝説の数々とか。
修行をしてもらっていたときのこととか。
離れて暮らしていた雅にとっては、知らない親の顔。
雅からは、たまにご両親と会っていたときの話を聞いて。
私にとっては、怖くて厳しくて容赦ないお師匠様。
雅にとっては、優しい母親。
特にお師匠様のギャップに二人で笑っていた。
帰り際。
「雅も、今日はしっかり寝たほうがいいよ。
もし寝付けないなら、どちらかがソファーで寝るとか」
寝不足気味の雅に、声をかけておく。
明日こそは、ちゃんと光の収め方を教えないと。
「え、どちらかがって・・・オレしかベット使ってないぜ?
黒曜って、寝るのか??」
「え、寝る・・・よね?」
隣の瑠璃丸を見上げて、思わず聞いてしまう。
角無し鬼が寝るとか寝ないとか。
そんなの誰かに聞いたこと無かった。
瑠璃丸とは、小さい頃はずっと一緒に寝ていたし。
今日だって、寝ていたし。
「寝るで?
寝んとしんどいやん」
そうだよな~
黒曜様、寝てないってことは・・・常にエネルギー使ってることになるんじゃ。
「食べさせてから、寝てもらうようにした方がいいと思う。
この目で見たことは無いけど、何も食べなくなった鬼や角無し鬼は、砂になって消えるって教えられてる。
今の黒曜様の唇も、あそこまで青いのを見るのは正直私も初めてだ。
かなり、危ないところまで・・・」
話の途中だったけど、それ以上は止めておいた。
雅の顔が、真っ青になっていたから。
わかったと、頷き。
窓辺の黒曜様を振り返った雅。
他の捕縛師のように。
便利な道具、守ってくれる番犬を見るような目じゃなかった。
好きな相手を心配する、目だった。
台所に戻ると、雅に笑って出迎えられた。
・・・言葉に詰まる。
すでに、鍋の中でグツグツと。
晩御飯のポトフが煮込まれている。
アルバイトしていただけあって、手際が良いな。
「あー、色気はないけど。
笑いすぎてるのは、わかった」
「・・・自分では気づかねーのか?
ま、笑ってるのもその通りだよな。
ずっとニヤニヤしたり、赤くなったり。
もっとしっかりしてるのかと思ったけど、京一郎はおもしろいんだな」
「それって、褒めてはないよね?」
「え、褒めてるって!
オレ、そういうとこ好きだし」
雅は、さらりと好意を口にできてしまう。
すごいな、うらやましいなと思う。
出来上がったポトフと。
初めて食べる、炊飯器で作ったピラフ。
それに、サラダ。
どれも美味しくて、話が弾む。
あとで怒られない程度のお師匠様伝説の数々とか。
修行をしてもらっていたときのこととか。
離れて暮らしていた雅にとっては、知らない親の顔。
雅からは、たまにご両親と会っていたときの話を聞いて。
私にとっては、怖くて厳しくて容赦ないお師匠様。
雅にとっては、優しい母親。
特にお師匠様のギャップに二人で笑っていた。
帰り際。
「雅も、今日はしっかり寝たほうがいいよ。
もし寝付けないなら、どちらかがソファーで寝るとか」
寝不足気味の雅に、声をかけておく。
明日こそは、ちゃんと光の収め方を教えないと。
「え、どちらかがって・・・オレしかベット使ってないぜ?
黒曜って、寝るのか??」
「え、寝る・・・よね?」
隣の瑠璃丸を見上げて、思わず聞いてしまう。
角無し鬼が寝るとか寝ないとか。
そんなの誰かに聞いたこと無かった。
瑠璃丸とは、小さい頃はずっと一緒に寝ていたし。
今日だって、寝ていたし。
「寝るで?
寝んとしんどいやん」
そうだよな~
黒曜様、寝てないってことは・・・常にエネルギー使ってることになるんじゃ。
「食べさせてから、寝てもらうようにした方がいいと思う。
この目で見たことは無いけど、何も食べなくなった鬼や角無し鬼は、砂になって消えるって教えられてる。
今の黒曜様の唇も、あそこまで青いのを見るのは正直私も初めてだ。
かなり、危ないところまで・・・」
話の途中だったけど、それ以上は止めておいた。
雅の顔が、真っ青になっていたから。
わかったと、頷き。
窓辺の黒曜様を振り返った雅。
他の捕縛師のように。
便利な道具、守ってくれる番犬を見るような目じゃなかった。
好きな相手を心配する、目だった。
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