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解禁1

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「あの、瑠璃丸・・・」
「しーっ、黙って」

扉が閉まるなり、強引に抱き上げられ床に落ちた荷物はそのまま。
リビングから伸びたロフトへの階段を、重力を無視して軽やかに昇り。
その先の、キングサイズのマット脇に座らされる。

心臓、痛い。

また、瑠璃丸と私はキスするのか・・・
しかも、二人が出会ったこの御山で。

「なぁ、京ちゃん。
香り、嗅ぎたい」

頬を指でなぞられ、そのまま唇を指が割る。
爪が痛くてカリッと軽くかんでやると、瑠璃丸は目を細めて笑った。

御山、だしな。
大丈夫か。

自分の内側。
外に漏れないように、いつもは隠している光。
瑠璃丸の願いのままに、開放する。

「あぁ~、めっちゃイイ」

マットの脇に立ち上がり。
息を大きく吸い込むと、うっとりと匂いに酔いしれている瑠璃丸。
私の光は、赤みを帯びた光、らしい。
自分の光は認知できないので、お師匠様に聞いた限りだけど。

雅のような純粋な白ではない。
きっと、白ければ白いほど、極上なんだろうな。

鬼がその香りに狂うくらいの匂いでも、瑠璃丸は耐えて我慢して。
私だけを、食べてくれる。
強制はしていなかったけど、それは二人の中では当たり前になっているルールだ。

瑠璃丸には、自分だけ食べてほしいと思ったのはいつからだったか。
それさえよく覚えていない。

「・・・瑠璃丸は、その・・・知っていたんだな。
唾液ともう一つ。
その、空腹を満たすものがあること」
「本能、なんかな?
あ、ここ旨そうとか、そんなレベル」

視線を合わせるように膝を折り、顔が近づく。
自然に、受け入れる体勢で口を開け。
今度は目蓋を閉じた。

瑠璃丸の顔を、直視できない。

フワリと優しく唇が触れ。
瑠璃丸の舌が口内を、念入りに嘗め回し。
私の舌、も、からめとられ、唾液と一緒に吸われてしまう。

瑠璃丸の、口内に、自分の舌がある。

「フゥ、ア・・・ン・・・・・」

興奮して押さえ切れない声が、水音と一緒に漏れてしまう。

「京ちゃんが、アイスとか食べるとき。
舌出して美味しそうに舐めてたやん。
オレ、もう、見ててたまらんかった」

唇を離され、その間から出ていた舌を指で挟まれる。
熱量を含んだ瑠璃丸の声に誘われ、目を開けてしまった。

「この舌が、口の外で動くたび、這わしたもんに唾液がつくやん。
なんにも興味なかったもんが、旨そうに見えてくる。
我慢できんくて、試しに京ちゃんからアイスもらって舐めたけど・・・
まじりもんが多すぎて全然美味なかってん」

その指についた唾液さえ、丁寧に舐め取ってみせる瑠璃丸。

「京ちゃん、今日は満腹になるまで食べさせて、な」

その、艶のある動作に、表情に。
自分の頬が赤くなるのがわかった。
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