鬼ごっこ~あのこがほしい~

三日月

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強制力2

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「んんっ、も、いいのか??」
「あ、主・・・我は・・・」

それほど量はとられていないから、貧血も起きないだろう。
角無し鬼の唇の青みは、やや薄れている。
まだ空腹なのに、よく途中で止まれたな。

「俺からしか、食べるなよ。
足りないなら、もっとやるから」

至近距離で見つめあう一人と一体。

握り締めていたローブを軽く引き。
角無し鬼にむかって乞うように、その瞳を覗いている。

自分の角無し鬼に、そこまで遠慮するなんて。
迎えに行く間に、何が起こってたんだ??
芸能人に絡むヤンキーな構図だが、御子息が気を使っているのが伝わってくる。

「俺のこと、もう要らないっていうなよ?」

へんな、お願いもしてるし・・・
縛られた相手に対し、角無し鬼がそんなこと言えるはず無いのに。
基本的なことなのに、コチラのことを教えてなさすぎじゃないのか?

命じられ、血を口にしたことに。
角無し鬼はよほど衝撃を受けているようだ。
御子息が話しかけても、無言。
喉をおさえ、顔をしかめている。

「なぁ、聞いてるのか?」

反応が無いため、御子息も立ち往生。

「ミヤビちゃん、この方に名前をつけたほうがイイ」
「名前・・・?」

お師匠様は、やっと傍観者から立場を改めたらしい。

「過去の名前を教えてもらって呼ぶよりも、ミヤビちゃんがこれからの名前をつけたほうが絆が深まる。
まぁ、その調子では、歌で奪った真名は記憶の奥底のようだナ。
万一何かを思い出しても、その真名は口に出すなヨ。
縛りがきつすぎて、この方の命を奪いかねない」

わかっているのか、どうなのか。
あいまいに御子息は頷いた。

「母さん、名前はなんでもいーのか?」
「まぁ、とくにそんなに細かなルールは気にしなくて大丈夫だろう」

あれ、いろいろ私は教えられましたけど??
お師匠様、なにをいろいろすっとばしてるんですか。

御子息は、じっと角無し鬼を見上げ。
角無し鬼は、いたたまれないのか目を逸らした。
さっきまでと、逆だな。

「父さんが見せてくれた、あの石の名前がいいな。
なんだったっけ・・・あ~、なんだったかな~
主様の綺麗な髪の色と似てて・・・黒くて光ってたヤツ。
出てこねぇっ」

ガシガシ頭をかく御子息に。

「あ、それ、黒曜石のことかな?」

障子を開け。
ようやく、首に包帯を巻いた現当主が帰ってきた。

御子息の服と、重箱を手に。
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