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計画的2
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お師匠様は、先ほどと一変。
ニヤニヤ、いつもの調子で二人のやり取りを余裕を持ち、笑いながら見ている。
「あの、お師匠様。
どうなってるんですか・・・?」
「あ~、あれ?
おもしろいだろう?
さっきのは、リアンが調子に乗りすぎたけどナ。
それ以外は、今のところ順調なくらいリアンの計画通りだ」
そうですね、その例外さえ計算内の怖い人ですね。
とは、言えない。
息を潜め、声を潜め。
お師匠様は笑って見守ることに徹するらしい。
「我が主となった今、貴方からは採れない」
「イヤだ!」
角無し鬼の両手首を掴み、御子息は首を振る。
契約した相手を糧にしないルールは、初耳。
「ふむ。
あくまで、隷属する関係をあの方は望むようだナ」
「あの、確かにあの角無し鬼は強いとわかりますが」
人の領域では至ることが出来ない、整った容姿。
今まで瑠璃丸以上にカッコいいとか、綺麗だとか。
思えったことが無かっただけに。
間近に観察して、納得できるけれど。
「本当に、創設のきっかけとなった『はじまりの鬼』なのでしょうか?
確か、滅ぼすことも出来ずに、何百の数の捕縛師が封じ込めたと聞いてましたよ?」
「あの方は、『はじまりの鬼』で間違いないヨ。
時が経過し、すでに封じが効かなくなる頃だったんだ。
実家の秘宝庫に、『はじまりの鬼』の封じと呼応する鏡があってナ。
すでにヒビが認められていたし・・・今頃は砕けてるだろう。
リアンに言われて探してみたけど、奥底に保管されていたし誰も気付かないだろうがナ」
強力な封じに消滅もせず。
長い年月、対抗し続け、最終的に破る、なんて・・・
鬼のまま完全復活していたら、どれくらいの脅威となっていたんだろうか。
「リアンは、開放された先に必ず極上の食糧を求める。
それは、この時代にミヤビちゃんしかいないって結論づけてたんダ。
飢餓状態がスゴイから、いくら歌でミヤビちゃんの光を隠していても、本能的に吸い寄せられるって」
確かにあの唇は、異常なほどに青い。
更に現当主に力を振るったせいで、もっと飢餓状態が悪化しているはずだ。
それでも、角無し鬼となった今、手を取られてもなすがまま。
おとなしく、立っている。
本来なら、この場に残るお師匠様や私を喰い千切り、腹を満たしたい。
それが禁じられるなら、外に出て無差別に喰い散らかしたい、はず。
「ガチガチに隠していたから、気付かれるはずが無いってサ。
まぁ、自分の息子が鬼に喰われるかもしれないなんて事態イヤだからナ。
信じたくナイのもあったし、今日迎えに行くまでは複雑だったけど。
でも、ミヤビちゃんのこの光を押さえ込む方法はコレしかないってリアンに断言されたからナ」
仕方ない、とお師匠は笑う。
「リアンもナ。
表舞台に立つような親父たちを毛嫌いしていたからサ。
当主になるのも、ギリギリを逆算して。
これまでの自分の考えを曲げて、ミヤビちゃんの舞台を整えるために動いてる。
すべてのはじまりは、リアンに惚れたことだから。
アキヒメも、出来ることは全てやりつくすつもりダ」
だから、と。
私と、その後ろの瑠璃丸の肩を。
タンッ タンッと続けざま、リズミカルに師匠様は叩いた。
「ま、諦めてくれヨ。
キョウイチロウくんとルリルリ」
あ、黒い笑顔。
似たもの夫婦、なんですね。
ニヤニヤ、いつもの調子で二人のやり取りを余裕を持ち、笑いながら見ている。
「あの、お師匠様。
どうなってるんですか・・・?」
「あ~、あれ?
おもしろいだろう?
さっきのは、リアンが調子に乗りすぎたけどナ。
それ以外は、今のところ順調なくらいリアンの計画通りだ」
そうですね、その例外さえ計算内の怖い人ですね。
とは、言えない。
息を潜め、声を潜め。
お師匠様は笑って見守ることに徹するらしい。
「我が主となった今、貴方からは採れない」
「イヤだ!」
角無し鬼の両手首を掴み、御子息は首を振る。
契約した相手を糧にしないルールは、初耳。
「ふむ。
あくまで、隷属する関係をあの方は望むようだナ」
「あの、確かにあの角無し鬼は強いとわかりますが」
人の領域では至ることが出来ない、整った容姿。
今まで瑠璃丸以上にカッコいいとか、綺麗だとか。
思えったことが無かっただけに。
間近に観察して、納得できるけれど。
「本当に、創設のきっかけとなった『はじまりの鬼』なのでしょうか?
確か、滅ぼすことも出来ずに、何百の数の捕縛師が封じ込めたと聞いてましたよ?」
「あの方は、『はじまりの鬼』で間違いないヨ。
時が経過し、すでに封じが効かなくなる頃だったんだ。
実家の秘宝庫に、『はじまりの鬼』の封じと呼応する鏡があってナ。
すでにヒビが認められていたし・・・今頃は砕けてるだろう。
リアンに言われて探してみたけど、奥底に保管されていたし誰も気付かないだろうがナ」
強力な封じに消滅もせず。
長い年月、対抗し続け、最終的に破る、なんて・・・
鬼のまま完全復活していたら、どれくらいの脅威となっていたんだろうか。
「リアンは、開放された先に必ず極上の食糧を求める。
それは、この時代にミヤビちゃんしかいないって結論づけてたんダ。
飢餓状態がスゴイから、いくら歌でミヤビちゃんの光を隠していても、本能的に吸い寄せられるって」
確かにあの唇は、異常なほどに青い。
更に現当主に力を振るったせいで、もっと飢餓状態が悪化しているはずだ。
それでも、角無し鬼となった今、手を取られてもなすがまま。
おとなしく、立っている。
本来なら、この場に残るお師匠様や私を喰い千切り、腹を満たしたい。
それが禁じられるなら、外に出て無差別に喰い散らかしたい、はず。
「ガチガチに隠していたから、気付かれるはずが無いってサ。
まぁ、自分の息子が鬼に喰われるかもしれないなんて事態イヤだからナ。
信じたくナイのもあったし、今日迎えに行くまでは複雑だったけど。
でも、ミヤビちゃんのこの光を押さえ込む方法はコレしかないってリアンに断言されたからナ」
仕方ない、とお師匠は笑う。
「リアンもナ。
表舞台に立つような親父たちを毛嫌いしていたからサ。
当主になるのも、ギリギリを逆算して。
これまでの自分の考えを曲げて、ミヤビちゃんの舞台を整えるために動いてる。
すべてのはじまりは、リアンに惚れたことだから。
アキヒメも、出来ることは全てやりつくすつもりダ」
だから、と。
私と、その後ろの瑠璃丸の肩を。
タンッ タンッと続けざま、リズミカルに師匠様は叩いた。
「ま、諦めてくれヨ。
キョウイチロウくんとルリルリ」
あ、黒い笑顔。
似たもの夫婦、なんですね。
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