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閑話休題(瑠璃丸&京一郎)

寮 3

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「布団も干しとく?
今日からは、こっちでも一緒に寝てえぇやろ?」
「・・・う・・・うん」

にこにこ笑いながら、押入れから布団を引っ張り出してくる瑠璃丸。
そう、今までは。
別々の部屋を使っていたんだけど。
御山で、一緒に寝ることが当たり前になっていたからな。
やっぱり、ここに戻ったからといって変えれないか。

新棟も旧棟も、部屋の作りは同じ。
共有スペース六畳と、四畳半の個人部屋が二つ。
それに、押入れと簡易キッチン、シャワールームと洗面所がついている。
旧棟は、この部屋を人間二人とその角無し鬼が使用していたけど。
新棟を建設するときに、面積を拡大し、部屋数も増加。
それまで、廊下やベランダ等々に押し込まれていた角無し鬼の待遇を。
片方の個人部屋は、人間。
もう片方は、角無し鬼専用とするように改善された。

当主交代で、前当主派は旧棟に割り振られたんだけど。
私は、属性持ちの瑠璃丸がいたので新棟扱い。
しかも、一年生のときからこの角部屋。
かなりかなり、特別待遇されている。

「あの、でも、ここでは・・・」
「大丈夫やで。
オレ、声が漏れへんように結界張るし。
誰も使ってへんとき狙って、風呂とかトイレで捨てんのはやめてや?」
「そ、その話題にもう触れないで・・・お願いだから」

瑠璃丸に悪気は無いんだろうけど、何気なく口にされるたび。
私は涙目になってしまうくらいに恥ずかしい。
夜中にこっそり部屋を抜け出して、共有風呂やトイレで抜いていた過去と。
実はそれを覗かれていた事実に、居た堪れない。

「そんときも、オレちゃんと結界張って人払いしてたけど。
もう、隠れてコソコソ、あんな可愛い顔したらあかんで?」
「も、本当に、口にするなっ」
「顔真っ赤やで、京ちゃん」

覗き込んでくる優しい瑠璃色の瞳。
でも、口元は笑っていて、頬をつついてくる指は面白がってるとしか思えない。
か、からかってるな!

「そんな顔で睨まれても、全然こわないで?
はよ、用事済ませて、食べさせてや?」

触れるだけのキスを、不意に唇に落とされ。
ますます顔が赤くなっていくのが分かる。
私と瑠璃丸の距離は、変わってしまった
それが、この寮に戻ってからも続いていて・・・これからも続くのか。

戸惑う私を置いて、瑠璃丸は押入れと窓の往復に戻る。
瑠璃丸にとっては、食事にもならないこのキスも。
私にとっては、心臓が早まるくらい衝撃になる。
それに、学園寮には他の生徒もいる。
御山以上に、警戒しないと。
ちゃんと、ルールを決めないと・・・いけないな。

「瑠璃丸、布団干し終わったら話がある」
「んー、わかった~」

その間に、冷蔵庫を片付けよう。
一ヶ月以上放置されていた冷蔵庫を、私は恐る恐る開けた。
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